投資をしていると「何となく手仕舞いたいなあ・・・」、とか「この銘柄がどうにも気になる・・・」という感覚が、特に明確な根拠もなく出てくることがあります。
感情に左右されずに機械的に投資をする方が良い、と言われることもありますが、僕の考えでは、それは売買ルールについてだと思います。一気に同じ銘柄をまとめて購入せずタイミングを◆回に分けて購入する、一つの銘柄の比率を▲%以下にする、自分の想定が崩れたら●%づつ✖回に分けて売却する、などです。
しかし、「なんとなく売りたい」とか「ある銘柄が気になる」という感覚を僕は大切だと考えています。これは感情的になっている場合と感情的になっているわけでない場合があり、後者の場合の所謂「Got Feeling」とか一種の「閃き」の場合は自覚していない論理が潜在している可能性があるからなのです。
そのヒントは神戸大学名誉教授の金井壽宏先生の本を読んだときに得ました。金井先生は経営学やリーダーシップの分野ですばらしい本をたくさん出しておられますので、関心のある方は是非読んでみてください。
投資とは関係がありませんが、元気がでるお薦めの本は増田弥生さんとの共著「リーダーは自然体 無理せず、飾らず、ありのまま」です。増田さんはナイキのアジア太平洋地域人事部門長をされていた方で、本を読むとかなりエネルギーを貰えますよ!
話を戻して、僕がヒントを得た本は、金井先生の「実践知 -- エキスパートの知性」という本です。様々な分野で活躍するエキスパートに関する調査結果が書かれていました。僕が着目したのは、様々な分野で活躍するエキスパートには共通点があり、「優れた直感」もその一つだということです。換言すると、「気づき」かも知れません。優れた発見をした科学者や開発者などにその時の着想について尋ねると、「失敗から偶然に見つかった」というセレンディピティが語られることがありますね。山中教授のiPS細胞やシャープの液晶ディスプレイ開発も手違いからの偶然の発見でした。
しかし、これらは手違いの結果を捨て去らずに「何か気になるなあ」と普通の人では見逃すようなところに「ひっかかり」を感じた「エキスパート」のなせる業だというのです。そして、このような直感は「質の高い経験」を10年ほど積み重ねることで後天的に得られるスキルの一種らしいのです。
僕も修行の身ではありますが、「直感」がよく当たるようになると、それは「質の高い経験知」が蓄積されていること示唆すると思うのです。限りある人生では、「手当たり次第に自分を犠牲にするような経験」を積むよりも「質の高い自分を高める経験」をした方が自分にも周囲にもポジティブな影響を与えられると思います。「直感」が何を意味していたかを後になって省察することによって、帰納法的に自分の経験の質を知る「てがかり」になると思います。闇雲に直感を信じる前に直感を検証するということで、自分を知るということです。例えば、同じ失敗を繰り返す人は、偶然ではない可能性があり、事態を好転させるには、謙虚に事実を直視し経験の質を変化させるための「意識」が必要と思うのです。直感が毎度のようにうまく働かない場合は、経験の質を上げられておらず、ある種の望ましくない癖が固着しているかも知れません。
ちなみに、「暗黙知」とは言語化できないような知識、それに対して言語化できる知識を「形式知」と言うそうです。言語化できる形式知は氷山の一角で、そのベースには多くの「暗黙知」があるそうです。
会社などで上司に報告をすることが求められますね。殆どが上司も部下も無自覚かも知れませんが、部下は仕事上の暗黙知を増やして適格な形式知を絞り出す訓練をしていると考えてよいと思います。暗黙知が多ければ多いほど、形式知も豊富になり「直感」が働くエキスパートに近づけるようなのです。言葉で価値ある説明ができる人は、価値ある経験に裏打ちされた暗黙知も豊富ということらしいのです。投資にも応用したいですね。
少し理屈っぽい話を最後まで読んでくださりありがとうございました!