「ウディ・アレンのバナナ」
(原題:Bananas)
1971年4月28日公開。
日本未公開。
ウディ・アレンの傑作政治コメディ。
監督・脚本:ウディ・アレン
キャスト:
フィールディング・メリッシュ:ウディ・アレン
ナンシー:ルイーズ・ラッサー
エミリオ・モリーナ・バルガス将軍:カルロス・モンタルバン
ヨランダ:ナティビダ・アバスカル
ハワード・コーセル:本人
エスポジート:ハコボ・モラレス
あらすじ:
架空の「バナナ共和国」サンマルコスの大統領暗殺と、エミリオ・モリーナ・バルガス将軍(カルロス・モンタルバン)を権力の座に就かせるクーデターに関するハワード・コーセルの報道から始まる。
フィールディング・メリッシュ(ウディ・アレン)は神経質なブルーカラーの男で、サンマルコスの革命と結びつくことで社会活動家のナンシー(ルイーズ・ラッサー)に好印象を与えようとしている。
彼は共和国を訪問し、先住民への配慮を示そうとする。
しかし、バルガスは、米国がバルガスに資金援助を送るよう、反乱軍の印象を悪くするためにメリッシュを殺害するよう、バルガスの敵対者に扮した部下たちに密かに命令した。
メリッシュはバルガスの暗殺者から逃れるが、すぐに本物の反乱軍に捕らえられる。
バルガスはそれにも関わらずメリッシュの死亡を宣言し、メリッシュは2ヶ月間反乱軍に参加する以外に選択肢がなくなった。
その後、メリッシュは革命家になる方法を不器用ながら学んでいく。
革命が成功すると、カストロ流の指導者エスポジート(ハコボ・モラレス)は激怒する。
反乱軍は彼に代わってメリッシュを大統領に任命することを決定した。
財政援助を得るために米国に戻る途中、メリッシュ(長い付けひげを生やしている)はナンシーと再会するが、暴露される。
法廷でメリッシュは、現職のミス・アメリカや、J・エドガー・フーバーだと主張する中年のアフリカ系アメリカ人女性など、一連の有罪証人から身を守ろうとする。
メリッシュに有利な証言をしているが、裁判所書記官はこの証言を読み返すよう求められると、全く異なる全く不利な解釈で答えた。
メリッシュは最終的に実刑判決を受けるが、裁判官の近所に引っ越しないという条件で刑は執行猶予される。
その後、ナンシーは彼と結婚することに同意する。
メリッシュは春先に再戦を期待していた。
コメント:
きな女性の気を引く為だけの目的で、別名:バナナの国と呼称される南アメリカの架空国サンマルコ共和国の革命軍に身を投じ、結局内戦に勝利して新たな独裁者に担ぎ上げられてしまうブルー・カラーの若者を描いたコメディ。
南欧のイタリア半島に実在したサン・マルコ共和国とは全く別の国である。
日本では、劇場未公開だが、DVDは存在する。
だが、米国においては、非常に好評だったようだ。
Rotten Tomatoes では 35 件のレビューに基づいて 83% の評価を獲得し、平均評価は 7.5/10 。
ニューヨーク・タイムズ紙のヴィンセント・キャンビーはこの映画を賞賛し、
「アレンの世界観は悲哀以外のあらゆるものに満ちており、とても面白いと思う世界観だ。
ここには弱気な笑みを浮かべ肩をすくめて生き残る小さな男はいない」
と述べた。
さらに「主人公は気弱だが賢明な男で、卑怯者への最初の衝動は、狂気の秩序の中では本当に英雄的に見える」としている
シカゴ・トリビューンは、この映画に4つ星中3つ星を与え、オープニングシーンを「映画の中で最も面白い作品の1つ」と評した。
ロサンゼルス・タイムズ紙は次のように書いている。
「アレンは、このプロットに適切な終わり方を見つけられなかったようで、それはピークというよりもストップだった。最高のジョークには見事な狂気が含まれている。昨今、炎上するバカのように笑う能力が低下していることを考えると、たとえアレンが本調子ではなかったとしても、バナナスは歓迎される。」
ワシントン・ポスト紙のゲイリー・アーノルドは「この映画は、一言で言えば、面白いものであり、前作の『泥棒野郎』よりも、大幅な改善作となった」と評価した。
英国のマンスリー・フィルム・ブレティン誌は「ギャグは『泥棒野郎』よりも少し明るいように見える」としながらも、「散りばめられたユーモアが、規律が無さすぎてバラバラすぎる」と批評している。
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