フィンク・ジュリウス先生の筋トレ本を読み終わりました。
それに続いて、現在は「プリズナー・トレーニング」の翻訳者の方が訳した「マッスル・エリート養成講座」という本を読んでいます。
こちらの本はと言いますと、米軍でのトレーニング・マニュアルをアップデートさせたと言う軍の指導者によるトレーニング・マニュアルです。
面白いことに、こちらのメソッドのコンセプトは、最小の時間、引用するなら一週間に二時間以内の時間で最高度の肉体の発達を促すという物で、私の提唱するフリーダム・ボディ・エクササイズとまったく同じところがあります。
一般に、トレーニーは一度ジムに入ると二時間ほどは時間を使うことが多いので、それによってかなりの部分生活のリソースを割かなければなりません。
その人生の配分を効率化し、条件による拘束から自由になると言うのは大切なことだと私は考えています。
では、そのためにはどのようなメソッドが良いのかと言うと、これがやはり生化学的な側面からのアプローチとなっていました。
そして、やはりこちらも自重を活用したキャリステニクスであると。
この部分に関しては、ジュリウス先生がウェイトを活用しているところとは差異があります。
この、生化学的アプローチに関して興味深いのは、インターバルの捉え方です。
現在のトレンドであるHIITというインターバル・トレーニングでも、その名の通りインターバルの存在によって効果が出るとされています。
私自身はそこに拘ってきてはいないのですが、すでにカウントの仕方に入ってきている部分がありました。
というのも「プリズナー・トレーニング」で紹介されているポール・ウェイド先生のメソッドでは、基本的にシンプルなセットとレップスのカウントの仕方しか紹介されていません。
ですが、同著でモデルを務める、ウェイド先生の弟子であるカヴァドロ兄弟のメソッドなどを見ると、独特のカウントの仕方が採用されていたのですね。
私はこれを、カヴァドロ兄弟のトレーニング地であるブルックリンにちなんでブルックリン・カウントと呼んでいました。
どのような物かと言うと、まずはやりたいトレーニングを一回やったらインターバルを取ります。一回だけ。腕立て伏せならそれを一回、下げて、上げるだけです。
たったそれだけです。
たったそれだけですが、実はほとんどの人がこれが出来ないと言うのは繰り返し書いてきました。
みんな、頭か下腹部がのけぞったりするだけのいわゆる「ヘコヘコ腕立て伏せ」で、まったく上肢の関節が屈伸していなのです。
ですのでそれはノーカウント。
一回、きちんとフルストロークで、顔からおへそまでがしっかり床に接近して静電気を感じるほどの処に持ってゆきます。
そこから、のけぞったりせずにまっすぐと元のところまで持ち上げる。
次のセットでは同じことを二回やります。
で、また休んだら、3セット目は3回やります。
というように、セット数と回数を同じ数にしてやってゆく。
こうすると、例えば腕立て伏せが20回できる人は、完璧なフォームでの腕立て伏せを20回連続でやるまでに、三桁に渡る数の反復をしていることになります。
これがブルックリン・カウントです。
私はどうしても、正確なストロークで30回は出来ません。
ですので、いままでは20回を3セットくらいでやることが多かったのですが、これは実は筋持久力を増やす意味はあっても筋力と筋量にはアプローチしないと言うのが一般的に言われていることです。
10回までしか出来ない強度の運動をするというのが筋量を効果的に増加させる方法だというのですね。
だから、腕立て伏せが10回楽に出来るようになってしまった人は、ベンチプレスで自重より少し重いウェイトを上げることになる訳です。
10回以内で筋力を使い切るだけのちょうどいい負荷を調整することが大切だとされています。
ウェイド先生のメソッドなら、腕立て伏せのフォーム自体をより高強度な物に変えて負荷を増してゆきます。
この、通称ブルックリン・カウントが、今読んでいる本では「ラダー」という名前で呼ばれていました。
はしごです。
はしごですので、登るだけでは無くて下りがあります。
セットの途中でもう筋力が持たなくて墜落をしたら、そこから下りのセッションが始まります。
27回で墜落したら、次のセットで歯26、その次は25、と回数を減らしていきながら、1回1セットに戻ってゆくのです。
先ほど、10回出来るか出来ないかくらいの負荷が筋量アップには最適だと書きました。
しかし、これは明らかにそのコンセプトの真逆にあります。
果てしなく回数が多すぎてどう見ても筋持久力アップのためのメソッドだと思われます。
ですがここでその機序に変化をもたらすのが、生化学の部門。体内における化学物質の内分泌です。
このやり方ではどうしても多数のセットを行うことになります。
そのセット間はインターバルになる。
これによって、体内の生理物質の分泌に変化が起きて、その効果が継続することで超回復のレベルが高まるのだというのですね。
ジュリウス先生の生理学的な理論によると、筋肉のパンプがそれに関与していると言います。
現在私は4/7法と言う物を行っていて、大胸筋がパンパンになると以前に書いたことがありました。
このカウント法は、いま書いたラダーの一種です。はしごの四段目から七段目まで登ることになる。
これによって確かに大胸筋は握りこぶしのようにパンパンに膨れ上がるのですが、はたしてそれで効果があるのかというのが少し疑問だったのです。
ジュリウス理論だとこれこそが利いているようですね。
となると、このラダーを採用した場合、一体どれだけのこうかがあるのでしょうか。
あまりにきつそうなので恐ろしいのですが、やってみたくて仕方がありません。
そして、しばらく試してパンプ自体に効果があると感じられたなら、今度はその状態にどのように持ってゆけるかを研究したいと思っています。
回数が多くなくてもパンプによって化学的刺激が与えられて効果があるのなら、筋細胞を殺したり関節に負担を掛けたりする必要は減る訳です。
日本では、関節にベルトを巻いて同じ効果をもたらす加圧メソッドが流行しました。
あの方法は高血圧を招くなど危険度が高く、きちんと指導を受けたインストラクターの監修の物でしか認められていません。
その部分の危険もかけずに向上する方法を探ってゆきたいと思っているのです。