【クリスマスとは別の話】
《これまでのあらすじ》
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12月末。
1年の中で最も忙しい一夜の大仕事を終えて、ホッと一息をつく暇もないまま、後片付けをしながらも「忘年会」が山小屋の中で行われている。
戸名「三田さん、だから電動キックボードは危険だって言ったじゃないですか!赤いズボンがビリビリに破れてますよ!」
三田「すまん、すまん。今年から経費を削減するために小型の電動キックボードで荷物を運ぼうと思っていたんじゃが、思いのほか運転が難しくてな・・・」
甲斐「三田さんはいつも運転していないから慣れてないですよね。」
戸名「そうそう!毎年、運転しているのは俺と甲斐だからな。三田さんはいつも後ろで座っているだけ!」
三田「いやぁ、一度で良いからアレに乗ってみたくてな。他の地域担当の同業者も乗っているのを見て、いつかは乗りたいとずっと憧れておったんじゃ。」
戸名「いや、三田さん、憧れるのは止めましょう!」
甲斐「結局、慣れない電動キックボードのせいで煙突にぶつかって、あやうくバレちゃうところでしたよ」
三田「そうじゃ、あぶなかったんじゃ・・・。今年は何故かロサンゼルスからの荷物が多くてな、それも何でか知らんが送り先が日本の小学校ばかりじゃったから子供たちにバレてしまわないかヒヤヒヤしたんじゃ。」
戸名「え!?ちょっと待って三田さん!煙突にぶつかって赤いズボンがビリビリに破れたせいで、赤い上着がスカートみたいになっていますけど・・・それどうなってるんですか?」
三田「安心してください・・・履いてますよ。・・・なんてな!」
甲斐「・・・そんなことより結局、電動キックボードだと一度にたくさんの荷物を運べないですからね。来年はやっぱり昔ながらの荷台にたくさん荷物を乗せて運んだほうが効率が良いのではないでしょうか。」
戸名「そうですよ!今年から4年ぶりに移動中の鈴の音が解禁になったわけですし、俺たちの仕事を奪わないで下さいよ」
三田「まぁ、来年のことはまたこれから考えればいいじゃろ。」
黒須「そうですよ~!今日は忘年会なので皆で料理を食べましょうよ!」
甲斐「黒須さん、料理を作ってくれてありがとう!やっぱりこの大仕事のあとに食べるのはローストビーフだよね~!!」
戸名「ん?これローストビーフじゃなくね?」
黒須「ひき肉です!!」
三田「・・・なんじゃ、そのポーズは?」
黒須「ひき肉です!!」
三田「だからなんじゃ、そのポーズは?」
黒須「ローストビーフも良いなと思ったのですが、ハンバーグが食べたくて・・・ひき肉です!!」
甲斐「ハンバーグ!僕も好きです!」
黒須「ひき肉に塩コショウを振って、振って、振って、振って・・・」
三田「今度はなんじゃ、そのポーズは?」
黒須「え?知らないんですか?この塩コショウを振るポーズが流行っているんですよ。」
戸名「どうでもいいけど塩コショウ振りすぎじゃない?あと首も横に振る必要はなくない?」
黒須「え?戸名さん知らないんですか?首を振る動きも新しい学校で流行っているんですよ。」
甲斐「黒須さんは流行りに詳しいですね。」
三田「その動きはワシも知っとるぞ!」
黒須「おっ!三田さん知っているのですか!」
三田「それは・・・その・・・アレじゃ!」
戸名「アレ?・・・全然知らないじゃないっすか!」
三田「・・・名前が思い出せない・・・とにかくアレじゃ!」
甲斐「アレってなんですか?」
三田「アレは・・・・アレじゃ。」
(つづく)
《これまでのあらすじ》