やっと朝晩涼しくなってきた札幌です。
わたしは、お茶が大好き(日本茶も紅茶も中国茶も)なので、
まだ日差しが強くても風がひんやりとして、
ポットいっぱいの熱い紅茶をゆっくり楽しめる気候になってくると、
がぜん元気が出てきます。
子供のころ、メアリー・ポピンズのお話が大好きで
繰り返し読んだものですが、
夜中の動物園に出かけていくなど、「子供心をわかってる!」と
うならせられるエピソードが数多くあるなか、
イギリスらしい、お茶にまつわるくだりにも心ひかれました。
「お茶の時間までに家に帰らなくちゃ」とか、
「ミルクとクリームのどちらにする」とか、
「バタつきパン(昔の翻訳はバターではなくバタ。
バターツキパンよりバタツキパンのほうが一気に言えます)」
「あつあつのクランペット」などなど、
わけもなくワクワクと憧れたものです。
イギリスのお隣、アイルランドにホームステイしたとき、
夜遅くホストマザーの義理のお母さんの家を訪問したのですが、
たっぷりの紅茶とビスケットなどのお菓子でもてなしていただき、
「80歳過ぎてるのに、もう11時近くなのに、眠れなくならないのか」
という日本人の心配をよそに、
紅茶を飲み飲みおしゃべりするお元気な姿に驚かされました。
お茶を飲むことが、生活の一部になっているんだなという感じでした。
さて、イギリスだのアイルランドだの言っておきながら、
本棚からひさしぶりに手にしたのは、
岡倉天心の『茶の本』。
日本人の美意識について、芸術について、
そうそう、こう感じていたよということをあらためて思い出させてくれます。
「茶気がある」って、面白い表現だと思いませんか。
お茶の季節のはじまりにふさわしい、コンパクトな名文です。
(バタつきパンも出てきますよ。)