こんにちは。
今日は、社員とのコミュニケーションについて、少し考えてみたいと思います。
「うちは社員とよく話している方だと思う」
そんなふうに感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
朝は「おはよう」と声をかける。
現場では「昨日の件、どうだった?」と立ち話をする。
昼休みには、仕事以外の話で笑い合う。
社員との距離が近いことを、大切にしている会社もあります。
でも、ときどき、こんなことが起こります。
長く働いてくれていた社員から、退職の申し出がある。
理由を聞いてみると、以前から仕事について悩んでいたことや、将来のことを考えていたことが、少しずつ語られる。
社長にとっては、初めて聞く話です。
「毎日のように話していたのに、そんなふうに思っていたとは知らなかった」
もし、こんな出来事があったとしたら、皆さんはどう感じるでしょうか。
毎日の何気ない会話は、会社の財産
まず、大切にしたいことがあります。
社員と日常的に話せていることは、それ自体が会社の大切な財産だと思います。
毎朝の挨拶。
何気ない声かけ。
昼休みの雑談。
一つひとつは小さなことですが、そんな積み重ねの中で、少しずつ関係が育っていくことがあります。
「この人には声をかけやすい」
「困ったら相談してみよう」
そんな気持ちが生まれることもあるでしょう。
社長が社員の顔を見て、名前を呼んで、声をかけてきたこと。
それは、これまで大切に積み重ねてきたものの一つです。
だから、雑談や日常会話が多いことを否定したいわけではありません。
むしろ、とても大切なことだと思っています。
でも、普段はどんな話をしていますか?
そのうえで、少しだけ考えてみたいことがあります。
皆さんは、普段、社員さんとどんな話をしていますか?
「今日の予定は?」
「昨日のお客さんの件、どうだった?」
「最近、忙しいね」
こうした会話は、仕事を進めるために欠かせません。
一方で、こんな話はどうでしょう。
「今の仕事、どんなところが難しい?」
「最近、仕事をしていて嬉しかったことはある?」
「これから、どんな仕事をしてみたい?」
仕事が順調に進んでいるかを確認することと、その仕事を本人がどう感じているかを知ること。
似ているようで、少し違います。
例えば、
「最近どう?」
と声をかけたとき、
「大丈夫です。変わりないです」
と返ってきたら、ひとまず安心しますよね。
もちろん、本当に何も困っていないのかもしれません。
ただ、まだ自分でも整理できていないことがあるのかもしれません。
だからといって、「大丈夫」という返事を疑う必要はありません。
たくさん話していることと、話したいことを話せていることは、必ずしも同じではない。
そんな視点も、持っておきたいと思います。
社長に何でも話せなくてもいい
では、社員が悩みを話してくれないのは、信頼関係が足りないからでしょうか。
私は、必ずしもそうではないと思います。
社長に直接話したい人もいれば、直属の上司の方が話しやすい人もいます。
同僚との会話の中で、気持ちが整理される人もいるでしょう。
また、自分の中でまだ言葉になっていないこともあるかもしれません。
誰に、いつ、どこまで話したいか。
それは、人によって違います。
社員全員が、社長に何でも話せる必要はないのかもしれません。
大切なのは、無理に本音を聞き出すことではなく、
「話したい」と思ったときに、話せる相手や機会があること。
その相手は、社長でなくても構いません。
一方で、話しにくさの背景に、会社として対応が必要なことが隠れている場合もあります。
だからこそ、話していないことをすぐに問題と決めつけず、今の関係や状況を少し丁寧に見ていきたいと思うのです。
会話の回数よりも、少し目を向けたいこと
社員とのコミュニケーションを考えるとき、私は次の三つのことに目を向けてみたいと思います。
① 何を話しているか
仕事の確認だけでなく、仕事を通じて感じていることも話せているでしょうか。
② 誰と話せているか
社長だけでなく、上司や同僚など、社員が安心して話せる相手はいるでしょうか。
③ どのように話せているか
忙しい合間の立ち話なのか。
少し落ち着いて話せる時間もあるのか。
これは、何かをチェックして、良し悪しを判断するためのものではありません。
普段の会話を、少し違う角度から眺めてみるための視点です。
「もっと社員と話さなければ」
「面談の回数を増やさなければ」
と、すぐに考える必要はありません。
まずは、今ある会話が、会社の中でどんな関係を支えているのか。
そして、これから少し大切にしたい会話があるとすれば、それはどんな会話なのか。
そんなことを考えてみるだけでも、何か見えてくるかもしれません。
最後に
毎朝の「おはよう」も、
現場での立ち話も、
昼休みの何気ない雑談も。
その一つひとつが、今の会社の関係を支えているのだと思います。
それを大切にしながら、ときどき普段の会話を振り返ってみる。
どんなことを話しているだろう。
誰となら話せているだろう。
まだ話す機会がなかったことはないだろうか。
そして、これは社員だけでなく、経営者自身にも関係することかもしれません。
皆さんの会社では、本当に話したいことを話せる時間がありますか?