人事部29年の社労士 吉崎です。
あと1か月足らずで最低賃金が引き上げられます。最低賃金は、最低賃金法により国が賃金の最低額を決め、その最低額以上の賃金を支払わなければならないという制度です。たとえ労使双方が納得して、最低額未満で契約を交わしたとしても、差額を支払う必要があります。
労働基準監督署の調査により違反が認められた場合は、通常ですと是正勧告が出されて、それに従わない場合は刑事罰とともに50万円以下の罰金が科される可能性があります。
刑事罰云々よりも、人材採用や定着に支障が出ることが問題です。しかし、大幅な最低賃金引き上げに対応が難しい中小企業も多いのが現状です。
そこで厚労省は経産省と連携し、様々な対応策を用意しています。
①専門家派遣・相談等支援事業 : ワンストップ&無料の相談・支援体制を整備
生産性向上などの経営改善に取組む中小企業の労働条件管理などの相談について、中小企業庁が実施する支援事業と連携して、ワンストップで対応できる窓口を設置しています。
②業務改善助成金 : 中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取り組みを支援
生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者に対して、その設備投資等にかかった経費の一部を助成します。
③業種別中小企業団体助成金 : 業種別団体の賃金底上げのための取り組みを支援
全国規模の業界団体による傘下企業の賃金引き上げを目的とした、販路拡大のための市場調査や新たなビジネスモデル開発など、生産性向上のための取り組みに対して助成をします。(上限2000万円)
ここでは②の業務改善助成金について、もう少し説明をします。
「生産性向上のための取り組み」と言われても、具体的なイメージがわかないと思います。厚労省から以下のような事例が出ています。
・機材の導入により業務の負担を軽減し、創出された時間や人員を、他の業務に再配分する。
(例)介護事業で、車いす運搬のためにリフト付き特殊車両送迎車を導入した。
・業務をシステム化することで、手間のかかる手作業や単純なミスを減らす。
(例)ホテル、飲食業で顧客の予約管理を紙ベースからインターネット経由で一貫して行えるシステムを導入した。
・データの収集・管理をより早く正確に行うシステムを導入し、開発、管理、営業などに活用する。
(例)食品販売業で、紙ベースの販売管理からPOSレジシステムに変更導入した。
・事業場で認証や資格等を取得して、事業基盤を強化する。
(例)事務機器卸小売業で、他社との差別化を図り、これまで以上に顧客を獲得するためにISO27001の認証を取得した。
といった事例があげられています。
業務改善助成金は時間給800円未満の労働者の賃金を引き上げた中小企業・小規模事業者に対して、設備・機器の導入等に係る経費の一部を助成するものですが、このたび条件が拡充されました。
●事業場内最低賃金750円未満の場合。引き上げ額30円以上、助成率7/10、上限額50万円
●事業場内最低賃金800円未満の場合。引き上げ額40円以上、助成率3/4、上限額70万円
●事業場内最低賃金1000円未満の場合。引き上げ額60円以上、助成率1/2、上限額100万円
となっています。賃金引き上げと生産性向上策を検討されている企業の皆さん、是非助成金活用も合わせて検討されてはいかがでしょうか。
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