仏教に四禅という教えがあります。
始めの初禅とは、欲に塗れた生活を離れて、一度に一つしか欲を満たさないようにすることです。私たちは欲に塗れるから、心が穢れ、不安が生み出され、不安を誤魔化す為にますます欲に流れるようになります。だから欲を満たしたとしても、心の中を欲で満たさず、余裕を作ってゆくのが最初の初禅です。
次に二禅とは、常に中道を保ち、心に張りがあり、それでいて、頑張りすぎることもなく、緩むこともない状態にすることです。私たちは一時的には心に余裕を作ることはできます。しかし、その緊張感が続かず、他人が見ていない所では欲に流れて、心を欲で満たしてしまいます。それでは自分の心を見つめることも、相手の心を見続けることもできません。一緒にいる人に安心した心でいる為に、いつも余裕を保ち、他人の為に気持ち良く動くことができるようにすることが二禅です。
次に三禅とは、心に余裕ができると、その余裕をまわりの人は簡単に奪ってきます。飲み物が欲しいとか、お腹が空いたとか、これをして欲しいとか、これを買ってきて欲しいとか、余裕があったらあった分だけ用事を頼んできます。そんな時になんでこんなに動かなければならないのかと、自分のやった労力に執着することなく、気持ち良く相手の為にどれだけでも動いてあげることが三禅です。
次に四禅とは、相手の為に動いてゆくと、相手はこんどは苦しみをぶつけてきて、私の心を悩ませ苦しませます。そんな時、なんで苦しまなければならないのかと思ってしまいますが、他人の為に苦しみを受けたとしても、苦しみたくないと苦しみにとらわれることなく、気持ち良く苦しんであげて、自分の苦しみも相手の苦しみも取り除いてゆく。それによって苦しみも障りとならない境地に出ることが四禅です。
この四禅を実践することで、あらゆる執着から離れ、苦しみのない世界に出ることが四禅の目的なのです。