[一言]
むかし
ふるいものは うつくしくなく
かちが無いと あなたはいった

あたらしいものは つねにしんせんで
いやしく無いと あなたはいった

だからあなたは わたしを棄てるのですか
しんせんで いやしくなく うつくしい
あたらしいものが 好きなのですか

------------------
[泣くことは罪]
泣いてしまうのが一番楽で
みんなから心配されるなんてこと承知の上

それでもわたしは泣けない
それでもわたしは泣けない

朝焼けを見ても 映画を見ても
音楽を聴いても タマネギを切っても

でもやっぱり泣けない
それでもやっぱり泣けないんだ

被害者面するのが一番楽で
あいつを悪者にできるなんて知ってるんだ

それでもわたしは泣けない
それでもあたしは泣けない

夕日が落ちても 花が枯れても
闇が怖くても 手首を切っても

でもやっぱり泣けない
それでもやっぱり泣けないんだ

きみがいないと
わたしは泣けないんだ

---------------
[馬鹿男と馬鹿女]
ふと一言 凍り付いた
うつむき加減の目
長い睫が ゆっくり動く

ああ きみはなんて浅はかなの

ふと一押し 崩れてった
1時間半の為に
きみの足は 早く歩く

ああ わたしはなんてばかだったの

冷めていくのは
手に持ったスープ
醒めていくのは
わたしの心

ああ きみはなんて浅はかなの
ああ わたしはなんてばかなの
それでも好きだなんて

-----------------
[わかりやすさ]
小さな嘘をつくときは
少しだけ眉毛があがる

大きな嘘をつくときは
わたしの目を見てくれない
年輪のように 少しずつ増える癖

「なんでもわかるのよ」なんて
少し脅してみせたり

「あいしてる」なんて
眉毛をあげながら言われてみたり

嘘をつくときも 愛を語るときも
目は口程にものを言うのに

今日はわたしの目を見てくれないのね

「大嫌いよ、さよなら」なんて
強がってみせたり

ねぇ今日はなぜだか
わたしもあなたの目が見れないの

---------------
[泣き言]
電話の声 違うことに気付いた午前1時
外からは無音
突然の言葉 わたしの胸をえぐる
幸せは儚くて 
夏の夢のよう 夜なのに蜃気楼に消えていく

あなたの声 近くにあったはずの昨日の夜
耳からは振動
突然のさよなら あなたの顔は曇る
幸せは冷たくて
冬の雨のよう 寒いのに春の風は遠ざかっていく

---------------
[観察眼]
ねぇ どうせならあなたが
心から悲しんで 泣くところをみてみたい
いつもそう願うのに
気付いてはくれないね

ねぇ どうせならあなたが
心から人を愛して 苦しむところをみてみたい
いつもそう願うのに
愛してはくれないね

ねぇ どうせならあなたが
心から憎んで 怒るところを見てから離れたい
いつもそう願うのに
あなたはわたしを
離してもくれないのね?

-----------------
[かたすみに]
一日のほんの少し 考えて欲しいの
色んなことで頭はいっぱいだろうけど
一人遊びはもう嫌なの

頭の隅のほうで 考えて欲しいの
あの子で心の中はいっぱいだろうけど
頭ごなしに叱らないで

わたしの心のそこを見て欲しいの
ただ近くにいたいだけ


--------------
[無条件幸福]
あなたには頭が上がらない
何故今日はそんなに優しいの?
いつもとは違う顔 今だけわたしのもの
あなたはそんな顔で笑うんだ
凄く恥ずかしそうに笑った

あなたには上手く話せない
何故今日はそんなにおしゃべりなの?
沈黙が嫌いな子どもみたい 今だけわたしのもの
たわいもない事を話していた
煙草のケムリとあなたの声
一言ずつに唇からこぼれだした

やっぱりあなたには頭が上がらない

[どうせなら東京湾に]
叫んで放り投げた指輪は
多摩川に沈んでいきました

さっきまで左手薬指にしがみついていたのに
薄情な指輪です

怒って殴りつけた人は
わたしのキックで沈んでいきました

昨日まで別れないでとしがみついていたのに
薄情な女です

わたしが苦労をして
築き上げたイメージや
本当の気持ちを隠して
作り上げたキャラクター
あなたが作った幻影

さっきのハイキックで全部
ぶちこわしですね

薄情な恋人でした

-----------------
[強い女]
「貴方の幸せを遠くで祈っています」なんて
わたしが言うわけないじゃない
そんな強い女なわけないじゃない

わたしと一緒じゃないあんたなんて
価値がないに等しいの

「貴方が居なきゃ生きていけないんです」なんて
わたしが言うわけないじゃない
そんな強い女なわけないじゃない

あんたと出会っても別れても
わたしは1人に決まってるの

「あんたとはもう二度と会わない」なんて
わたし以外言うわけないじゃない
ひとかけらの強がりに決まってるじゃない

----------------
[手紙]
わたしの言葉を わたしの世界を
「素敵」と言ってくれて ありがとう

居場所を感じたの 温もりを信じたの
あなたの言葉に何度も背中を押されたよ

蝉が死んだ日に コートに入れた手紙を
2人で読む日はきっとこないけど
この遺書のような「さよなら」の言葉を
ゆっくりと飲み込んで欲しい
そう願っている
わたしの最後のわがまま

