「アメリカン・グラフィティ」
(原題:American Graffiti)
1973年8月11日公開。
ジョージ・ルーカス監督の初ヒット作品。
興行収入:$140,000,000
受賞歴:
- アカデミー賞
- ノミネート:作品賞(フランシス・フォード・コッポラ、ゲイリー・カーツ)、助演女優賞(キャンディ・クラーク)、監督賞(ジョージ・ルーカス)、脚本賞(ジョージ・ルーカス、グロリア・カッツ、ウィラード・ハイク)、編集賞(ヴァーナ・フィールズ、マーシア・ルーカス)
- 第31回ゴールデン・グローブ賞(1973年)
- 受賞:作品賞・ミュージカル/コメディー部門
- 受賞:最も有望な新人賞(ポール・ル・マット)
- ノミネート:最優秀俳優賞・コメディ/ミュージカル部門(リチャード・ドレイファス)、監督賞(ジョージ・ルーカス)
- 1973年ニューヨーク映画批評家協会賞
- 受賞:脚本賞(ジョージ・ルーカス、グロリア・カッツ、ウィラード・ハイク)
脚本:ジョージ・ルーカス、グロリア・カッツ、ウィラード・ハイク
監督:ジョージ・ルーカス
キャスト:
カート・ヘンダーソン:リチャード・ドレイファス
スティーヴ・ボレンダー:ロニー・ハワード
テリー・フィールズ:チャーリー・マーティン・スミス
ビッグ・ジョン・ミルナー:ポール・ル・マット
ローリー:シンディ・ウィリアムズ
キャロン:マケンジー・フィリップス)
デビー:キャンディ・クラーク
あらすじ:
1962年。
カリフォルニア北部の小さな地方都市。
若者たちの唯一の気晴らしはカスタム・カーをぶっ飛ばしてガールハントすることだ。
ボリュームいっぱいにあげたカー・ラジオからは町一番の人気者のDJのうなり声と「ロック・アラウンド・ザ・クロック」の弾むリズムが流れてくる。
若者たちの溜り場は「メルのドライブイン」。
そこに仲のいい4人が集まった。
17歳のカート・ヘンダーソン(リチャード・ドレイファス)の車はシトロエン、同じく17歳のスティーヴ・ボレンダー(ロニー・ハワード)の車は58年型シボレー、16歳のテリー・フィールズ(チャーリー・マーティン・スミス)はスクーターのベスパ。
そして22歳のビッグ・ジョン・ミルナー(ポール・ル・マット)はドラッグ・レースのチャンピオンで31年型のカスタム・フォードのデューク・クーペに乗っている。
今夜はその4人が顔を揃える最後の夜だった。
高校を卒業したカートとスティーヴが東部の大学へ進学するため、明朝町を去るからだ。
バラバラに町を去った4人。
カートは白いサンダーバードに乗った金髪の美人を目撃して一目惚れした。
車のドア越しにチラッとビーナスのような微笑みを見かけただけだったが、明日はもうこの町にはいない。
何としても言葉を交わしたかった。
しかし思いがけないことからジョーをリーダーとする町のチンピラ・グループ、ファラオ団に引きずり込まれてしまうが、持ち前の機転のよさで難をまぬがれる。
スティーヴとカートの妹ローリー(シンディ・ウィリアムズ)は将来を約束した恋人同志だが、彼女にとってスティーヴとたとえ4年間でも離れて暮すのは耐え難い。
男としての将来を考えなければならないスティーヴと、彼を旅立たせまいとするローリーの間にトラブルが生じ、腹を立てた彼女は車から飛びおりて、若い男が運転する車に乗ってしまった。
その頃、ビッグ・ジョンは13歳のオシャマな娘キャロン(マケンジー・フィリップス)を車に乗せなければならなくなっていた。
最初、キャロンの姉をハントするつもりだったのが、どういうわけかビッグ・ジョンの隣に座ったのは、キャロンだったのだ。
彼は必死になってキャロンを車からおろそうとするが、くっついて離れない。
そのうち、隣町のボブという男からドラッグ・レースを挑まれる。
その車には、偶然スティーヴと喧嘩別れしたローリーが乗っていた。
一方、テリーの方はスティーヴから借りたシボレーに乗ってご機嫌だ。
その上、デビー(キャンディ・クラーク)というちょっとイカす女の子もハントできた。
コーラでもおごろうとしたら「お酒の方がいいわ」という。
手こずりながらも郊外に連れ出してネッキングに大成功。
だが、行為の最中に大事なシボレーを盗まれてしまい大あわて。
最初の元気もどこへやら、意気消沈してしまう。
だが、デビーと町をほっつき歩くうち、盗まれたシボレーは見つかった。
そして夜明け。
