ハリウッド・コメディ映画 第44位「いとしの殿方」 デヴィッド・ニーヴンが大変身! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「いとしの殿方」

(原題:My Man Godfrey)

 

My Man Godfrey (1957) - IMDb

 

「いとしの殿方」 全編

 

1957年10月11日公開。

往年の名作をリメイクした傑作。

興行収入:1.2百万米ドル。

 

脚本:エリック・ハッチ / ウィリアム・バウアーズ / エヴェレット・フリーマン / ピーター・バーニーズ

監督:ヘンリー・コスター

 

キャスト:

姉・コーデリア:マーサ・ハイヤー

妹・アイリーン:ジューン・アリソン

浮浪者・ゴッドフリイ:デイヴィッド・ニーヴン

フランチェスカ:エヴァ・ガボール

ブロック氏:ロバート・キース 

 

My Man Godfrey (1957) - IMDb

 

あらすじ:

ニューヨークの富豪ブロック家では今日も有閑人種が集まってゲテ物品評会のパーティが開かれている。

ブロック家の2人の令嬢、姉のコーデリア(マーサ・ハイヤー)と妹のアイリーン(ジューン・アリソン)は日頃からゲテ物集めを競い合っていた。

ある日アイリーンは、浮浪者ゴッドフリイ(デイヴィッド・ニーヴン)を拾い、彼を品評会に出した。

ゴッドフリイは"最も野性的動物"と衆議一決、アイリーンは1等賞を得た。

だがそっと去って行くゴッドフリイを見たアイリーンは良心のとがめから彼を執事に雇った。

ところが翌朝、正装に威儀を正したゴッドフリイの水際立った執事ぶりにブロック家の一同は、これが昨夜の浮浪者かと驚いた。

コーデリアだけが品評会での腹いせに嫌がらせをしたが、ゴッドフリイはやがてブロック家になくてはならぬ存在となった。

アイリーンの彼への好意も愛情に変っていった。

ところで、このゴッドフリイ、実はカール・ゴッドフリート・フォン・ロイターバッハ伯爵というオーストリアの貴族で財産家であった。

彼は、大戦中シベリアに抑留されて以来人生観が変わり、先祖伝来の因習的生活にいやけがさし、突然ニューヨークへ来たという変り者であった。

ある日、ブロック家で盛大なパーティが行われたが、そこに出席していた国際結婚で評判高いフランチェスカ(エヴァ・ガボール はゴッドフリイの前身を知っていた。

2人が親密に話しているのを見てアイリーンは打撃をうけた。

そんなある日、ブロック氏(ロバート・キース)はゴッドフリイに事業不振で破産に瀕していると打ち明けた。

数日後ブロック氏に大金を融資するという銀行家エリオット氏からの電話があった。

ゴッドフリイがフランチェスカの婚約者エリオット氏に故郷の土地を抵当に融資を頼んだ結果である。

ところが、このゴッドフリイは、ふとしたことで不法入国が警察に知られ、欧州へ強制送還されることになった。

ゴッドフリイは去った。

しかしアメリカ人と結婚すれば入国が許されるという警察の言葉に、アイリーンは港へ駈けつけた。

ゴッドフリイを乗せた船が港を出ようとしていた。

アイリーンは船に飛び乗った。

すべてを了解したゴッドフリイの腕にアイリーンが飛び込んだ。

船は静かに港を離れて行った。

 

My Man Godfrey (1957) - Titlovi.com

 

コメント:

 

1936年、故キャロル・ロンバートとウィリアム・ポーエルのコンビが主演で作られた風刺喜劇「襤褸と宝石」を再映画化したもの。

 

お金持ちのお転婆娘アイリーンと彼女の世話をする執事デヴィッド・ニーヴンによるロマンチックコメディ。

 

