鉄線勁と膜の勁 | サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ

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気持ちよく生きるためのライフスタイルとしての南派拳法(カンフー)蔡李佛拳とエスクリマ(フィリピン武術)ラプンティ・アルニス・デ・アバニコを横浜、湘南、都内で練習しています。オンライン・レッスン一か月@10000で行っております。
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 このところ大きな丹田発勁について書いていますが、これは昔、蔡李佛の勁の段階に関する中で聴いていたことでした。

 蔡李佛は本来、初めは重勁という勁を会得する段階から始めます。

 これは放鬆のことであると思われるのですが、次の段階では鉄線勁と言われる物を入れます。

 ま、私は手っ取り早く生徒さんにはこの鉄線勁の段階からお伝えしていますが。

 鉄線勁で打たれると鉄パイプで殴られたような感触があるので大変に驚きますが、要するに整勁の類です。

 勁の種類で言うと重い系なので、やはり重勁からの発展であるので、用法自体は何も変える必要がなく、ただ幅が広がるということになります。

 この鉄線勁の特徴は、文字通り体内に鉄線状に張られた勁の繋がりであるということで、この鉄線様の勁が正しく走ることが大切です。

 ちなみに先日再開した友人は、太極拳について教えてくれたお礼にこれを伝えた処、功があるのですぐに出来るようになりました。

 特徴としては、開発段階が非常に痛いことですので、順調にいくほど痛みを感じることになります。

 彼はちゃんと悲鳴を上げていました。

 この鉄線は、痛みに導かれながらまずどんどん太くしてゆきます。

 内勁の構造を支える勁は太いほど丈夫で強いので。

 ほとんどの拳士はこの段階までで充分です。

 しかし、上級者に入ると今度はこの線を細くしろと言われます。

 そうして線を細くして行って、構造をあいまいにしながらも繋がっている状態を作ってゆく。

 と、今度はそれが「膜」となります。

 細い糸を編み込んで膜を作っている訳ですね。

 この膜が仕上がってくると……恐らくは、大きい丹田なんですよね。

 この段階になると、全身を勁力の詰まった鉄球として相手を轢くという状態になります。

 それまでの状態は例えるならば、鉄線を組んで作った鉄骨で相手をぶん殴るという感じでしょうか。

 鉄骨と鉄球、どちらで殴られるのも嫌ですけれども、この鉄球の段階になると、これが客家拳類のような南派短拳と共通性が出てきます。

 もしかしたら、多くの中国武術はこの段階で融合する物なのかもしれません。

 私の師父のお爺さん先生に当たる高名な老師は太極拳の勁は全て靠であると著述しているので、太極拳もこの球の勁であると解釈がしうると思います。

 そして、この段階になると、丹田の働きが大きくなるので、大いに精神的な影響もあると思われます。

 非常に面白い段階に入りつつありますね。