ハリウッド・コメディ映画 第39位「サリヴァンの旅」 映画とは何かを感じさせる傑作コメディ! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「サリヴァンの旅」

(原題:Sullivan's Travels

 

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「サリヴァンの旅」 予告編

 

1942年1月28日公開。

1994年6月4日日本公開。

映画の意義を求めてさまよう監督の姿を描くスクリューボール・コメディ!

「レディ・イヴ」で一世風靡したプレストン・スタージェス監督の第2作。

 

監督・脚本:プレストン・スタージェス

 

キャスト:

ジョン・サリヴァン:ジョエル・マクリー

ブロンドの美女:ヴェロニカ・レイク

 

146. Sullivan's Travels (1941) – Thousand Movie Project

 

あらすじ:

映画監督のジョン・サリヴァン(ジョエル・マクリー)は、娯楽作品を監督してきてハリウッドで成功を収めていたが、彼自身は自分の仕事に不満を感じ始めている。

サリヴァンは、映画会社の重役たちの反対を押し切って、実際の現実社会を知るために旅に出ると言い出し、浮浪者らしく見えるように練習を始める。

そして彼は旅に出るが、次回作の宣伝のためと、重役たちはトレーラーに乗って彼の行動を取材させるようにするが、サリヴァンは少年の運転する自動車に乗り込んで、猛スピードで何とか逃げようとするがうまく行かない。

結局ラスヴェガスで落ち合うことを決めて、やっとのことで彼らの目を逃れる。

しかし、年輩の女性に誘惑されたり、ヒッチハイクした車から降りるとハリウッドに舞い戻ってしまったりと、サリヴァンの旅はなかなか計画通りに進まない。

そんなある日、彼はハリウッドのカフェでブロンドの美女(ヴェロニカ・レイク)に出会う。

彼女はルビッチの映画に出演する夢に破れて故郷に帰ろうとしていた。

サリヴァンが映画監督と知らない彼女は、彼を貧しい浮浪者だと思い、暖かいコーヒーをご馳走する。

サリヴァンは彼女と二人で旅を再開することになる。

浮浪者の格好をした2人は、本物の浮浪者たちとの生活を味わい、新鮮さを感じながら、それも長期間は耐えられず再びハリウッドに戻る。

二人の間には愛情が芽生え始めていたが、サリヴァンは税金対策のために結婚した妻と離婚できずにいた。

自ら体験した現状を見かねたサリヴァンは街の浮浪者に紙幣を配って歩くが、いつの間にか殺人の罪に問われる事態となってしまう。

サリヴァンは奴隷のように囚人を働かせる刑務所に入れられてしまうが、ある夜囚人たちとアニメのコメディ映画を見て、コメディがすべての人を幸せな気分にさせ、希望を与えるものであることに気づく。

わざと問題を起こし、刑務所を出ることが出来たサリヴァンは再びコメディ作品を作ることを宣言する。

 

Sullivan's Travels (Preston Sturges, 1941) – Senses of Cinema

 

コメント:

 

プレストン・スタージェス監督の傑作。

ハリウッドの売れっ子監督とルビッチの映画に出ることを夢見る売れない女優がおかしな旅に出発し、様々な人間を目にしていくスクリューボール・コメディ。

 

「レディ・イヴ」とともに、製作から50年も経ち、ようやく日本公開を果たした作品。

監督は、脚本と監督をかねたハリウッド史上初めての映画作家であるプレストン・スタージェス。

美男美女がおりなす破天荒な物語をとほうもないスピードで織りあげていく手法で何本もの作品を監督した。

代表作は、本作品の他「レディ・イヴ」「結婚五年目(パーム・ビーチ・ストーリー)」「殺人幻想曲」など。

 

ジョン・サリヴァンはコメディ映画の監督として成功を収めていたが、最近自分の仕事に不満を感じ、社会派映画の撮影を熱望し始める。

サリヴァンは現実社会を知るためとして、ホームレスにカムフラージュして旅に出ようとするが、失敗を重ねてなかなかうまく行かない。

ある日、サリヴァンはハリウッドのカフェでブロンドの美女に出会う。

彼女はエルンスト・ルビッチの映画に出演する夢に破れて、故郷に帰ろうとしていた。

サリヴァンが映画監督だと知らない彼女は、彼をホームレスだと思い込み、暖かいコーヒーをご馳走する。

これで意気投合したサリヴァンと彼女は、旅を再開するのだが…。

 

この映画は、プレストン・スタージェス監督の才能全開、喜劇の傑作だ!
描いている人物・時代は決して裕福でなかったりするが、重労働に苦しんだり神様にすがったりする人達が教会で映画を観て「とびきりの笑顔で笑い転げる姿」を見ると、鳥肌ものの感動。

なんたる名場面だろう。

映画とは何かをしっかりと主張している名作である。

また、この映画タイトルにもなっている映画監督サリヴァンを演じたジョエル・マクリーもさることながら、途中から登場して、どうしても自然と視線が行ってしまうヴェロニカ・レイクの綺麗さは相変わらず。

本当に素晴らしい女優だ!

冒頭、活劇映画が映されて、走る列車の上で男2人が格闘するシーンなのだが、すぐ「THE END」となり、監督のサリヴァンと映画会社お偉い方との意見が対立。
会社重役が「キャプラのような作品を撮れ!」とか「一度は貧しく暮らしてみろ!」と言うので、映画監督サリヴァンは「じゃあ、貧しく暮らす旅にでる!」と貧しい生活をしようとするのだが……。

この作品、会話の中にフランク・キャプラが出て来たり、会社が用意するトラクターは「デミル監督が作った車」だし、ヴェロニカ・レイクは女優を目指しているがパッとせず「ハムエッグおごったから、ルビッチに紹介して!」などと、プレストン・スタージェスが実在の映画監督たちに敬意を表するあたりも良かった。

フランク・キャプラは『或る夜の出来事』で世に出た名監督。

デミル監督は、1956年の歴史映画『十戒』など数多くの映画を世に出した。

ルビッチとは、グレタ・ガルボ主演の『ニノチカ』などを監督した人物のことである。


監督サリヴァンがボロボロの服を着て入った食堂でヴェロニカ・レイクと出会うのだが、二人が一緒にボロ服で旅するあたりも楽しい。

二人の旅の途中で、一旦、サリヴァンの豪邸に戻ることとなって、プールに繰り返し人が落ちる場面も爆笑もの。
また、本作の途中、セリフがなくなって音楽と映像だけで物語を語る上手さも見られる。
 

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