郊外の人気のない道路では、ビッグ・ジョンとボブのカーレースが始まろうとしていた。
テリーの合図によってスタート、その直後、運転ミスでボブの車は道路脇につっこんであっけなく勝負はついた。
この出来事によって再びスティーヴとローリーは仲よくなった。
カートはT・バードの美女に逢うことはできなかったが、ただ一人で放送を続けている人間的な魅力にあふれたDJに会うことができた。
将来の不安を、この有名なDJは優しく忠告してくれた。
「新しい人生だ。予定通り出発だ」。
その翌日、カートだけが東部の大学生活に向かって旅立った。
スティーヴはローリーとの愛を選んだのだ。
みんなに見送られながらカートの乗った飛行機は大空に消えようとしていた。
それから2年後。
ビッグ・ジョン・ミルナーは1964年6月、酔っ払い運転の車に轢かれて死んだ。
テリー・フィールズは1965年12月、ベトナム戦争におけるアン・ロク付近の戦闘で行方不明と報告された。
スティーヴ・ボレンダーは現在カルフォルニア州モデストロで保険会社の外交員をつとめている。
カート・ヘンダーソンは作家となって現在はカナダに住んでいる。
コメント:
製作はフランシス・フォード・コッポラ、監督はこれが2作目の新人ジョージ・ルーカス。
ジョージ・ルーカスが、処女作『THX 1138』の興行的失敗を受け、自身の高校生活をベースに大衆に受ける青春映画の制作に着手し大ヒットした作品で、低予算で製作されたため「興行的に最も成功した映画」とも言われた。
1962年のカリフォルニアの田舎町を舞台に、高校を卒業した青年たちが共に過ごす最後の一夜を描いている。
原題にある「Graffiti」とは、「落書き」と訳されることもあるようだが、この映画においてはアメリカから世界的に広まった「グラフィテイ」だ。
アメリカにおいてヒップホップ文化から派生したとされる「グラフィティ」は、1960年代末にフィラデルフィアで始まったと言われており、そこから1970年代にニューヨークのハーレムやブロンクスに代表されるアップタウンを経由して、ダウンタウンに伝わったとされ、スプレーやフェルトペンなどを用いて壁や電車などに落書きをすることから始まったとされる。
ベトナム戦争が始まり、明るい毎日に影が差し始めた当時の米国での若者を象徴するような映画といえば、絶対に本作を忘れてはならないだろう。
数十曲のご機嫌な曲が挿入されている懐かしの音楽映画でもある。
主な曲は以下の通り:
- ロック・アラウンド・ザ・クロック(ビル・ヘイリー&ザ・コメッツ)
- シックスティーン・キャンドルズ(ザ・クレスツ)
- 悲しき街角(デル・シャノン)
- 恋は曲者(フランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズ)
- ザットル・ビー・ザ・デイ(バディ・ホリー&ザ・クリケッツ)
- アット・ザ・ホップ(フラッシュ・キャディラック&ザ・コンチネンタル・キッズ)
- シーズ・ソー・ファイン(同上)
- ルイ・ルイ(同上)
- シー・ユー・イン・セプテンバー(ザ・テンポズ)
- サーフィン・サファリ(ザ・ビーチ・ボーイズ)
- 煙が目にしみる(プラターズ)
- リトル・ダーリン
- ペパーミント・ツイスト(ジョイ・ディー&スターライターズ)
- バーバラ・アン(リージェンツ)
- ブック・オブ・ラヴ(モノトーンズ)
- メイビー・ベイビー(バディ・ホリー&ザ・クリケッツ)
- ヤ・ヤ(リー・ドーシー)
- グレイト・プリテンダー(プラターズ)
- エイント・ザット・ア・シェイム(ファッツ・ドミノ)
- ジョニー・B・グッド(チャック・ベリー)
- 瞳は君ゆえに(フラミンゴス)
- ゲット・ア・ジョブ (ザ・シルエッツ)
- 踊ろよベイビー(ボビー・フリーマン)
- カム・ゴー・ウィズ・ミー(ザ・デル・ヴァイキングス)
- ユア・シックスティーン(ジョニー・バーネット)
- 恋の特効薬(ザ・クローバーズ)
- シンス・アイ・ドント・ハヴ・ユー(ザ・スカイライナーズ)
- シャンティリー・レース(ビッグ・ボッパー)
- ティーン・エンジェル(マーク・ダイニング)
- グリーン・オニオン(ブッカー・T&ザ・MG's)
- オンリー・ユー(プラターズ)
- オール・サマー・ロング(ザ・ビーチ・ボーイズ)
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