カキドオシの暴れん坊症候群
カキドオシは「垣通し」であることはよく知られています。
実際、カキドオシのランナー(走出枝)がフェンスやブロック塀の風穴を突き通して、
反対側に飛び出ているのを結構見ました。
これには不思議な法則があって、暗い側から明るい側へと飛び出してくるのです。
暗くて乾きにくいところで発芽して、後から明るいところに出て日光を獲得する。
そんなしたたかな戦術を持っているようです。
花はシソ科カキドオシ属のすべてに共通する花の色形です。
花だけではキランソウ、ジュウニヒトエなどと区別がつきません。
4月、ボワボワッとした草むらのある一画が薄紫に染まると
「ああ、いたのね。」
と、やっと気が付く、そんなカキドオシ。
西洋カキドオシもほとんど同様の姿・葉です。
特に白い斑入りのものが「グレコマ」と称して園芸店に出回ります。
グレコマは本来これらカキドオシ属グループの学名なのに、
この特定の園芸種をそう呼ぶ習わしになってしまいました。
里地のカキドオシも「グレコマ」も共通の特性があります。
たった一株でグングンとランナーを張り巡らせて四方を圧する勢いを見せながらも、
退潮して消えゆくのもまた早い。
彼らの暴れん坊ぶりには、
少しばかり儚さと愁いを感じます。