(昨日に引続き)
『外の世界への奉仕という組織にとっての唯一の存在理由からして、人は少ないほど、組織は小さいほど、組織の中の活動は少ないほど、組織はより完全に近づく。組織は、存在することが目的ではない。種の永続が成功ではない。その点が動物とは違う。組織は社会の機関である。外の環境に対する貢献が目的である。』(ドラッカー、プロフェッショナルの条件 はじめて読むドラッカー(自己実現編))
このドラッカーの比喩は秀逸だと思います。私たちは組織について考えるとき、大きくなることが強さの象徴であるように錯覚しがちです。孫子は『寡は衆に敵せず』と、戦で勝負する上で数の多さは重要であることを説いています。戦においては目的は明確で、相手を無力化することで、近代以前においては数がものを言ったこともうなずけます。しかし、現代の経済社会において、組織の構成員たる人が多いことは、コストが大きいこと以外は、直接何も意味しません。せいぜいそれだけ売上げがあるだろうことと、それだけ貢献しているだろうという推測ができるだけです。
しかし現代の経済社会においても、組織の大きさは強さであり、正しいことであると考えている人は多いように感じます。これはそういった心理に対する警告だと言えるでしょう。ドラッカーはあくまで組織の存在意義を、組織そのものではなく、『貢献』に焦点を当てているので、表現もこのようになっています。
人は少ないほど組織は小さいほど完全に近づく、という言葉に続けて、存在することは目的ではなく、また種の永続が成功ではないとも言っています。個人においては生体を維持して、種を残して永続を願うことは正しくても、組織においては存在すること自体も永続をはかることも正しいとはいえないのです。つまり私たちの生物的な直感と組織の論理は異なるといえます。
組織の存在意義は社会に対する貢献にある一方で私たち動物である人間は別の動機に突き動かされます。組織を大きくしたいとか、組織を永続させたいとかいうのは、動物的で本能的な動機との誤認によるものです。そういった誤認が生じることを自覚することがまず重要になると思います。
組織拡大の前に知っておくべきこと
●社員数の多さは組織の強さを示さない
●私たちは社員の多さを強さだと錯覚しがちである
●錯覚の根本には動物的な直感がある
●組織の存在意義は社会貢献にある