「暇じゃ。実に暇じゃ…」


『お殿様様がいる』


「うっさん何キャラだよ」


「見た目と口調があってへんわ」


「きもいべ」


「よをたのしませよ
そち、何か面白い話をしてみよ」


「は?!!無理!!」


「むちゃぶりやな」


「くだらん実にくだらん!!」


「まだ何も言ってねぇよ」


「うぜー」


「誰でもよい、早よ我を楽しませよ」


「いつまでそのキャラ引きずんねん」


この間ずっと黙っていた戒君が


『はいっっ
お殿様、私がお話いたしましょう!!』


名乗りをあげた


「ふむ、そなた名を何と申す」


『はい、私
戒江門五郎と申します』


「あいわかった、話てたもれ」


『ありがたき幸せ…』


「うわー…」


「ようやるわ」


「まったくだべ」


「口を慎め愚民共がっっ!!」


「「「うぜー」」」


『では、吟じます!!』


「「「は??」」」


『人にどいて欲しい時~い』


「吟じだしたで!!」


「何がしたいんだ」


「戒君…」


『間違えて
抱いてくださいって言っちゃった~ぁ

あると思います』


「「「え゛!!」」」


「戒君それまじで?」


「んまに言うたんか?」


「言われてえっっ」


『間違えて言っちゃったww』


「誰に?!」


『雅さん…』


「な、何て返されたん?」


『今日は勝負パンツやないからって…』


「助かった…」


「危なかった…」


「ふむ、実に愉快愉快、戒江門よ褒めてつかわすぞ」


『ははー』


「あ、まだこの設定やったんやね」


「忘れてたべ」


「何てめんどくせぇやつら」
空が暗い

待っても待っても朝が来ない

膝を抱えて待ち続ける俺は

まるで


『子どもみたい』


暗い空に暗い部屋

闇と黒に覆われた世界で

たった独り
貴方の帰りを待つ


『れいちゃん、』


声すら闇に蝕まれる中

部屋に入ってきたのは

一筋の輝りと


「お前、何してんだ?
明かりもつけねぇで」


大好きな声だった


『れいちゃん』


「ん?」


仕事だって解ってる
くだらない我儘だってことも

だけど
だけど


『寂しい』


弱い俺は
貴方を求めてしまう


『離れないで』


縛りたくなんてないのに
口から出る言葉はどれも重荷になるものばかり


「大丈夫だべ
俺はお前から離れないから」


抱きしめられた体
伝わる体温

温かい

暗い部屋が明るくなった気がする


空だってほら、

明るい夜明けがやってきてて


れいたが居ないと夜すら明けない


れいちゃんは俺の太陽なんだ



長い夜は
貴方という太陽と共に明けた
『好き』

これだけじゃたりない

『愛してる』

いきなりこれは重すぎる?


ねぇ、
どうしたら俺のこの気持ちを流鬼に伝えられる?

自分の気持ちを上手く言葉に変えられない


気持ちばかりが溢れてパンクしちゃいそう…


『恋って難しい…』


「誰に恋してんの?」


『流k…』


「ふぅん、
告白されちゃった」


『…ぁああ゛ぁあ』


「可愛いくねぇ悲鳴だな」


振り向けば流鬼がいた


『そ、んな…』


「戒くん俺のこと好きだったんだ」


『いや…

は、い

好きですけど…』


たくさんたくさん考えたのに

結局言ったのは
ありきたりな言葉


(こんなつもりじゃなかったのに…)


声だって体だって震えて、


(もう嫌だ…)


ぎゅっと目を瞑り
流鬼の言葉を待つ


時間がゆっくり流れてる気がした


「嬉しいっ」


そう言って
俺を抱きしめた流鬼


(え…?)


頭が全然追いつかない


「俺も戒くんが好きだよ

ずっと好きだった」


『う、そ…』


こみ上げてくる嬉しさが
涙に変わり頬を伝った


自分が思ったような告白は出来なかったけど


(幸せだからいいやっ)
『待って、待ってよウサギさん!!』


「ほら早く、時間がないよ」


○○○には時間がー…







一滴一雫ゆっくり墜ちる液体も

同じリズムで送り続けられる酸素も

ゆっくりだけど
しっかりと刻まれる心臓音も

全て1人の人間を中心に繰り広げられる


「もう何度も朝は過ぎたよ…


ねぇ早く起きな」


いつ目覚めるか解らない恋人


口付けを交わせば
あの物語のように目を覚ましてくれる?








『ねぇ、どこ?

ウサギさんどこに行ったの??』


「早く早くっ

時間がないんだ!!」


『時間って何のー…』


「今はまだ苦しいかもしれない

だけど
逃げずに…」


『逃げるって、逃げるてるのはウサギさー…』



起きて



『…え??』








何度 も

す ぎ








世界は
白一色で出来ていた


「柩っっ!!」


いや、
世界は明るい色で溢れていた


会いたかった
会いたくて会いたくて仕方なかった


手が届きそうで
届かなかった


あのウサギさんは
咲人だったんだね



『あ、りがと』


咲人のおかげで帰って来れたよ


ウサギに恋したアリス

追いかけて追いかけてたどり着いたのは


「柩、ずっと待ってたよ…」



大好きな恋人のところ
『綺麗ー…』

一面に紅く染まった木々

その間から垣間見える空の蒼


「本当に綺麗」


『俺ね、紅葉って儚くて凄く好き』

はらり

「さすが日本人とでも言うべき?」


『な、違う!!

桜と違って紅葉はさ葉っぱが死ぬ直前なんでしょう?』

はらりと紅葉が舞う

「うん、そう言われているね」


『死ぬ時でさえ、こんなにも綺麗な姿をするなんて、』


そう言って紅葉を見つめる柩の姿は
命の限りを尽くし紅く染まった紅葉よりも儚く思えた


「柩は消えないで」


『何を急に…』


「紅葉みたく綺麗に散ろうなんて思わないで

汚くても醜くても
散らないで居てくれたら

それだけでいいから」


どうしてこう思ったのかは自分でも解らなかった


ただ


『大丈夫、俺は貪欲だから

綺麗に散るよりも
必死でしがみついているから』


そう言って笑ってくれたことに
涙が出そうになるくらい嬉しくなった



はらり
はらりと紅葉が舞う

ただそこに
先ほどまでの不安はもうない