「ジョーズ」
(原題:Jaws)
1975年6月20日公開。
海水浴場を恐怖のどん底におとし入れた巨大な人喰いザメとの死闘を描く。
スピルバーグ監督の出世作。
興行収入:$265,859,065。
原作:ピーター・ベンチリー
脚本:ピーター・ベンチリー、カール・ゴットリーブ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:
ブロディ:ロイ・シャイダー
市長ボーン:マーレイ・ハミルトン
クィント:ロバート・ショウ
フーパー:リチャード・ドレイファス
あらすじ:
それは、6月のある夜に始まった。
小さな海水浴場アミティの浜辺には、気の早い若者のグループが焚火を囲んでビールを飲んだりギターをかき鳴らしてたわむれていた。
その中にクリシーという女子大生がいた。
波打ち際めがけて走り出し、一糸まとわぬ姿でなまぬるい夜の海に飛び込んだ。
どんどん沖へ出る。
やがて彼女は何かが自分の足をひっぱっているような衝撃に襲われた。
次の瞬間、水面から身体が浮き上がった。
恐怖で声が凍って、クリシーの身体はかき消すように海面から消えた。
彼女が最初の犠牲者だった。
翌朝、アミティの警察署長ブロディ(ロイ・シャイダー)の家に電話がかかり、溺死者が出たとの報告が入った。
浜辺に直行したブロディは、そこに打ちあげられているきりきざまれたような人間の肉体の断片を目撃し、吐き気を慌てて呑み込んだ。
署に戻ったブロディは事故報告書の死因欄に“鮫に襲われて死亡”と書いた。
ブロディは海岸に遊泳禁止の立て札を立てることを決意したが、アミティ市の市長ボーン(マーレイ・ハミルトン)が顔色を変えてやってきた。
アミティは夏の間に海水浴場がおとしていく金で、住民が細々と残り1年の生活を成り立たせているような、典型的な宇美の町だった。
海岸を閉鎖する事は大変な死活問題である。
死因は鮫でなく漁船に巻き込まれたかもしれないというのがボーン市長の主張だった。
検死官も市長の言葉に追従した。
翌日の日曜日、大勢の人が浜辺にでて初夏の太陽を楽しんでいたが、ブロディの心は落ちつかなかった。やがて第二の犠牲者が出た。
少年が海中に消えたのだ。
少年の母親は復習のために3千ドルの賞金を出すという新聞広告を出した。
同じ日に開かれた市議会では、海岸を閉鎖すべきか否かで激しいやりとりが交わされた。
そのとき、会場の後からボソリとした声がした。
漁師のクィント(ロバート・ショウ)で、1万ドル出すなら人喰いザメを殺してやろうという申し出だ。
やがてブロディに援軍が現われた。
若い海洋学者フーパー(リチャード・ドレイファス)だ。
クリシーの遺骸をみたフーパーは間違いなく鮫の仕業で、しかも誰も今まで見たことがないような巨大な鮫だという。
賞金につられてアミティの沖合いに群がった漁船の一隻が全長4メートル余りの虎鮫をしとめて戻って来た。
人々はこれこそ人喰い鮫と騒ぎ立てた。
しかしブロディとフーパーはクリシーの遺骸から虎鮫の口蓋が小さすぎると感じた。
その夜、虎鮫の腹を切り裂いた二人の前に人間の肉片は発見されなかった。
翌7月4日、アミティの海開きだった。
早朝から海水浴場が続々アミティからやってきた。
武装した見張りがボートに分乗し、ヘリコプターを配置してものものしい雰囲気だったが、その裏をかくように巨大な殺人マシーンは狭い水路をさかのぼり、その先の広い入江に向かっていた。
ボートに乗っていた若い男がまたたくまに犠牲になり、ブロディの子供もあやうく喰い殺されるところだった。
海岸は閉鎖され、クィントは正式にやとわれた。
彼の漁船“オーガ号”にブロディとフーパーの3人が乗り込んで、鮫殺しに出発した。
数時間後、殺人マシーンが、姿を現わした。
全長8メートルという巨大なホオジロザメで、体重は3トンもあろうかという信じられない怪物だ。
クィント得意の武器である樽をつけた銛も、今度ばかりはまったく通じなかった。
鮫は挑戦するように巨大な体をオーガ号にぶつけてくると、船底はたちまち破られ、水が入ってくる。
もはやクィントはお手上げだった。
フーパーは最後の手段として金の檻に入り、海中に入った。
そこから強烈な毒を撃ち込もうというのだ。
しかし、鮫にとって金の檻などマッチ箱にも等しく、たちまち破壊され、フーパーは海底に沈んでいった。
