「ゴー!ゴー!アメリカ 我ら放浪族」
(原題:LOST IN AMERICA)
1985年3月15日公開。
日本未公開。
会社の高給取りが昇進を反故にされたことから妻と共に放浪の旅に出るコメディ。
興行収入:$10,179,000。
脚本:アルバート・ブルックス、 モニカ・ジョンソン
監督:アルバート・ブルックス
キャスト:
デヴィッド・ハワード:アルバート・ブルックス
リンダ・ハワード:ジュリー・ハガティ
あらすじ:
デヴィッドとリンダのハワード夫妻は、ロサンゼルスに住む典型的な 1980 年代の「ヤッピー」で、ブルジョワ的なライフスタイルに不満を持っていた。
デヴィッドは広告代理店で、リンダはデパートで働いているが、期待されていた昇進が得られず、代わりにニューヨーク市の会社のオフィスへの転勤を求められたため、デヴィッドは怒って上司を侮辱し、解雇されてしまう。
デビッドは妻に仕事を辞めて新たな冒険を求めるよう説得する。
ハワード夫妻は家を売り、資産を清算し、「イージー・ライダーのように」社会からドロップアウトし、ウィネベーゴのRV車で国中を旅することを決意する。
二人は14万5000ドルを持ってロサンゼルスを離れるが、リンダがラスベガスのデザート・イン・カジノでルーレットをして貯金をすべて失ってしまい、計画は大きく変わってしまう。
そこでデヴィッドはカジノのマネージャーに宣伝目的でお金を返せと必死に説得するが失敗する。
行くあてのない夫婦はフーバーダムで喧嘩し、最終的にアリゾナ州サフォードの小さな町に到着する。
デヴィッドは地元の薬局での配達の仕事に応募したが失敗し、職業紹介所に行く。
カウンセラーから、この地域には高収入の仕事がないと言われた後、デヴィッドは地元の小学生たちにからかわれながらも、踏切警備員という最高のポジションを引き受ける。
一方、リンダは地元のデア・ウィーナーシュニッツェルでアシスタントマネージャーとしての職を見つけ、ティーンエイジャーの下で働く。
社会からドロップアウトするという夢を追い始めてからわずか数日で、デヴィッドとリンダはトレーラーパークに住み、破産寸前で、行き止まりの仕事をしている。
彼らは、できるだけ早く以前の生活様式に戻った方が良いと判断した。
彼らはウィネベーゴ号をニューヨークに向け、デヴィッドは昔の仕事に戻ってほしいと懇願する。
その後、彼は大幅な(31%)給与削減で再雇用されるものの、医療手当は改善され、現在二人が第一子を出産していることが明らかになっている。
コメント:
いわゆる「ヤッピー」(英語:yuppie)が新たな世界を求める姿を描いたコメディである。
「ヤッピー」とは、「young urban professionals(若手都会派知的職業人)」+「-ie」の造語。
米国で、第二次大戦後のベビーブーム期に生まれた世代で、都会やその近郊に住んで知的職業に就いているエリート青年をいう。
この映画は、主人公デヴィッドが就寝中の妻リンダ(ジュリー・ハガティ)に内心を吐露する様子から始まる。
この映画ではこの要素がお話にうまく絡んでいる。「イージーライダーに憧れていた」というデヴィッドはトレーラーから窓の外のバイカーに親指を立てて見せ中指を立て返される。
放浪はしているがドロップアウトしたわけじゃない、ぼくらは「めったにいないタイプ」なんだというヤッピーならではの選民意識がある。
それがリンダがカジノでほぼ全財産をすってしまったことで崩壊するんだから最高だ。
何だかよく分からない仕事をしている人ほど稼いでいるという、今も勿論通じるテーマが露わになる職安でのやりとりが良く理解できる。
翌日の仕事、トレーラーに帰っての一幕、シンプルで鮮やかなラストシーンも、素晴らしい。
現実が嫌になって旅に出てみたが、結局前の生活が良いと思って、元に戻るという若者の生き様をコメディにした作品なのだ。
日本では、残念ながら劇場未公開。
だが、米国ではけっこうこれが受けたようだ。
批評家からも、ほとんど肯定的な評価を受けている。
Rotten Tomatoes では 39 件のレビューに基づいて 95% の評価を獲得している。
同サイトのコンセンサスは次のように述べている。
「すべてを置き去りにするアメリカの空想を風刺した『ロスト・イン・アメリカ』には、アルバート・ブルックスの最高かつ最も一貫した脚本と文化的ジャブがフィーチャーされている。」
「この映画は商業的には成功したが、大成功を収めたわけではない。大ヒット作だ。」
この映画の脚本は全米映画批評家協会賞の最優秀脚本賞を受賞した。
映画評論家のロジャー・エバートは本作に4つ星中4つを与え、観察力があり非常に面白いと評している。
この映画は、DAILYMOTIONで全編無料視聴可能:
(ただし英語)