会社の課題を探す前に、「すでに育っているもの」を見てみませんか
会社を良くしたい。
そう思うほど、
「うちは管理職が育っていないな」
「採用がうまくいかないな」
「評価の仕組みも、もう少し整えた方がいいかな」
「もっと組織化しないといけないかな」
そんなふうに、
“足りないもの”
が目につくことがあります。
でも、これは悪いことではありません。
むしろ、
会社のことを真剣に考えているからこそ、見えてくるもの
だと思います。
ただ、その前に一度だけ、
少し違う角度から会社を見てみるのも大切ではないでしょうか。
会社の中には、すでに育っているものがあります
会社は、ある日突然、今の形になったわけではありません。
何年、何十年と続けてきた中で、
その会社なりに育ってきたものがあります。
例えば、
「困ったときに、社員同士が自然に助け合う。」
「社長と社員が、気軽に話せる。」
「長く働いてくれている人がいる。」
「お客様に対する責任感が、当たり前のように根づいている。」
「マニュアルにはなっていないけれど、仕事のやり方が自然に受け継がれている。」
こういうものです。
でも、こうしたものは
制度や仕組みの形になっていないので、
意外と「会社の強み」として認識されていないことがあります。
経営者にとっては、
あまりにも日常になっていて、
気づいていないこともあります。
でも、もしかすると、
それこそが、その会社が時間をかけて育ててきたものかもしれません。
「課題」に見えるものにも、理由があります
例えば、
社長に判断が集中している会社
があったとします。
外から見ると、
「属人化している」
「権限委譲ができていない」
と見えるかもしれません。
もちろん、これから先を考えると、
役割を少しずつ分けた方がいい場面もあるでしょう。
でも、その前に考えてみたいことがあります。
なぜ、社長に判断が集まるようになったのでしょうか。
社長の判断が速かったから、現場が助かってきたのかもしれません。
組織が小さかった頃は、その方が合理的だったのかもしれません。
何かあったときに、社長が責任を引き受けてきたからこそ、
社員が安心して働けたのかもしれません。
そう考えると、
今の状態は最初から「間違っていた」のではなく、
むしろ、そのやり方が、会社をここまで支えてきた可能性があります。
ただ、
会社が育って、人が増えて、仕事の幅も広がってきたことで、
少しずつ無理が出始めている。
そういう見方もできます。
私は、今までが間違っていたのではなく、
会社が育ったから、今までの形が少し合わなくなってきた
と捉えることは、とても大切だと思っています。
「良さ」と「気になること」は、同時に存在します
例えば、
社長と社員の距離が近い会社。
これは、とても良いことです。
社員が何かあれば、
すぐ社長に相談できる。
安心感もあります。
一方で、
相談も判断も全部社長に集まってしまうと、
少しずつ負担が大きくなっていきます。
ここで、
「社長に相談が集中している。だから問題だ」
とだけ見ると、
少し違う気がします。
その会社にはまず、
社長に話しかけやすい関係が育っている
という良さがあります。
その良さの裏側で、
少し負担が生まれ始めている。
そう見ることもできます。
すると、
「この良さは残したい」
「でも、日常的な相談の一部は、別の人にも担ってもらえないかな」
という考え方ができます。
私は、良さを消して課題を解決するのではなく、
良さは残したまま、無理なところだけ少し整える
という考え方を大切にしています。
何を変えるかより、「何を残したいか」
会社を良くしようとすると、
どうしても
何を変えるか
に目が向きます。
でも、その前に、
何を残したいか
を考えてみてもいいと思います。
・これからも大切にしたいもの。
・もっと育てたいもの。
・少し整えたいもの。
・今は変えなくてもいいもの。
この4つに分けて考えてみると、
「全部変えなくてもいいんだな」
と気づくことがあります。
私は、会社を見るとき、
この順番を大切にしています。
まず、今を知る。
すでに育っているものを見る。
そのうえで、
これから何を大切にするかを一緒に考える。
私は、こういう関わり方を
「共育」
と呼んでいます。
会社・経営者・社員、
そして支援する私たち自身も、
対話を通じて一緒に学び、一緒に育っていく。
そんな関係を目指しています。
あなたの会社には、すでに何が育っていますか?
少しだけ、
自分の会社を思い浮かべてみてください。
社員同士が、自然に助け合っていることはありませんか?
長く働いてくれている人には、何か共通点はありませんか?
社員からよく相談されること自体が、
実は信頼の表れではありませんか?
そして、
当たり前すぎて気づいていない「この会社らしさ」はありませんか?
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
こういうものは、
普段なかなか言葉にしないものです。
会社には、もちろん課題もあります。
整えた方がいいこともあります。
変えた方がいいこともあります。
でもその前に一度だけ、
「この会社には、すでに何があるんだろう」
と眺めてみる。
そこから考えると、
「何を変えるか」だけではなく、
「何を残すか」
「何を育てるか」
も見えてくるかもしれません。
そこから見えるこれからは、
少し違って見える気がしています。


