『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』読了 | SP館のブログ 空間づくりのおてつだい

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久々の書評ですが、少し視点の違う書籍を。
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”遊べる本屋”として全国に展開されているヴィレッジ・ヴァンガードの創業者の方のエッセイ集です。


ヴィレッジ・ヴァンガードはわが愛知県においてはもはやマストとも言うべき本屋さんであり、
私も多感な少年期より活用させていただいていました。

本を探すというよりも、本の読み方を探すって表現がしっくり来るように、
なんか宝物を探すような感じで本を探してたのが懐かしい思い出です。
書籍にリンクした、おもちゃや音楽、お菓子なんかまでディスプレイされてて、
今でこそこういった関連付け陳列ってのも珍しくなくなりましたが、そのさきがけあったような気がします。


この書籍では、創業者の菊地さんがどのような考えでヴィレッジ・ヴァンガードを創ったか、そしてどのような感じで運営してきたかを、すごく軽妙なタッチで描いています。


その中ですごく毒もあるけど、あったかみのある表現として
「おっさんをダマす」「そのおっさんの子供世代もダマす」って感性。

ヴィレヴァンの代名詞とも言うべきPOPとあいまって、その独特の世界観にドップリはまること。
そして、ついつい「使わねえだろう。。」ってツッコミを入れたくなるような商品をまんまと買わされてしまうこと。
それを愛を持ってやっているからこそ、永年愛される業態として生き残ってるんだなあって感じました。

創業期はバブル崩壊に重なる時期。
団塊の世代が世の中の中心となってて、消費だけが正義ではないことが声高に叫ばれてきた時代でした。
その中で、ちょっとかっこつけたオシャレな消費へのアンチテーゼとしてこういった業態を世に生み出したことはすごくカッコいいことだと素直に感じます。

空間演出に携わるものとしても、店舗立ち上げの際のコンセプトの決め方とか、ディスプレイの配置の考えなんかはすごく刺激になります。
というより、こんな感じで決めてたんだなって面白かったりします。
実際、当社の本社の近くに本店があるんですが、設立当初の間取りと今の間取りがほとんど変わってなかったりしますし、EAST店も良く行ったところですが、そこのコンセプトとして「一回階段を上がって、店内に入ったら階段をまた下りる」って意味の分からないところも、結構自然に受け入れてた当時の自分が面白かったりもします。


すべての話にわたり、本はもちろん、雑貨、おもちゃ、家具、音楽、バイク、クルマなどの世界観を本当に好きな気持ちがいっぱいに伝わってきます。
この愛こそが、どんなメソッドもかなわない、最強のビジネス戦略だっていうことが、痛いほど分かりました。


参考になりましたら幸いです。
いろいろなサイン・ディスプレイ扱ってます。