先週のがんピアサポーター養成研修でのこと。途中の休憩時間に、ひとりの受講生さんから声をかけられた。
「この記事の方ですよね?」
振り返ると、多分60代半ばの女性。手には、俺のインタビュー記事が掲載された地元紙が握られている。
「あ、そうです。読んでくださったんですね。ありがとうございます。」
少しドギマギしながら、頭を下げた。
その女性は現在も治療中とのことで(敢えてがん種はきかなかった)、脱毛があるのか、ウィッグを着けていた。
「記事を読んでね、よし、私も頑張ろうって思ってるんですよ!」
声を弾ませながら、笑顔でガッツポーズを見せてくれた。
「私のヒーローなんですよ」
そう言われて、ドキドキした。
ヒーローかあ…
意味は、理解できる。肺がん4期と診断されながら、4年も生き延びていて、なおかつ休薬までして、それでもこうして元気でいることを、他の患者さんが、ある意味で目標にしてくださっていることは、自分でも分かっているし、逆の立場なら、俺もそんな風に思うかも知れない。
でも、俺がヒーローかあ…
響きはすごく心地よいし、なんだか力がみなぎる感じもある。でも、見た目とか、普通の小太りのおじさんなもんで、ヒーローって柄じゃないんだよなあ。
あれこれ考えた。
4期のがん患者でありながら元気な人は、多分たくさんいる。その人たちは俺と同じように、生き延びるために、何か特別なことをやったわけではない(多分)。敢えて言うなら、運が良かった。
まあ、仮面ライダーもウルトラマンも、ラッキーで勝った闘いは、案外多い気がする。圧倒的に強かったら、テレビの前の子どもたちが、あんなに声援を送ることは、きっとない。
だったら、ヒーローでもいいのかな。
ヘッポコだけど。
待てよ?
ヒーローなら死んじゃダメだな。
これからもラッキーが続きますように。
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