「ダイナー」
(原題:Diner)
1982年3月5日公開。
米国東部のボルチモアのダイナーに集う5人の青年の人生、将来の夢を描くコメディ。
興行収入:$14,099,953。
監督・脚本:バリー・レヴィンソン
キャスト:
エディ:スティーヴ・グッテンバーグ
シュレヴィー:ダニエル・スターン
ブーギー:ミッキー・ローク
フェンウィック:ケヴィン・ベーコン
ビリー:ティモシー・デイリー
ベス:エレン・バーキン
あらすじ:
1959年12月24日のボルチモア。
学校を中退したフェンウィック(ケヴィン・ベーコン)は、パーティー会場の地下室のガラスを割り、うっぷん晴らしをしていた。
彼をブーギー(ミッキー・ローク)がなだめる。
ブーギーは美容院につとめ、夜は法学校に通っている青年だ。
パーティーが終わると、エディ(スティーヴ・グッテンバーグ)とシュレヴィー(ダニエル・スターン)は車に同乗する。
道の前方でフェンウィックの車が横倒しになり彼が血だらけになって倒れていた。
あわてて駆けつけると、フェンウィックは笑い出す。
彼らしい悪ふざけだった。
みんなはフェルス・ボイント・ダイナーに行く。
ギャンブル狂のブーギーは、キャロンと彼が寝ることに20ドル賭けないかと言い、みんなも賭けにのった。
大みそかにエディが結婚式を挙げるので、昔の友人のビリー(ティモシー・デイリー)が帰郷した。
映画館でブーギーはキャロルにペニスを触れさせようと苦心する。
ビリーはTV局に勤めるバーバラと会う。
彼女とは6年間の清い交際のあと1度だけセックスをし、それで妊娠したとバーバラは告白。
結婚しようというビリーに、バーバラはなぜか承諾しようとしない。
レコード収集狂のシュレヴィーは、レコードのことで妻のベス(エレン・バーキン)と口論して飛び出してしまう。
エディとビリーは、映画館でベルイマン作品「第七の封印」を見る。
エディは最初から分からないとぼやく。
フェンウィックは酔っぱらい、教会の前にあるキリスト生誕の飾り物をぶちこわし、とめようとしたエディ、ビリー、シュレヴィーともども逮捕される。
美容院に賭けの取り立て屋タンクがやって来た。
賭け金2千ドルを今夜中に払えといって、彼を殴り倒す。
ブーギーは風邪で寝こんだキャロンの代わりに、ベスにかつらをつけてキャロンに見せかけてファックし、みんなから賭け金を取ろうとしたが、寸前で彼女を賭けの犠牲にはできないと引き返した。
ダイナーの前で、タンクから賭け金は、昔ブーギーの父に世話になったベイゲルが払ってくれたことを聞き、ブーギーはタンクの腹に一発くらわす。
ブーギーはベイゲルの所で働き、2千ドルは給料から払うことにする。
場末のバーで、ビリーとエディが将来について話しあい、そのうちビリーがピアノをロック調に弾き、エディはストリッパーと一緒にステージで踊り出す。
大晦日、エディは結婚式を挙げた。
シュレヴィーはベスのために旅行の予約をし、フェンウィックはヨーロッパには夢があるという。
パーティーは佳境に入り、5人の仲間は進化論について語りあっている。
コメント:
1959年のボルチモア。
簡易食堂「ダイナー」を溜まり場にする、大人に成りきれない5人の若者の悪ふざけと、他愛もない会話をオールディーズナンバーにのせて描写している。
バリー・レビンソンが脚本・監督した1982年のアメリカのコメディドラマ映画。
これはレビンソンの映画監督デビュー作であり、1940年代、1950年代、1960年代の彼の故郷を舞台にした「ボルチモア映画」四部作の最初の作品で、他の3作品は『ブリキの木の人』(1987年)、『アヴァロン』(1990年)、『リバティ・ハイツ』(1999年)である。
ちょっといかれた若者たちのクリスマスでのバカ騒ぎを描く青春ものだが、当時のサウンドはカッコいい:
米国大手映画評価サイトであるRotten Tomatoes では、46 人の批評家からのレビューに基づいて、この映画の支持率は 92%。
このウェブサイトの批評家たちのコンセンサスは、「『ダイナー』は、感傷のない爽やかな雰囲気で観客を1950年代に連れ戻し、アンサンブルの強力な化学反応と本物の自発性の感覚によって日常生活のスリルを呼び起こします。」と述べている。
15人の批評家からのレビューに基づくスコアは82であり、「普遍的な評価」を示している。
ニューヨーカー紙のポーリン・ケールは本作を「素晴らしい映画…ビジュアル的には特筆すべきものではないが、国内最高の若手俳優が出演している」と評した。
シカゴ・サンタイムズのロジャー・エバートはこの映画を賞賛した。
点数は 4つ星中3つ半で、「『ダイナー』は非常に面白い映画であることが多いが、私が最も自由に笑ったのは性的な悪ふざけではなく、この映画の正確な耳であり、セリフが非常に漫画的な正確さで再現されているからだ」と述べている。
バラエティ紙は「スティーブ・グッテンバーグ、ダニエル・スターン、ミッキー・ローク、ケビン・ベーコン、ポール・ライザー、ティモシー・デイリーは友人として素晴らしいし、エレン・バーキンとキャスリン・ダウリングもさまざまなグループメンバーと関わっている女性2人を演じている」と評価している。
ミッキー・ロークは、全米映画批評家協会賞助演男優賞(1983)とボストン映画批評家協会賞助演男優賞(1983)を受賞した。
ミッキー・ロークは、アメリカ合衆国・ニューヨーク州出身の俳優、元プロボクサー。
7歳の時に両親が離婚し、母は5人の子供を持つ警察官の男性と再婚した。ニューヨークからマイアミへ移住したのちに、継父は、ロークをマイアミの有名なボクシングジム「五番街ジム」へ通わせ、モハメド・アリやジミー・エリスらと共にトレーニングをさせた。19歳の頃に単身でニューヨークへ戻り、アクターズ・スタジオで演劇を学びながら小さな舞台に出演した。
ロサンゼルスへ移り、1979年に『1941』で映画デビュー。1981年に、テレビドラマ『Hardcase』で共演した女優デブラ・フュアーと結婚。
同年、『白いドレスの女』で爆弾を密造する男の役が評価されたのち、1982年に出演した本作『ダイナー』では全米映画批評家協会賞助演男優賞を受賞している。1980年代には、セクシーな魅力を持ったキャラクターがセックスシンボルとして賞され、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』、『ナインハーフ』、『エンゼル・ハート』等の話題作で主演を務めた[2]。
1991年にはプロ・ボクサーに転身。
ボクサー引退後に再び俳優業に戻った。ボクサー時代の怪我が元で整形手術を受けている。
2009年には、整形手術が失敗したとインタビューで語っている。
2008年9月に開催された第65回ヴェネツィア国際映画祭において、主演作の『レスラー』(監督:ダーレン・アロノフスキー)が最高賞に当たる金獅子賞を受賞した。
また、ローク自身もゴールデングローブ賞 主演男優賞(ドラマ部門)などを受賞し、アカデミー主演男優賞にノミネートされた。
2020年代になっても多忙な日々を送っているが、劇場公開されない低予算映画の出演や脇役が専らとなっている。
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