「優駿 ORACIÓN」
(ゆうしゅん オラシオン)
1988年7月23日公開。
一頭のサラブレッドを育てる人々の生き様を描く感動作。
配給収入:18億円。
原作:宮本輝「優駿」
脚本:池端俊策
監督:杉田成道
キャスト:
- 和具久美子
- 演 - 斉藤由貴
- 和具平八郎の娘。父からオラシオンを譲り受ける。
- 渡海博正
- 演 - 緒形直人
- オラシオンを生産した渡海千造の息子。
- 田野誠
- 演 - 吉岡秀隆
- 和具平八郎の非嫡出子。久美子の腹違いの弟。
- 田野京子
- 演 - 加賀まりこ
- 田野誠の母。
- 和具美穂
- 演 - 吉行和子
- 和具久美子の母。
- 渡海タエ
- 演 - 林美智子
- 多田時雄
- 演 - 石橋凌
- 和具平八郎の秘書。オラシオンの名付け親。
- 奈良五郎
- 演 - 根本康広(当時JRAの現役騎手)
- オラシオンの主戦騎手。
- 増原耕左右
- 演 - 平幹二朗
- 吉永達也
- 演 - 石坂浩二(友情出演)
- 砂田重兵衛
- 演 - 田中邦衛
- オラシオンの調教師。
- 獣医
- 演 - 三木のり平
- オラシオンの出産に立ち会った獣医。
- 渡海千造
- 演 - 緒形拳(友情出演)
- トカイファームの牧場主。
- 和具平八郎
- 演 - 仲代達矢
- オラシオンの馬主。和具工業社長。
あらすじ:
北海道・静内の牧場主・渡海千造(緒形拳)と息子・博正(緒形直人)の夢は、名馬をつくりダービーを制覇することだった。
そして伝説の名馬・ゴドルフィンの血をひく仔馬・オラシオンが無事産まれた。
和具工業社長の平八郎(仲代達矢)は二つの悩みを抱えていた。
一つは会社の危機で、もう一つは娘の久美子(斉藤由貴)も知らない腹違いの息子・誠(吉岡秀隆)の存在だった。
しかも、誠は腎不全で、父親の腎臓移植が必要なほど重病だった。
和具はオラシオンを3千万円で買い、夢を託すことにした。
一方、久美子はオラシオンの馬主となり、弟と知らされた誠の見舞いに通った。
やがてオラシオンは博正の手を離れ、大牧場へと移された。
本格的な調教を受けるためだ。
一時は脚のケガで競争馬生命を危ぶまれたが、奇跡的に回復していった。
和具平八郎、久美子、誠、渡海父子、それぞれの夢がオラシオンに託されていた。
そしてオラシオンは見事デビュー戦で優勝。
誠はこの晴れ姿を見れずに死に、平八郎は会社を買収された。
千造も胃ガンでダービー直前に息を引きとった。
そんな苦難の中、ケガの後遺症が心配だったオラシオンが、ダービーで優勝し、平八郎は久美子、博正と共に、牧場を始めることにしたのであった。
コメント:
原作は、宮本輝の小説「優駿」。
第21回(1987年)吉川英治文学賞受賞作である。
第1章が『小説新潮スペシャル』1982年春号に掲載、第2章以降が『新潮』1982年7月号から1986年8月号に連載、1986年10月25日に新潮社より上下巻にて刊行された。
競走馬「オラシオン」の誕生から日本ダービー挑戦までの成長を巡る、「オラシオン」を取り巻く人々の人間模様を描く。
一頭のサラブレッドをめぐる牧場主や馬主、調教師、厩務員、騎手などさまざまな人々の生き様を描いた映画である。
北海道の零細ファームの父と息子(緒形拳、緒形直人)が手塩にかけて育てた競走馬が、さまざまな困難を経てついに日本ダービーを制するまでを描く。
「優駿」とは、特別にすぐれた競走馬を意味する言葉だ。
「オラシオン」という言葉は、スペイン語で「祈り」という意味。
この名をつけられた競走馬のサクセスストーリーが、それに関わる登場人物の人生、生き方と相俟って感動的な作品に仕上がっている。
北海道の自然や牧場の中で馬たちが躍動する映像はもう美しいの一言。
それらの映像を見るだけで、この映画を見た価値は十分にある。
この映画の最大のトピックスは、緒形拳が息子の緒形直人と初の共演を果たしたことであろう。
実は、この映画は緒形直人の映画デビュー作なのである。
偉大なる日本の俳優・緒形拳を父に持ち、本作で父と共演するという機会を通じて、映画俳優の基本を学んだ息子の直人も、その後も父の血を受け継いで、順調に俳優の道を進み、多くの作品を残しているのだ。
これも正に「優駿」であろう。
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