客家拳の姿勢において、非常に印象的なのが熊腰と呼ばれる要領です。
実に特徴的で立ち姿一つで特異な武術だとわかるようなところがあります。
腰とは言うのですが実際にはいわゆる腰の部分ではなくて、胴体部全体に通じる物となります。
三国志演義などを読まれている方はご存知でしょうが、中国の古典ではよくこういう観相に関する言葉が出てきます。
龍顔であるとか、猿臂であるとか、燕眼なんていうのもありましたね。
中国武術でもそのようにして要訣を伝えることが一般的です。
客家拳ではこの熊腰があるから私が大きい丹田と呼んでいる物が活用できます。
この熊腰と併せて、豹の頭、虎のイと師父が言われました。
「イというのは胃袋のことですか?」と訊くと、そうではないといいます。
「意思の意ですか?」と訊くと、そうではなくて威容の威だということでした。
それから重ねて「熊の腰に虎の威。あなたのことですよ」とおっしゃられました。
そう。私は確かに熊と虎を併せたような生物です。
そして、なんだかそれはバイオレンス・ジャックっぽい。
豹の頭といえば、豹子頭の林冲が彷彿させられます。
あれはどうやら、額が狭いという意味だそうですね。
私の額はだいぶ広いのでそこはちょっと違いますがいや、それは武術の要訣ではなさそうなので大丈夫でしょう。
三つの内、二つ合っていたらだいぶこの武術は私と相性が良いと言えるのではないでしょうか。
威風あたりを払い、品格と尊厳を貶めないよう武術を伝えて行きたいものです。
そういえば、かつて師父が私を後継者として認めてくれたときに、三つの理由があるとおっしゃいました。
一つは、武術を愛していること。
そして正しい道を歩むだろうこと。
それから、私なら嘗められることがないだろうということでした。
これは威があると言い換えることも可能でしょう。