私たちは現実世界にとらわれています。自分が死ぬとなっても問題になるのは現実世界ばかりで、自分の財産を誰に渡すかということしか問題にしません。
でも、死んでしまったならば、現実世界で得たものは、すべて置いてゆかなければならなくなります。
自分が持っていたという記憶さえも失い、執着だけが残ります。
だから、本当はすべてを失って、何が残るかを問題にしなければならないのに、本当に死ぬまで、何が残るかを問題にすることはなく、死んだ時に、お先真っ暗な状態で死んでゆかなければなりません。
頭では、死んで持ってゆけるものはないと知っているのに、持って行けないものに執着している。それは本当に失うとは思ってはいないのですね。
だから、みんな自分が死ぬとは思っていないのです。
死ぬが死ぬまで自分は絶対に死なないと思っているものが私たち。そして、絶対に死なないと思っていることも気づかず生きているのが私たちなのです。
死ぬとは思っていない私たちが死ぬ。だから、人生は大問題なのです。
この大問題に気づかず、現実世界に執着しているものが私たちなんだなと思いました。