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戸名「どうでもいいんですけど、このネックレス邪魔じゃないですか?」
甲斐「シャン、シャンって鳴ってうるさいですよね。」
三田「バカモン!昨年の暮れにルールが変わって、今年から必ず身に付けなくてはいけなくなったんじゃ」
戸名「まぁ、つけますけど。でも、もっとカッコイイ色が良かったな・・・」
甲斐「なんか他の国では今年からキャメル色のネックレスが流行っているらしいですよ」
三田「つべこべ言ってないで今夜の準備をせんかい!もうすぐ出発するぞ。」
戸名「はい、はい」
甲斐「今日は1年の中で一番忙しい日ですけど、三田さんは今年は何して過ごしていたんですか?」
三田「今年はもうずっと家で地図ばかり眺めていたよ。出社したくても、本部からはリモートでいいと言われておってね」
甲斐「まあ、三田さんは無理しない方がいいですよ。」
三田「だから今年はずっと家の中で今日の日のために地図を見て、道順を覚えておったんじゃ。」
甲斐「流石、三田さん、勉強熱心ですね!」
三田「我々も頑張らないとな・・・最近は個人で自転車に乗って食べ物を届ける仕事が流行っているらしい。もちろん我々とは職種が違うが、数年後には我々の仕事の脅威になるかもしれん。だから努力をせんといかんのじゃ。」
甲斐「あ~!僕もそのサービス頼んじゃうんですよね!すごい楽ですよね。」
戸名「・・・・話してないで、もう行きましょうよ。遅れちゃいますよ。結局、急がないといけないのは俺と戸名なんだから。」
三田「お~、そうじゃな。急ごう・・・」
戸名「おし!甲斐!そっちを持って・・・」
三田「待つんじゃ!・・・甲斐と戸名はもう少し2人の距離を空けてくれ。星空の下のディスタンスを保つんじゃ。」
甲斐「あ、そうだった。マスクもしないとね。」
戸名「鼻の方まで覆ってくれるマスクが欲しいよね。去年は鼻が寒すぎて真っ赤になっちゃったから。」
三田「その真っ赤な鼻が役に立つこともあるんじゃが・・・」
戸名「・・・てか、三田さん!去年言ったじゃないですか!乗り物を電動付きにしてくれるって。」
三田「その予定だったんじゃが、今年はいろいろあって例年よりも予算が下りなかったんじゃ。電動付きはまた来年に我慢してくれ。」
戸名「え~!ほんと重いんっすよ。三田さんは乗ってるだけだから分からないと思うけど。」
三田「でも今年は外を出歩いている人も少ないから人に見つかる心配はない。そんなに高く飛ばなくていいぞ。」
戸名「途中で三田さん漕ぐの変わってくださいよ!」
三田「つべこべ言わず早く、出発するぞ。最近はコンプライアンスが厳しくなって、えんとつから入るのは禁止になったところもあるんじゃ。」
甲斐「僕、高いところが苦手だからそっちの方が良いかも。えんとつに登るのってハシゴが揺れるから怖いんですよね。」
三田「昔、出逢った『えんとつ掃除屋の子供』に聞いたんじゃが、ハシゴは登っている最中に下を見るから揺れるらしいんじゃ。コツはとにかく上だけを見て登ることだそうだ。」
甲斐「へ~!なんかそれ、人生の教訓みたいじゃないですか!」
三田「そうじゃな。上を見続けると良い事があるかもしれないな。」
戸名「・・・・」
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甲斐「三田さん・・・今夜は星が綺麗ですね。」
(つづく)
次回:クリスマスとは別の話【2021】に続く
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