オーガ号に対する鮫の本格的な攻撃が開始された。
オーガ号は半分沈み、クィントがひとのみで喰われた。
船に残されたブロディは、再度襲ってきた鮫に酸素ボンベを咥えさせた。
オーガ号のマストに登ったブロディはライフルでその酸素ボンベに狙いを定める。
ものすごい爆発音がおわると、再び静寂が訪れた。
そしてフーパーも船に戻ってきた。
船は沈み、二人は木片につかまって岸に向かって泳ぎ出した。
コメント:
シーズンを迎えようとする平和な海水浴場を恐怖のどん底におとし入れた巨大な人 喰いザメとハンターの死闘を描くサスペンス。
AFIが選抜した「スリルを感じさせる映画100」の堂々大2位にランクアップしている。
スピルバーグという監督の名前は世界に知らしめた最初の大ヒット作品だ。
原題の「Jaws」とは顎(あご)の意味である。
ピーター・ベンチリーによる1974年の同名小説が原作。
とある平和な町の海辺で人を襲い出した巨大なホオジロザメの恐怖と、それに立ち向う人を描いた海洋アクション・スリラー作品である。
何といっても、やはり最初のスリラーシーンは、ジョーズのテーマ曲が流れだすシーンだ:
そして、ジョーズをやっつけることに成功するラストシーンも印象に残る:
『ジョーズ』はアカデミー賞(第48回)において、作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)、録音賞(ロバート・ホイット、ロジャー・ヒーマン、アール・マドリー、ジョン・カーター)、編集賞(ヴァーナ・フィールズ)の3部門を受賞し、作品賞にもノミネートされた。
しかし、スピルバーグは監督賞にノミネートすらされなかった事実に大いに憤慨した。
ウィリアムズの音楽は、オスカー以外にも、グラミー賞、英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞も受賞した。また、フィールズは、アメリカ映画編集者協会によるエディー賞において、長編映画編集賞を受賞した。
また、第29回英国アカデミー賞では最優秀作品賞・監督賞・俳優賞(リチャード・ドレイファス)・編集賞・音響賞に、第33回ゴールデングローブ賞では最優秀映画ドラマ賞、監督賞、脚本賞にノミネートされた。スピルバーグは全米監督協会から全米監督協会賞にノミネートされ、全米脚本家協会からはピーター・ベンチリーとカール・ゴットリーブの脚本が脚色ドラマ賞にノミネートされた。
『ジョーズ』は公開されてから何年もの間、映画評論家や業界の専門家から史上最高の映画の一作として頻繁に引用されてきた。
アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)が1998年にまとめた「アメリカ映画ベスト100」では48位であったが、2007年の「10周年エディション」では56位に落ちた。
またAFIは、2003年の「悪役トップ50(アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100)」ではサメを18位にランクインさせ、2005年の「名セリフベスト100」ではロイ・シャイダーのセリフ「もっとデカい船が必要だ(You're Gonna Need a Bigger Boat)」を35位、同2005年の「映画音楽ベスト100」では6位、そして2002年の「スリルを感じる映画ベスト100」では『サイコ』に次いで本作を第2位とした。
2003年、ニューヨーク・タイムズが選んだ最高の1000本の映画にも含まれた。翌年には、Bravoネットワークの5時間のミニシリーズ「The 100 Scariest Movie Moments」の第1位に選ばれた。
シカゴ映画批評家協会は、2006年にこれまで製作された映画の中で6番目に怖い映画に選出した。
2008年、『ジョーズ』はエンパイア誌によって歴史上5番目に優れた映画にランクされ、クイントは史上最高の映画キャラクター100人のリストで50位にランクインした。
「ジョーズ」は、大ヒットした結果、いくつも続編が制作されている。
『JAWS/ジョーズ』、『JAWS/ジョーズ2』、『ジョーズ3』、『ジョーズ'87/復讐篇』の合計4作品に及ぶ。
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