「秘教学派」の運営と普及 ~ 『トランス・ヒマラヤ密教入門』より | 神尾学と学ぶ!スピリチュアルの王道

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 今日の話は、私自身の活動に、特に関係の深いものです。
 前半は、ブラヴァツキーが亡くなって以降の神智学協会の状態を踏まえて、語られていると思います。

 神智学協会は当初、それまでのパラダイムをくつがえす目的でハイラーキーからの特別な使命を担って偉大なイニシエートであったブラヴァツキーによって設立されましたが、後継者たちは一般人類よりはかなり進んだ人たちでしたが、イニシエートの段階まで到達していた人はおらず、グラマーに支配されてしまい、ハイラーキーが期待する役割を果たすことができなくなった結果として、アリス・ベイリーは協会の外に出て、アーケン・スクールという別団体をつくることになりました。

 これは、いまだ未成熟な段階の人類にとって必然的に起きてくる問題で、歴史上、このような変遷を経験しなかった団体は皆無と言ってよいと思います。
 今月の『秘教占星学』講座で取り上げる「さそり座」の話の中には、イエス亡き後、キリスト教の実質的な創設者とも言える聖パウロのもっていた(さそり座と火星の影響からくる)問題点が、その後のキリスト教会の歴史に与えた影響が描かれており、次のような文章が書かれていました。

「ハイラーキーのための仕事に創始者が死を通して彼岸に渡り、別の犠牲を引き受けるために自らの仕事を放棄した後にその仕事を続けようとした善意ある弟子たちの活動に対する望ましくない影響は、しばしばこのようなものである」
ということで、進化途上の不完全な人間の限界として、理解しなければいけないところでもありますが。


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いくつかの秘教学派と神智学的な研究に力を注いでいる学派は、自分たちが大師方の教えの唯一の宝庫であり、大師方の努力が注がれる唯一の出口であると主張してきた。
 それにより、大師方の仕事を限定し、誤りであることを時間と状況がやがて実証することになる仮説を作り上げてきた。

 大師方がこのような思考者のグループを通して働き、このような組織の活動に力を注ぐということは確かにその通りである。
 しかし、大師方には至るところに多くの弟子と追従者がおり、多くの団体と多くの教えの面を通して働いている。
 今日、このような大師方の弟子たちが世界中に転生している。

 彼らの唯一の意図は、活動を運動に関与し、様々な教会、科学、哲学の真理を公布し、そうすることで組織内に進展と拡大を生じさせ、もし必要があるならば、別の方法では不可能な崩壊を引き起こすことである。

このような事実を認識して、ハイラーキーの波動が弟子を介して最も似つかわしくないところに現われたときにも、それを感知する能力を育成することは、至るところの秘教徒にとって賢明なことである。

 
 弟子を通して大師が行う仕事に関連して、ここで一つの点について述べるべきであろう。それは次のようなものである。

 ロッジのエネルギーが注がれている様々な思想学派すべてが、あらゆる場合において、一人もしくは数人の弟子たちによって創設されたものであり、その結果とそれに伴うカルマに対する責任はこれらの弟子にあるのであって、大師にはないということである。

 その過程の手順は次のようなものである。
 大師は、当面の短い周期の観点から見た目標を弟子に示し、このようなことを進展させるのが望ましいと提案する。

 望ましい結果を生み出す最良の方法を突き止め、ある程度の成功を見込める計画を練り上げるのは弟子の仕事である。
 弟子は自らの計画に着手し、団体や組織を創設し、必要な教えを公布する。
 適切な共同者を選択して、仕事を最適な人に任せ、教えに適切な衣装を着せる責任は弟子にある。

 弟子の試みが最初の高い理想を保ち、純粋な愛他精神をもって進行している限りは、大師は関心と思いやりをもってその試みを見守る。
 弟子が共同者の選択において識別力を欠いていたり、真理を表現する能力がなかったとしても、その責任は大師にはない。
 もし弟子が適切に行い、仕事が望まれるように進んでいるならば、大師はその試みに祝福を送り続けるであろう。

 しかし、弟子が失敗したり、その後継者が最初の衝動から逸脱し、何らかの誤りを公布したりするならば、大師は愛と同情をもって祝福を引き上げ、エネルギーを引っ込める。
 そうすることで、滅びた方が望ましいものへの刺激を中止するのである。

 形態は現われ、そして消え去るかもしれない。
 大師の関心と祝福は様々な通路を通して流れ、仕事は何らかの媒体を通して進められるであろう。
 しかし、生命の力は維持されるが、不適切な形態は破壊され、当面の必要に適したものが使われるのである。


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弟子による運営が望ましい方向にいっていなかったとしても、それに対する積極的な介入は(自由意志をおかすことになるため)行われませんが、他によりよいルートをつくるために、そちらに支援がいくということです。

ハイラーキーからの支援のエネルギーを受けられるか否かは、ちょうど現実の社会において国家予算による支援が受けられるか否かのようなもので、その結果は大違いです。
このように、ハイラーキーの仕事はすべては、エネルギーによってなされます。

しかし、支援があったからといって、真のフロンティアの仕事はいつも、壮絶極まるものです。ブラヴァツキーもアリス・ベイリーも通常で言えば悪戦苦闘の連続でしたし、イエスに至っては磔にまでなっています。

彼ら自身は、パーソナリティー意識を完全に克服しているので、私たちのように苦労とは感じなかったのではないかと思いますが、平坦な道でなかったことは確かですし、支援があってはじめて、乗り越えるのが可能な道であった、ということです。人類の歴史と進化は、そのようにして一歩ずつ、成し遂げられていくのでしょうね。