まんがで読破シリーズ。
名著や名作が数多く含まれ、それをまんがで描いて読ませてくれるシリーズです。
すでに記事でも何度か紹介したりしてるんですが、
今回は、エジプトの『死者の書』の<まんがで読破>版を紹介させてもらおうかと。
オリジナルの書を読むことがなくとも、こうしたまんがを通してその概要を知っておく、というのは意外と大事。
その著作の一部分なりともエピソードなどを知っていると、それだけで自分の心に何かしらのひっかかりとなって残るものなので、それが何かの番組を見たり、誰かとの会話で話題になったりすると、それきっかけでオリジナルの本の方も読んでおこう、となったりすることもあるわけです。
だから、簡易版や要約版、あるいはマンガの抄訳版なんかでも、けっこう重要なんですよ。読まないよりは、読んで知っていた方がずっといい。
前に紹介記事で勧めた作品のように、『失楽園』や『罪と罰』も、活字ビッシリのオリジナル小説・叙事詩を読むのは大変でも、まんがなら読めるでしょ?
エジプト人の死生観がわかって興味深いです。
単に、肉体から魂が離れて、という分け方で終わらず、上記のように5つの要素で人間というのは作られている、という解説があります。
霊体=カー、というのが、いわゆる魂に相当するところでしょうか。
聖霊=バー、というのは、幽体に相当するでしょうか。死んで幽体離脱した直後は、この絵にあるように、鳥のような姿になって肉体から離れ飛んでいきます。そうして、あの世につくと人間の姿に戻って、あの世に着地してゆきます。↓ こんな感じ。
この主人公トトの前には、道先案内をしてくれる鳥がつきそってくれます。
その鳥が、トトに名前を尋ねると、トトは素直に自分の名がトトであることを名乗ってしまうのですが、
安易に自分の名を名乗ってはいけない、と鳥が教えてくれます。
名前は自分の本質なので、無闇に相手に知られてしまい、もしその相手が邪悪な意志を持つ魔導士のような存在だったら、あなたの名を使ってあなたを動けなくしたり操ったりと、危険な目に遭ってしまうから、無闇やたらと名前を名乗ってはいけないのだと。
悪魔・悪霊に正体を知られることなかれ、というのは、霊的に見ても実に含蓄のある教えも入っていて、非常に興味深いところです。
「ハムナプトラ」に出てきたスカラベの大群みたいのも登場して怖いです(笑)。
でもスカラベというのは、ファーブルが昆虫記で面白おかしく紹介してくれている「ふんころがし」のことですからね。こがねむしなどと同じく甲虫の仲間で、別に人を襲って身体をくいつくすような恐怖の虫ではありませんから、怖がることはないのです。
三途の川と同じく、エジプトでもあの世へ完全に移行する前には、川を渡らなければならないようです。
この直後に舟が現れて、トトはその舟に乗って、さらに冥界の先へと進んでいきます。
ギリシア神話でも冥界の河ステュクスを渡る舟が出てきます。渡し守の名はカロン。冥王星の衛星に、このカロンの名がつけられていますね。
日本に限らず、エジプトそれからギリシアその他、あの世では川を渡るというのが普遍的に知られたことであるのが、よくわかります。
舟の上で、トトは案内役の鳥と会話をしています。
すでに先に亡くなって、あの世にいるはずの母親について、鳥に話しかけるトト。
母への感謝を語るトトの言葉をきいて、なぜか「ありがとう」と答える鳥さん。
鳥さんの言葉づかい、女性ことばですよね、よく読んでみると。
なぜ「ありがとう」なのか、わかりましたか?
そんなこんなで、いろいろ不思議な体験をしていくうちに、神々の集う神殿の入り口に到着しました。
これから、この中に入っていって、トトは生前の思いと行いを神々の前で明らかにされ、死後の裁きを受けるのです。
そこは真実の間であり、神々の前で嘘偽りを言うことなく、自分がどのような人生をおくったのかを正直に告白しなくてはいけない。
トトが語る自分自身の人生を、神々はじっと聞いていて、トトが語るのを終えた時に、神々の審判がくだるのです。
これまた、洋の東西を問わず、あの世に帰ったら、生前の思いと行いを点検され、その是非によって天国へ帰れるか、それとも地獄へ堕ちるかが決まるという、そうした峻別の場があることが描かれていて、とても興味深いです。
さぁ、トトにはどんな判定がくだされるのか。
つづきは、本を買って読んでね(笑)。
※注;以前はこのシリーズ130冊以上がkindle電子書籍でも購入できたんですけれど、いま確認してみたら、相当数が電子書籍では購入できなくなっていて、上記『死者の書』も今は紙本でないと購入できないようです。
今でも電子書籍で買えるのは、以下のページにあるラインナップのみのようです。
マンガで読破シリーズ・kindle版ラインナップ
公式サイトを見たら、
https://www.teambanmikas.com/mandoku
随時、それらのラインナップも復活する予定みたいなことが書いてありました。
何かしらの修正があって?、そういう段取りになったんでしょうか?
わたしは最初の版で出ているもの全て電子書籍で買ってあるので、いまでも全部読めますけどね。
買えるうちに買っておくのが吉! 電子書籍と言えどもいつでもあるわけじゃなくて、配信されなくなったら読むことが出来なくなるんですよね。
配信中に購入したものは、配信が終わっても自分の端末で読むことが出来ますし、もし端末を買い替えても、配信元からきちんとダウンロードできるので、ラインナップにあるうちに手元に仕入れておくのがやはりいいなぁ、とわたしは使っていて思います。