上品な紳士役が多いニーヴンが無精髭に柄の悪い風来坊姿で登場、アリスンが執事として雇った翌朝、髭を剃っていつもの上品な姿で完璧に執事をこなす。

この以外さにアリスンの目が白黒するのが可笑しい。


ニーヴンがパーティのダンスの中、シャンパングラスの乗った給仕盆を片手にひらりひらりとダンス中のカップルの間をすり抜けてピタリとテーブル席に運ぶ所作の見事さは拍手を送りたくなる。

「モダンタイムス」のチャップリン の大いに笑わせる給仕ぶりとは対称的。


ニーヴンとアイリーンが惹かれあうようになってから、ラストまでは定石通り。

 

なんといっても、デヴィッド・ニーヴンの浮浪者から紳士への大変身のシーンが最高。

実はオーストリアの貴族だったことが分かる。

そして、不法入国の罪で欧州に強制送還されるが、アメリカ人と結婚すれば入国が許されるという事を知った彼を恋する彼女が求婚し、めでたく再入国となる。

いくつかのどんでん返しと恋の行方を描く最高のハッピー・コメディである。

 

デヴィッド・ニーヴン(David Niven、本名:James David Graham Niven 、1910年3月1日 - 1983年7月29日)は、イギリス・ロンドン出身の俳優。

しゃれた髭が特徴で、都会的な紳士役で長らく人気を博し「スクリーンの粋の化身」と称された。

 

この人は、カナダに渡り、職を転々とした後、近衛歩兵第1連隊の元中佐の援助を受けて、アメリカ合衆国へ向かう。

ニューヨークでパーティーの給仕、セールスマンなどの様々な職につき、アメリカン・ポニー・エクスプレス競技協会の設立に参加するが、この計画は途中で頓挫してしまった。

そこで映画の仕事にありつこうとカリフォルニア州に向かい、エキストラ協会に登録、最初に与えられたエキストラの仕事はメキシコ人の役だったという。

1934年にエドマンド・グールディング監督と知り合ったことから、大物プロデューサーのサミュエル・ゴールドウィンに拾われ、1935年に『過去から来た男』で初めてセリフのある役を与えられる。

その後は1949年に契約が切れるまでゴールドウィンのもとで第2のロナルド・コールマンとして大いに売り出していったが、まったく演技素養がないことが災いして次第に伸び悩む。

1939年から1945年の第二次世界大戦中は、イギリス陸軍に大佐として従軍し、ブリティッシュ・コマンドスにも参加した。

ちなみにニーヴンは応召した最初のハリウッド・スターだったという。

戦後は再びアメリカに活動の中心を移し、知的でありながらユーモアセンスも併せ持つ独特の雰囲気から人気が出始め、1970年代まで安定した人気を保った。

1952年にディック・パウエル、シャルル・ボワイエ、アイダ・ルピノと共にフォー・スター・テレビジョン・カンパニーを設立し、テレビ番組を製作した。

1956年に権利を1000万ドルで売却した。

1956年の『八十日間世界一周』では気高いイギリス紳士役を演じた。

1957年に本作『いとしの殿方』に出演し、コミカルな演技を披露する。

1958年に『旅路』にてアカデミー主演男優賞を受賞し、不動の地位を確立する。

1962年『ピンクの豹』(ブレイク・エドワーズ監督)では怪盗ファントム役で出演し、イギリス紳士らしい気品とユーモア溢れる演技を見せた。

そして1967年『007/カジノロワイヤル』(ジョン・ヒューストン監督)に出演する。この作品で彼はジェームズ・ボンドを演じる。

ちなみに原作者イアン・フレミングがイオン・プロ制作の最初のボンド役に最も望んだのが彼であった。イアン・フレミングがボンドを創作する際、彼をイメージして書いたとも言われ、ボンドの少年時代から青年時代の設定が彼の生い立ちと似ているのもそのためである。

 

この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能(字幕なし)。

 

この映画は、レンタルも動画配信も見当たらない。

DVDは販売されている(ただし英語):