昨日ご紹介した文章の最後にも出てきた『いにしえの注釈書』(The Old Commentary)、『秘教治療』の中にも何度か登場しますが、一体どんな本なのか?
『ホワイト・マジック』に、簡単な紹介が載っていました。
アリス・ベイリーの著書の中には、「論文(Treatise)」と名前が付けられた書が何冊かあり、それ以外のものも大多数は、内容的には論文(それも超絶なレベルの)といってもいいものだと思いますが、形式的にはアカデミックなレベルの要件を満たしていないところがあります。
その一番は、引用文献が明示されておらず、先行研究が踏まえられていない、という点です。
科学的トレーニングを受けると、先行研究・出典を明らかにする、という指導をされますが、それがまずほとんど実施されていません。
『いにしえの注釈書』というような書名が出てくれば良い方なのですが、それでもその出典となる本の所在自体が分からないということも、秘教文献ではよくあります。
かの『シークレット・ドクトリン』も同様で、ブラヴァツキーは最古の本である『ジアーンの書』をもとに解説した、と言っているのですが、そんな本はどこにも見当たらない。
「そんなものは存在せず、ブラヴァツキーがでっちあげたに違いない」という批判をする人に対して、ブラヴァツキーは逆に「こんな凄い内容を自分で創造できたと言われるなら、光栄なことだ」と開き直ったようですが。
ということで、常識のまったく通用しない世界ではあります。
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アデプトのための古代の教科書について多くのことを知ることは、学ぶ者にとって興味深いのではないかと思う。
・・・・・・『いにしえの注釈書』がいつ書かれたかは定かではない。
私がその時代を告げようとしたところで、私には私の言葉が真実であるかどうかを証明する手立てはない。
・・・・・・以上のわずかな文章で私は、わずかな象徴と秘密の原文を使って、『注釈書』に表現されていることの要点を示そうとしてきた。
このような古代の聖典は現代人が本を読むような方法で読むものではない。
見て、触れて、そして理解するのである。
そして、意味は一瞬のうちに明らかになる。
例を挙げて説明してみよう。
「一なるものが三重の音をかき消す一つの言葉を響かせる」
という言葉は、黒とバラ色と緑からなる三つの象徴の上に重ねられた黄金色の象徴言語を一条の光線が射しているという絵で描写されている。
このようにして秘密は厳重に守られるのである。