今日は僕の経験を皆さまの参考の為に少しお話したいと思います。皆さんが同じ経験をすることも十分にあり得ると思うので(失礼!)、参考になれば幸いです。
僕は過去に億り人になった後、保有株が80%以上暴落する経験を味わいました。途中で損切りすればよいのに馬鹿だなあ、と思うかも知れません。でも人間の心理って、そんなに簡単ではないのです。市場が過剰反応をしているからすぐに値を戻すだろう、と本気で信じていたのです。現実はその繰り返しで最終的に80%以上の暴落をして塩漬けにしてしまったのですが。途中では下がった後に半値戻しのようなことがあったりして、期待を持たせるようなことが何度もありました。ただ、中期的にどんどん下がって結果的には身動きが取れなくなったのです。
これには経験した人でないと分からない恐怖があります。途中で損切りをして他の銘柄に資金を移動しても、その銘柄が半分に下がるかも知れない。すると、既に下がった株が半分になる可能性と比較すると、塩漬けの方が心理的には軽いのです。このループから逃れるのは容易ではありません。一旦、負け戦が始まるとPoint of No Return(PNR)を超えて自暴自棄になるのです。
そもそも、億り人になる過程で沢山の勉強もしますし、銘柄分析もするわけです。僕は特技があって、多くの銘柄をざっと見ればその日に見た100銘柄でも200銘柄でも記憶します。それが時系列でつながるとリズムのようなものを感じて楽しくなるのです。そして、銘柄分析がある意味でまぐれであったとしても当たったので億り人になれたわけです。これは適切なメンターを持たない限り、自信にならない方が難しいです。人は自信があるからリスクを取れるという側面もありますから。今考えると恥ずかしいのですが、自分には投資家としての努力と実行の才能、そして眼力がある、と天狗になっていました。
投資には経験が必要だと思います。ただ、それは正しい経験でなければなりません。まぐれで稼いだ経験を自分の実力だと勘違いすると想定外のことが発生した場合に対処できなくなるのです。ただ、まぐれをまぐれと認識して実力を追いつかせ、そして追い抜く努力をすればよいのです。
このブログで僕はリスク管理の重要性を何度も発信しています。早く稼ぎたい読者には面白味のない記事だろうと思います。リスクは平穏な時期にはよく分からないからです。卑近な例をあげると、恋人同士が仲良く過ごしていることを思い浮かべてください。そこへ結婚話が持ち上がって、親兄弟が入ってくる。一緒に生活すると、お金の話が現実問題としてあがってくる。子育てや住宅購入、老後資金の確保・・・、こういった時に、それぞれの事情があって思い通りにいかないことが発生します。すると恋人同士の時はただただ楽しかった二人の生活が、価値観のぶつかり合いに発展することもあるかも知れません。要するに問題に直面した時に、乗り越えられるかどうか、それは、問題が発生した時に試されることになるのです。
リスクも同様です。発生頻度は数年に一回かも知れませんが、下落時にリスク管理の有無や有効性が問われることになります。沢山稼いだ人が、自分の戦果をアピールしたとしても、それは多くの場合、まぐれなのです。最近もブログ「振り返りと今後の投資方針」でお見せした通り、去年から今までの間に資産を2倍に出来た人は特に優れた投資を行ったわけではありません。取り敢えず株を持っていれば、それくらいはほぼ達成できたでしょう。2倍や3倍にできていても実力があるかどうかは要注意です。特にコロナ・ショック以降は少し無茶なリスクでも取った人が稼げた市場だったからです。
バリュー投資家を自任する人たちが、この株は割安だ、とか割高だ、と言っているかも知れませんが、僕の言うことも含めて話半分と考えた方が良いでしょう。割安か割高かは、実は信念に基づいた表明に過ぎません。未来のことは誰にも分からないからです。僕たちに出来るのは確率論的な対応です。同じリターンでも可能な限りリスクを低く抑えることができるように脳みそがねじれる程に思考展開をすることだろう、と僕は思います。割安か割高かが簡単に分かるのであれば、全員が稼げるという矛盾に行きつくでしょう。
二度目の億り人を達成した時、僕は、強制的に7割を長期分散投資に割り振りました。大きくは上がらないだろうけれど、大きく下がりもしないポートフォリオにしたのです。そして、3割の資金で自分が好きなリスクの高い投資をしています。その部分が最悪で8割以上の下落をしてもよいという具合に全体リスクの管理をシャープ・レシオで計算しながらやっています。面白いことに、7割の資金を回した期待利回りが低い筈の投資収益は年率20~30%のリターンになっています。計画では年率5%あれば御の字だったのですが。ただ、長期的には配当も含めると年率7~8%に収斂するだろうと思っています。今がバブルなのかどうか僕には分かりません。ただ、世界的な金融緩和で多くの人が株式投資でインフレに対応しましょう、と言っている風潮は、時期は不明ながらも、潜在的リスクの高まりを示唆していることだけは確かです(注:金融緩和の副作用を懸念して、株式投資がインフレ・リスクのヘッジになると多くの人が主張する。そして、それをフォローする人が世界中で増える結果、株式投資のリスク許容度が上昇し、逆に期待リターンを押し下げる結果になる、という意味です。無自覚な期待リターンの下落は典型的なバブル形成の序章と言われています)
僕の経験では、ファンダメンタル分析もテクニカル分析も参考程度にしかなりません。ただ、どちらか一つを選ぶなら、ファンダメンタル分析かも知れません。しかし、良い銘柄が上がるわけではありません。良い銘柄が叩き売られて、本質的価値をはるかに下回った時に購入すれば盤石でしょう。面白いのは、良い銘柄でなかったとしても、本質的価値を大きく下回った銘柄を見つけられた場合は、その株価は上がるしかありません。究極的には銘柄は何でも良いということも言えるのです。「安く買って、高く売る」これが出来る人が長期で勝ち続けることができる投資家だと思います。そして、このシンプルなことが実行できるように、僕たちは知恵を絞って、市場で発生する歪、即ち、利益の源泉を探しているのだと思います。他人の二番煎じではカモにされてしまうでしょう。これが、僕の経験からの実感です。参考になれば嬉しいです。