多くの人は現実の自分よりも高い所に自分のイメージを置いています。
そして、自分が生きてきた分だけ価値のある人間になれたのだと思っています。
しかし、現実の自分はそんなに高い価値のある存在ではない。だから、そのギャップを埋める為に、誰かを見下して、優越感に浸ることによって自分は高い価値のある存在なんだと安心しています。
でも、まわりの人を見下せば、見下すほど、自分のイメージした価値のある存在から降りることができなくなる。
それは降りた瞬間、今まで見下してきた分だけ、見下されているように感じて惨めな思いをしなけれぱならないからです。
その為、現実と理想とのギャップは時間と共に広がり、自分のイメージの中だけ、どんどんと価値の高い存在となってゆきます。
こうなると、どうやっても現実を受け入れることができなくなる。現実の自分は何も変わらないまま、自分の中だけは自分は価値のある存在なんだと思って生きてゆくことになります。
その精算をする時が臨終。
死を目の前にして、自分の人生は何だったのかと後悔の涙を流すことになるのです。
私たちは価値を問題にします。でも、その価値とは現実の自分が変わっていかなければ意味がありません。
現実の自分から目を逸らさないこと。それが大事なことなんですね。