若返り | はい、がんなんですけど

はい、がんなんですけど

肺がん(肺大細胞神経内分泌腫瘍=LCNEC)ステージⅣと診断されたおっさんのゆるい毎日。

赤いちゃんちゃんこを着る年齢まで、残り1年足らずとなって、意外と爺さんだな俺とか思うんだけど、年を取ること自体は、嫌ではない。嫌ではないどころか、少し楽しみですらある。

なぜなら、50代には50代の、60代には60代の、それぞれ見える景色があると思うから。

まして肺がん4期と診断され、今はピンピンしているものの、時間は有限であると否が応でも意識しなくてはならない事態となった。それは、どんなに望んでも、数年先の景色は見られないかも知れないということだ。

だからなのか、未来に対する憧れのような気持ちは、診断後に強くなった気もする。


ただ、何となく時間を浪費するのは、やっぱりもったいない。若返ろうとは全く思わないものの、日々を楽しく過ごしていたいとは思う。


自分がそんな思いになると、周りの人間も似たような思いを抱くのかも知れないなあということに、気付く。たとえ何歳であっても、今日の自分が輝ける何かがあれば、多分人生は楽しい。


高齢者施設の入居者に、ハンドマッサージやメイクをして、おばあちゃんたちの笑顔を引き出す仕事をしている人と、4月末に仕事で知り合った。介護美容というサービスだ。
時期が母の日の少し前ということもあって、おふくろへのプレゼントにぴったりだと閃き、実家への出張をお願いした。

御年89歳の後期高齢者は、本人曰く生まれて初めて、他人にメイクしてもらうことになった。


プレゼントは、ハンドマッサージとメイクと写真撮影のセット。
息子の前でメイクなんて恥ずかしいと照れていたくせに、いざ顔が完成して写真撮影の段となると、笑ってしまうくらいノリノリだったことに、息子は少しホロリとした。


4年前、肺がんと診断されたことを息子から告げられた時、きっと絶望に近い気持ちを味わったんだろうと思う。

それまでは

「お母さんはきっと120まで生きるね」

と妻が言うほど元気だったのが、この4年でやっぱり老けた。今でも、世間の同年代のおばちゃんと比べれば、マジかよと思うくらいに元気ではあるものの、年々少しずつ、先に逝った親父がいるであろう“あっち”へと、歩みを進めている感が強くなっている。


実家の縁側ではしゃぐおふくろを見ながら、せめて俺が先に逝かないようにしないとなあとか、ぼんやり考えた、少し遅い母の日の出来事。




 

 

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