「キートンの探偵学入門」
(原題:Sherlock Jr.)
1924年4月21日公開。
バスター・キートン初期のサイレント・コメディ映画。
脚本:クライド・ブラックマン、ジャン・ハヴェズ、ジョー・ミッチェル
監督:バスター・キートン
キャスト:
- バスター(映写技師)/名探偵シャーロックJr.; バスター・キートン
- 娘/娘; キャスリン・マクガイア
- 娘の父/娘の父; ジョー・キートン(バスター・キートンの実父)
- 父親の雇い人/執事; アーウィン・コネリー
- 色男/ 強盗団リーダー: ワード・クレーン
- 劇場支配人/シャーロックJr.の助手; フォード・ウェスト
あらすじ:
主人公バスターは探偵に憧れる映写技師。
憧れの娘へのプレゼントに1ドルで買った指輪を4ドルしたと見栄を張ってプレゼントする。
色男も娘に恋をしている。色男は娘の父親の時計を盗み、それを質に入れて4ドルを工面し、娘のために高価な贈り物をする。
父親が時計がなくなったことに気づいて騒ぎ出した時、バスターは探偵役を買って出るが、色男は4ドルの質札をバスターのポケットに入れる。
それが見つかり、バスターは犯人にされる。
バスターは娘に無実を主張するが信じてもらえない。
バスターは映写技師の仕事に戻る。
上映中の映画は真珠泥棒を扱った映画。
居眠りするバスターの魂はスクリーンの中に入り、探偵シャーロックJr.として事件の解決に乗り出す。
(映画の中では登場人物がそれぞれ現実の人間に置き換わる。娘、父親、色男は強盗団のボス、父親の雇い人は執事、映画支配人は探偵の助手)
映画の中で見事事件を解決したバスターだがそれはすべて夢だった。
そこに娘がやってくる。
娘は4ドルの質札から、色男が真犯人だということを突き止めたのだ。
映写されている映画の中で主人公とヒロインがキスするのを見ながら、バスターは娘にキスをする。
コメント:
1924年公開のアメリカ合衆国のサイレントコメディ映画。
バスター・キートン監督・主演。
戦前初公開の時には『忍術キートン』(にんじゅつキートン)という邦題がつけられたが、1973年6月16日、フランス映画社が「ハロー!キートン」という特集上映をした際に、現在の邦題「キートンの探偵学入門」に改められた。
この映画には危険なスタントシーンが多数出てくる。
キートンは後に映画史家のケヴィン・ブラウンローに「プロのカメラマンたちは、私たちがいったい何をどうやったのか突き止めるため何度も映画を観に来たものさ」と語ったという。
キートンは、危険なシーンの撮影のおり、給水塔の水で叩きつけられて汽車の上からレールに転落。
首の骨を折ったにもかかわらず、気がつかずに撮影続行。
一年半後偶然に骨折の痕が見つかったが、その時には既に完治していたという武勇伝が残されている。本人は「頭痛が続く」しか自覚がなかったという。
スクリーンの中に入りこんですぐ、キートンが次々に切り替わる場面展開(中庭から車の走る通り、崖の上、ライオンのいる草原、荒野、磯辺、雪原)の中でドタバタをやるくだりは、キートンの動きをスムーズに見せるため、キートンとカメラの位置を測量機で正確に測って撮影された。
この映画は、全編にわたってキートン本人が演じており、列車の屋根の上でのシーンだけでも大変だっただろう。
この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。