あなたの言葉を あなたの世界を
「素敵」と思っていたよ ありがとう

過去を脱いだの 未来を信じたの
最後まで前に進ませてくれたのはあなたの笑顔

風が撓んだ日に 帽子に入れた手紙を
あなたが気付くかはわからないけど
この遺書のような「さよなら」の言葉を
ゆっくりと飲み込んで欲しい
そう願っている
わたしの最後のありがとう

---------------
[風の噂]
なにも変わらない空 今朝も猛暑です
昨日と違うのは
イヤホンが片方聞こえないことと おはようのメールがもうこないことだけ
たったそれだけなのに 息が苦しくなる

2人で行った街を いくつ覚えているかな
2人で交わした会話 いくつ覚えているかな
そのうち新しい記憶が 
無くしたくない記憶まで流してしまうのかな

なにも変わらない空 今日も天気です
昨日と違うのは
金曜日が嬉しくないことと 街中がみんなきみに見えることだけ
たったそれだけなのに 誰かにすがりたくなる

2人で行った街の景色 もうかすれてきたかな
2人で交わした言葉 悲しい言葉が思い出せないな
そのうち新しい思い出が
笑った思い出さえも流してしまうのかな

なにも変わらない空 今日も元気です
昨日と違うのは
風の噂で きみが幸せだと聞いたこと
記憶はとめどなく流れるけれど
少しでも一緒にいれたこと
ただそれだけ残ればいいよ

記憶は流さない
もう無くさないから

---------------
[季節]
腕の中戻る夢をみた
無意味な悪夢 はやく消えてしまえ
妙になまぬるい風が
頬をすべっていった はやく過ぎてしまえ
季節はどんどん過ぎて
出会った冬はすぐやってくるでしょう
わたしを過去に置いたままで

[昇華]
いつになっても思い出すのは 16歳のあの日
救われたのかもね 君が近くにいてくれて
いつになっても思い出すのは 17歳のあの日
焦ってたのかもね 君が遠くなりそうだから

いまでも手紙が届く夢を見るよ
未練がましいわたしが嫌い

いまでも寝息が聞こえる夢を見るよ
幻想にとらわれたわたしが嫌い

17歳のあの夜 幸せだったな
君が隣で笑っていて
17歳のあの朝 苦しかったな
聞いたことない声だったから

いまでも誰かに手紙を書いているの?
半端な優しさの君が嫌い

いまでもあの約束は覚えているの?
半端な約束した君が嫌い

わたしの目にはもう君がいない
わたしが嫌い
君の目にはもうわたしがいない

------------
[あおいビン]
碧いびんは割れた
遠くで音がした

目を瞑って 碧いびんを思い出す

海のような 砂のような
さらさらした 碧い水
きれいだった たぶん

紅いびんは割れた
足元で割れた

目を瞑って 紅いびんを思い出す

涙のような 音のような
きらきらした 紅い水
欲しかった ずっと

時が経てば紅い水も 碧い水のように
きれいだったと言える日が くるの?

--------------
[恋愛裁判]
あなたからの電話に  黙秘権を行使します
あなたからのメールに 黙秘権を行使します

それでも今日も ふとした瞬間に
あなたを気にしてる

なんだかすごく 敗訴した気分

--------------
[1740]
指先も冷える風に 凍えていたね
端と端に座って 言葉も出なかった

はじめて触れたのはコート越しの背中
離れたくないのに 言葉も出なかった

それでも近付いて 蒸し暑くなる頃は
あなたの隣 歩けるようになった

ちいさな温もり離したく無かったけど
わたしの心を おおきな不安が被ってた

季節は流れて あなたは離れて
また端と端に座るけど
もう言葉は出なかった

離れたくないのに 涙も出なかった

--------------
[薄れる ゆれる]
忘れたくないと思っていたものが
薄れていくのに気付いた時
ひどく悲しくなって 走ってあの場所まで行って

それでも忘れかけていて
ただひたすら思い出そうとしてた
思い出そうとする時点で その記憶は流れているのだ

お願い だれか忘れたくない気持ちをひきとめてよ

--------------
[返却不可]
わたしにはたくさん大事なものがあって
それは家族だったり友達だったりするわけで
その中にもう君は含まれないはずなのは確かで

「さっさと返すもん返してサヨナラしようよ」って言いたいのだけれど

君もわたしと同じようにたくさん大事なものがあって
それは家族だったり友達だったり新しく好きになった子だったりするわけで
「その中にもうおまえは含まれてないんだよ」って言われたら
やっぱり少し苦しい気持ちがするんだよね

だから言えないんだ
借りたもの返してさよならなんてできやしないんだ
気持ちは返せない どうやっても
気持ちは返せない

---------------
[むしあつい日]
ほら 見てよ
雨が止んだ
手をつないで外に出よう

もう 外は
すっかり暑くて
右の指は焼け付くよう

ほら 感じてよ
頭がくらくら
してくるような日ざし

ごめんね
本当は夏なんて嫌い
散歩が好きなんて嘘
ただ あなたが好きなだけよ

--------------
[アルデバラン]
月が星を食べるように 侵食される体
目では見えないけれど
じわり じわりと

月のように きみが入るからだ
『わたしよ、このまま飲まれてしまえ』

目には見えないけれど
するり するりと

月のように きみが離れるからだ

ほら また暗闇