『連合艦隊の最後』に思う | LEO幸福人生のすすめ

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海軍記者・軍事評論家、伊藤正徳氏(1889-1962)の著書『連合艦隊の最後』。

終戦後10年を過ぎたころに、立て続けに先の大戦に関する真実を書き綴った書を数冊書き、『連合艦隊の栄光』を絶筆として、帰天した人である。

 

渡部昇一さんが、昭和の戦争を知るには、この人の著書を読むべし、といって勧めていた著者でもあります。『軍閥興亡史』『大海軍に思う』『帝国陸軍の最後』などの著書によって、大日本帝国の陸軍・海軍の最後へと至る過程を詳解し、いかに日本の軍人および日本人たちは生き、戦い、力尽きて行ったのか。そうして最後にはその命を捨ててまで、のちの日本人に何を伝え残していかんとしたのか、これを伝えてくれています。

 

国滅びても、精神を失ってはならぬ。大和魂のいかにあるべきかを、生き残った日本人たちに伝え、その精神を引き継いで、日本の復興に助力してほしいと。

最後の最後には、もはや勝つことは決して叶わぬ絶体絶命の窮地において死地に赴いた戦士たちは、ただ愛国の心と、国を守る精神の輝きを残して、われわれにその思いを伝え去っていったのだと。

伊藤正徳氏は死んでいった英雄たちの代わりに、その戦いぶりをつぶさに伝え、それを最後の使命として著書に残し、その仕事が終わった時に永眠したのでしょう。

 

 

戦艦大和を旗艦とする第二艦隊に、最後の指令<沖縄へ向けて片道燃料をもっての出撃>が下った時、乗組員一同、ただ粛々として自分の任務を遂行せんとして持ち場に着いたという。

万が一、沖縄に到達できて上陸することが叶えば、一兵卒として銃剣で米兵と戦う覚悟をもって、水兵たちは銃剣の刃付けをしていたとも伝える。

しかし、沖縄に生きて上陸することは、まずあるまい。100%確実に、そこまで到達する以前に、大和以下の軍艦はすべて、アメリカの航空部隊の攻撃によって沈められてしまうだろう。

連合艦隊には、敵航空部隊を迎撃するだけの航空戦力はすでに無く、無防備の艦隊をアメリカ航空部隊は好き放題に爆撃できる状態での、日本艦隊の出撃なのだ。裸の艦隊を空からの無限攻撃に耐えて生き延びさせることは出来ない。沈没は時間の問題にすぎない。

しかし連合艦隊は、この最後の出撃を避けるわけにはいかない。艦隊を温存させても後は無い。せめて最後の戦いに、日本人の何たるかを示し、大和魂の真実を示してこの世を去ろう。そうして生き残った日本人たちにその精神を受け継いでもらい、日本を滅亡の淵から再生させてほしい。そう願って彼らは戦地に赴いたのだ。

 

沖縄へ向けて出撃が決まった時、艦隊から下ろされた者たちが少なからずいたという。

まだ乗艦して間もない、海軍兵学校を卒業したばかりの新人たちである。彼らは士官候補生として意気揚々と乗艦してきた若人であったが、上官指令でみな退艦を命じられたのだ。

生き残ること100%叶わぬ死地への出撃に、これからの未来を担うべき彼らを乗せるわけにはいかぬ、ゆえに彼らのみは下船して本土に残り、命を生きながらえて日本の以後を背負ってもらいたい、ということであったろうが、降りよと下命された彼らは到底そんな指令には承服できない。殺気を帯びて承知しなかったという。以下は彼らの言葉。

 

 

「自分たちは、お国のために命を捨てるのを誇りとするものです。いま最後の大決戦にのぞんで戦列から除かれることは心外千万です。国へ帰ってどの顔をして父兄にまみえられますか。ぜひとも連れていって下さい」
 と迫って承知しない。そこで各艦長は感激の涙をたたえ、「じつは今度の戦闘は実戦を経た者だけで演るのだ。未経験者は邪魔になるのだ。それで退艦を命令するのだ」と諭してようやく納得させた。やがて彼らは各艦の内火艇に移乗し、肩を組み合って頭を垂れて悄然と艦から去って行った。そうして対岸に整列して日の暮れるまで艦隊を見つめていた。(著書より引用)

 

 

出撃の前夜は、別れの盃をかわしたという。最後の一夜を飲み尽くし、しかして誰も酔うことがなかった、ともある。とある艦の艦長が、夜も更けてようやく自室に戻る途中ふと見ると、ひとりの機関兵が一人で発電機に油をそそいでいる姿を見つける。何をしているかを問うと、彼は言ったという。

 

「意義の深い今夜、万一発電機の故障でも起きて停電したら一大事です。だから、酒好きの同僚と交代して自分から発電機当直を引き受けました」

 

淡々と爽やかに語る彼の言葉を聞き、艦長はただ黙礼してその場を去ったとある。

 

最後の出撃に際して、乗艦していた人々が、どのような思いでいたのか。どんな気持ちで出撃していったのかを、わたしたちは忘れてはならないのだと思う。いな、忘れる以前に、そうしたことどもをどれだけ知っているであろうか。

 

そういう意味でも、こうした名著を多くの人に知ってもらいたいと思わずにはいられないし、そういう気持ちもあって、今回、この名著の電子復刻版の発刊に私も少しばかりの協力をさせてもらいました。

 

光人社文庫で上記の著書群はすでに発刊されていますが、大型書店でないと見かけるのは難しいでしょうし、むろん今はネットで注文すれば購入できますけれどね。読む機会は少ない。

なので、これを電子書籍でも発刊できればいいなとそういう願いもあって、少しばかりの協力をする機会を得ましたので、年内に電子版が出ましたら(予定)、興味のある方はぜひ一度手に取って読んでみてくださいませ。先の戦いでの、連合艦隊の戦い、その意義をいくばくか知ることが出来るかと思います。