突然ですが、残業代は、きちんと払ってますか?
ちゃんと払ってるよ!と思われた方
ドキッ!とされた方
複雑な感情を抱かれた方
様々だと思います。
では、残業代の計算は正しくできていますか?
なぜこの質問をしたかというと
これまで支援してきた企業に
なんとなく残業代の計算方法を聞いてみると
意外にも計算方法を間違えている企業が
多かったからなんです。
例えば皆さんの会社は、残業代の計算を
以下のようにしていませんか?
・残業代は一律、一時間○○円で計算をしている
・基本給だけを残業代の計算根拠にしいる
これまで見てきた残業代の計算を間違えている
会社のほとんどがこの2パターンでした。
しかも、各社オリジナルの計算方法を
もっているので金額が微妙に違うんです。
すごいな!と感心してしまうほど複雑な
計算方法を考えている会社もあるほどでした。
残業代の計算方法が法律で決まっていることを
ご存じない会社が多いんですね。
では、残業代の計算方法はどのようにすればよいのでしょうか。
1、残業代の正しい計算方法
本来の残業計算方法は、以下の通りになります。
※厚生労働省HPより抜粋
ここで問題になるのが「1時間当たりの賃金額」つまり「時給」です。
時給者は当然わかるのですが、月給者の時給を
どうやって計算するのかよくわからない
会社が多いと感じています。
では、実際に例を使って計算してみましょう。
(計算例 計算条件)
株式会社Y
1日の所定労働時間:8時間
休日:土、日、祝日(年間120日)
(社員Aの給与)
・基本給20万円
・業務手当5万円
・家族手当2万円
・通勤手当1万円
この場合のAさんの時給を求めてみましょう。
考え方としては以下のようになります。
よく基本給だけで計算をすればよいと
勘違いされているのですが、
原則として、支給する全ての手当の合計額で
計算が必要となります。
ただし、例外的に残業代の計算根拠から
除外できる手当が法律で決められています。
「家族手当」
「通勤手当」
「別居手当」
「子女教育手当」
「住宅手当」
「臨時に支払われる賃金」
「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」
以上の7つの手当です。
逆をいえば、7つの手当以外は全て
合算しなければなりません。
また、1か月の平均所定労働時間の考え方も
わかりづらいと思います。
Y社の場合でいえば、年間休日が120日
ですので年間出勤日数は、245日となります。
1日の所定労働時間が8時間ですので
1か月の平均所定労働時間=245日×8時間÷12ヵ月
と計算しますので163.3時間が答えになります。
これまでの内容をもとに計算をすると以下の通りです。
Aさんの時給=25万円(基本給+業務手当)÷163.3時間
よって、1,531円がAさんの時給となります。
後は、残業代は1.25倍、休日出勤は1.35倍し
た時給単価×時間数をすれば計算が可能です。
2、今後気を付けておきたいこと
今回の残業代の計算方法は、必ず賃金規程
(給与規程)に明記するようにしてください。
なぜなら万が一、労働問題が発生した場合に
計算根拠となり
労働基準監督署も賃金規程の有無と
計算方法が明記されているかどうかを
必ず確認するからです。
現代は、スマートフォンで簡単に残業代の計算方法が
調べられるため、経営者よりも従業員の方が
計算方法を知っているケースが増えています。
その些細な行き違いで労働問題となるケースもあるため
リスク回避として必ず明記してください。
また、今後は同一労働・同一賃金が問われるように
なると考えられますので
基本給をはじめとした、手当の定義やどのような
従業員に支給をするのか
(正社員?、嘱託社員?、パートタイマー?)
などがわかるようにするために賃金規程に
明記することも重要になります。
その他、それぞれの職責がどのように異なるのか
がわかるように就業規則の見直しをすることもお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございました。