ケネディ大統領は、名コーチだった!?
米国大統領の中でも、そのカリスマ性で今なお人気の高い、J.F.ケネディ。彼のカリスマ性を一挙に高めた1961年の大統領就任演説は、今でも多くのリーダーたちのスピーチモデルとして語り継がれている。
「あなたの国があなたのために何ができるかを問うのではなく、あなたが、あなたの国のために何ができるのかを問うてほしい」
43歳で大統領に就任したケネディは、自らを「米国民の新しい世代」の一員とみなし、同世代の人々に対して、より良い世の中に向かって働くよう呼びかけたのだ。
この言葉の中に、「自己決定・自己責任」を促すコーチング的なコミュニケーションを見るのは、私だけではあるまい。指示命令禁止型のリーダーシップではなく、国民に責任を負わす言葉。これぞまさに、新世代のリーダーが取るべきコミュニケーションだ。
これまで何度も経営者に対するコーチング研修を実施してきたが、一番反応の高いのが、二世に対する研修だ。二世は創業者である親を常に意識しながらの行動を余儀なくされる。一定の修業を終えたのち、トップに立つや、自分より年長者たちを指導する立場になる。
輝かしい実績があればそれを背景に強気で指導もできるだろうが、多くの場合、親に用意された椅子にまずは座らされる。環境だけを与えられ、並行して肩書きにあった実力をつけてゆかなければならない。そのプロセスでとる社員とのコミュニケーションは、通常の社員には計り知れないほどのプレッシャーがある。
二世がコーチングに反応するのは、部下とのコミュニケーションで、決定権を部下に与えることができるからだというフィードバックが多い。営業会議において、従来なら「佐々木さん、今季の数値目標は何としても前年度10%アップを死守してください」というのが一般的であった。しかし、コーチングだと、「佐々木さん、前年度何パーセントアップを目標としますか?」と発問し、相手に決定権を与える。仮に、7%などという数字が出てきたら、「父から聞いてましたけど、佐々木さんの力ってそんなもんじゃないと思いますけど・・・」と、第三者の力を借りた承認をし、さらに上を目指す動機づけをする。
このように、年長者を立てながら、年長者自身に自己決定を促すことができるから、年若き二世にとって、コーチングは有益なのだと。日常的にこのようなコミュニケーションをとっていれば、全体会議や社内報でも、コーチング的な言葉を多用し、従業員を鼓舞することができるだろう。年齢を問わず、参考にしてほしい。
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J.F.ケネディ
元米国大統領
勝手に採点。社長あいさつコーチング #1
先日記事にした「就活指標」を読んだ、知人の社長から、自社の会社案内のあいさつ文を採点してほしいという依頼があった。採点し、その場でコーチングをすることでかなりメタレベルで自社の強みと弱みを内省していただいたようで、さっそく全面的な修正となった。
本当はそのやりとりを当ブログで紹介したいところだが、守秘義務もあるのでここでは控えたい。しかし、私の唱えていることのイメージをつかんでいただきたいので、今後、折を見てHPなどで紹介されている「社長あいさつ」を勝手に拝借し、勝手に採点してみたい。
たかが挨拶。されど挨拶。今や、企業の顔となっているHPを見るだけで、その会社社長のリーダーシップが伺える。z是非、参考にしていただきたい。
某オフィス関連会社HPより、
「(前略) このような中、弊社およびグループ関連企業では社員一丸となって、企業や学校・教育機関、官公庁・自治体などあらゆるお客様に「人間の創造性発揮のための環境づくりを通して豊かな社会の実現に貢献する」という企業理念のもと、社会への貢献と企業価値向上を目指します。事業においては、時代の変化とともに、お客様の満足を追及し、お客様の成長を支援し続ける革新的な商品やサービスのご提供を行うべく「選択と集中」を行って参ります。特に、2010年に創業xx周年を迎えるにあたり、これまでに培った教育・オフィス・情報の特徴ある3事業分野のノウハウをいっそう結集し、来るべきユビキタスネット社会に向けて、いつでも、どこでも、だれでも、何でも、自在かつ快適に情報へのアクセスやコミュニケーションができる場―「xxxxxxxxx®」を創造するインテグレーターとして、お客様のさまざまな課題に対して最善・最適なソリューションをご提供することを追及いたします。」
※「xxxxxxx@」「xx周年」は、匿名性を考慮して処理しております。
5点満点中
1.経営ビジョン(就活では、志望理由に当たる) 2点
過去、現在、未来についてブレがないところを紹介できていればいいのだが、この会社では過
去の具体的な実績が記されておらず、そこがないから、未来に向かう決意もリアリティがない。
そればかりか、「人間の創造性発揮のための環境づくりを通して豊かな社会の実現に貢献す
る」という言葉が何を意味するのか分からない。本当にこの会社でなければできないことなの
か疑わしい。文中の「xxxxxx@」は、当社独自のスローガンでユニークな点だが、これではま
だ環境・行動レベルの話。「xxxxxx@」を実現させることで、その先何を可能にしたいのか。そ
こが書かれて初めて企業の価値観やビジョン、つまり「顔」が見えてくる。
2.自社PR 1点
この会社は著名な会社であるにもかかわらず、自社の強みがまったく紹介されていないのは
もったいない。誰もが知る会社だから書く必要がないというのは不親切。もしかしたら、外国の
企業が翻訳者を介してパートナー探しをしている可能性だってあるかもしれない。自社の強み
を具体的に示しながら、他者ではできない「お客様の満足追求法」を語りたいところ。
3.熱意 1点
社長の言っていることを実現するために、具体的にどのような取り組みをいつまでにどのくら
い実現しようとしているのかが伝わってこない。マニュフェストのような細かい数字を示す必要
はなないが、大まかなフレームだけでも紹介しておかないと迫力がない。大きな企業になるほ
どおとなしめのあいさつ文になりがちだが、一瞬先が見えないIT社会になった今、社員も取
引先も一抹の不安を抱えて生活している。企業の大小にかかわらず、リーダーたるもの、決
意を内外に発信してほしいところだ。当社の唱える「xxxxxx@」を実現する本気度をにじま
せてほしい。
4.証拠力 0点
経営ビジョンとリンクするが、この会社の過去と現在の実績がまったく見えてこないので、こ
こで掲げる「xxxxxx@」がこの会社でなければできないことなのか、また、本当にこの会社
の実力でできることなのかが伝わってこない。豊富な資源があるだけにもったいない。
この挨拶が就活のES(エントリーシート)なら、残念ながらおそらくどこも通過しないだろう。唯一、当社らしさが表現できているのは、「xxxxxxx@」の部分。ここを前面に立たせて、これを実現させてどのような社会を構築したいのかを解説し、それを提唱するに足る、過去と現在を明確に打ち出すことを勧めたい。
環境・行動メッセージから、価値観・信念メッセージへ
会社案内などを読むと、たまに「当社は、高品質な○○を作り、xx業界をリードします」などというコピーを目にする。それが事実かどうかは別として、この手のコピーはインパクトに欠けるばかりでなく、社員の士気も高まらない。なぜか。それは、メッセージが「環境」や「行動」レベルにとどまっているからだ。
昔からよく言われる話に、煉瓦職人の話がある。二人の煉瓦職人に対し、ある人が「あなたたちは何をしているのですか?」と尋ねた。一人は「見てわかるとおり、煉瓦を積み上げてるのさ」といい、もう一人は「皆が集まって礼拝できる教会を造っているのさ」と語った。さあ、どちらの方がより仕事に対してモチベーションが高いと想像するだろうか。言うまでもなく、後者だ。
前者の職人は、煉瓦積みを「行動」レベルでしかとらえていないので、「作業」としてとらえていることが分かる。一方後者の職人は、煉瓦積みは「手段」であって、真の「目的」は、地域住民のために教会を造るという、彼の中にある「支援」「貢献」という価値観がベースにあることが分かる。
仮に教会を造る途中で地震などにより、作業が振り出しに戻ったとしたらどうだろう。おそらく、前者はそれまでの「作業」が無駄になったことに落胆し、作業は非効率なものとなるだろう。しかし後者はそこでも地域住民が教会に礼拝する姿を思い浮かべながら、それまでと変わりなく仕事をするに違いない。
組織を動かすリーダーは、「環境」「行動」レベルの言葉ではなく、「価値観」「信念」を感じさせる言葉を多用しなければならない。少なくとも、会社案内やHPなどには、最低限の会社としてのビジョンが必要だ。もし、あなたの会社が「高品質の○○を作る」ことが可能なら、「高品質の○○を作る」ことよって、社会にどのような影響を与えることができるのかと、考えを一段階抽象化し、「価値観」「信念」レベルに引き上げることだ。
どんな組織においても、人がそこに集まっている以上、考えがぶつかることは日常茶飯事だ。その際、「価値観」「信念」を共有していれば、「行動」「環境」のぶつかり合いはお互いに妥協して接点を見いだせる。しかし、「行動」「環境」レベルでしか共有できていない組織は、それが目的になっているため、そのレベルでの衝突は致命的になる。
「行動」「環境」レベルのメッセージから、「価値観」「信念」レベルのメッセージの引き上げることで、社外的にも社内的にも有利にことを運ぶことができるようになるのだ。