工事会社に必要な利益とは 〜これでは世の中…〜④
工事会社に必要な利益とは ~これでは世の中…~③
のつづきです。
某ハンバーガー店の設計をしました。
設計をすると工事で入れないルールだったので、当社は設計のみで工事は3社で入札としました。
入札結果は10万円単位ぐらいの差しかない結果でA社が落札。
工事の金額を見て、「こんなカツカツで工事出来るんだ」と自社も工事をしている関係上感心しました。
しかしながら、工事に入る前に、現場監督と話をしても、宇宙人と話をしているぐらい現場が解っていません。
そこの下請けの親方だけが打てば響く人間だったので「助かった~」と思いました。
こんな中、ある日
宇宙人現場監督が「もう2ヶ月給料未払いで…」という会話を小耳に挟みました。
すわ!やばいのでは!
案の定、このA社、計画倒産の準備をしており、この工事の着手金を懐に入れトンズラの手前でした。
寸前で社長の首根っこを押さえて白紙委任状を実印で取り、
・工事の部分引渡証
・領収書
・念書
を作り、債権者からこのお施主様を守る書面を作りました。
また、工事を中断する訳にいかないので、残りの工事については現地にいた下請けさん達に支払いを約束して、当社で工事請負契約をしました。
当然お金は右から左で何の利益もありませんが。
不名誉ながら、
このハンバーガーフランチャイズの「初!設計施工会社」となりました。
今回の場合、寸での所で危機回避できましたが、同じようなケースで泣き寝入りをしている方は結構います。
そして、この入札に参加したB社は2年後に倒産しました。
店舗工事会社としては結構規模が大きかったのですが。
最近では神戸の中堅ハウスメーカー「Oホーム」が倒産しました。
たまたまO社の代表と知り合うことがあり、高潔な理念と実線で確実に売り上げを伸ばしておられらた会社という印象をおもっていました。
今回、寝耳に水の倒産に大変驚きました。
確かに固定経費がかかる、宣伝広告費がかかる、ガツガツした資金回収をしていない、技術者寄りという大手住宅メーカー的体質はこの不況下において、回復出来ざる逆風だったにちがいありません。
お客様の評判はかなり良かったです。
しかしながら、倒産後、契約した後、または着工前、工事中の方はどうなるんでしょうか?
多額の契約金や前払い金を支払ったまま、そこでダメになってるか、膠着状態に陥っています。
誰しもが、夢の我が家を手に入れる手前で絶望に陥り、途方に暮れておられます。
既に建てられた方は、瑕疵担保の保証についてあやふやになり、建物のメンテに来てもらえるはずもありません。
「企業は存続する義務がある」
よく言われる言葉です。
でも
「安くて、安心で、顧客満足も高く、至れり尽くせりのスタッフがいて、レベルの高い工事作業員いて、見た事も無い設計やデザインを供給してくれる」
そんな会社、作るのも、維持するにも大変な費用がかかります。
安い請負金額でどうやって維持するんでしょうか?
そんな事、お客様にとっては「知ったことではない」です。
こんな供給側と使用者側と乖離していて企業は存続できるのでしょうか。
~つづく~
工事会社に必要な利益とは 〜これでは世の中…〜③
のつづきです。
日本人には「匠」思想があり、それは「メンテナンスフリー」につながっています。
これは以前にも書きましたが、匠が作ったものは完璧だから欠陥も修理もない的な考えをもっておられる方が多いです。
木も鉄も、石も岩も、
この世にあるものすべて収縮、伸張の世界に生きています。だから常に変化しています。
象徴的に言うなれば「生きている」ということです。
消費者保護の前提で建物瑕疵担保保証の法律が強くなりました。
でも、これは何でもかんでも保証するという法律ではありませんが,世間ではそう受け取られていないようです。
ビニルクロスがよれたり,切れたりしている部分があります。
クロス屋がヘタなのか、下地を作った大工が悪かったのか、設計上問題があったのか、結論づけれない時、誰が費用を負担するんでしょうか。
設計上、特殊な窓納めをして、雨が漏れました。
保証会社は「瑕疵担保責任外」としてます。
設計事務所は「設計どおりやっていたら雨が漏れるはずはない。お前んとこの施工不良だ」と言い放ちます。
誰が費用負担をして直すんでしょうか。
お客様に「ムクの木や板を使って、自然や本物に囲まれて生活したいんです」と要望され、「ムクは反りがありますよ」と説明した上で言うの通り施工しました。
収縮、膨張によって、狂い、歪み、床鳴りがおきた時、「こんな説明聞いてない。欠陥住宅だ!お前ら保証しろ!」と言った言わないで全責任を要求された時、誰が費用負担するんでしょうか。
確かに開き直って「建て逃げ」する業者なんかは多々あります。
大手ハウスメーカーやゼネコンは法務をそろえているので一個人が法廷で戦っても満足のいく判断はもらえません。
でも、まっとうにやっている工務店がこのような状況に陥ったとき、どこからお金を出すのか。
直したくても直すお金がない小さな工務店がこの世に沢山あります。
工事中保険は完成した後には使えませんし、瑕疵担保保険も免責規定や規制が多く、結果、保険料で圧迫します。
瑕疵担保責任はあるんでしょう。
しかし、いくら制度を作っても、そこに構造がないので個人商店に近い工務店は実際大変な負担を強いられています。
それをカバーする長期的展望の利益構造を作らなければなりません。引いてはすべてお客様の為になってくる訳ですから。
建設業のが存続するためにはあと10%ほど利益が必要なようです。
でも、これが実現できないのが今の日本の建築業界の現状です。
理由は沢山あります。
建築業者が人口に対して多すぎる為、下等競争がおきるだとか、業界に就く人間の教育レベルであるとか、モラルハザードであるとか数えればきりがありません。
~つづく~