「運命の人 」
これは、文豪・山崎豊子の最後のベストセラー小説である。
沖縄の日本返還をめぐる日米交渉の実態を示す機密情報が漏洩された「西山事件」を描くもの。
『月刊 文藝春秋』で2005年1月号から2009年2月号に長期連載され、2009年に単行本・全4巻で出版された。
文庫版は2010年12月から2011年2月に同じく全4巻で刊行された。
取材と執筆に約8年を要した長編作品で最後の刊行作品であり、生前に出版された最後の小説でもある
2009年(平成21年)に毎日出版文化賞特別賞を受賞している。
あらすじ:
「この作品は事実を取材し、小説的に構築したフィクションである」と冒頭に記載されている。
1971年の沖縄返還協定に関する取材で入手した機密情報を記事にする以前に野党国会議員に漏洩した毎日新聞記者の西山太吉らが国家公務員法違反で有罪となった実際の「西山事件」を想起させる内容である。
登場人物:
【】内は作者が意図するモデルされる実在の人物・企業。
ただしこの作品はあくまでもフィクションであり、実在の人物との関連は無い。
弓成の家族、関係者
弓成家
- 弓成亮太【西山太吉】
- 本作品の主人公。初登場時は40歳。北九州市出身。世田谷区・祖師谷在住。1971年時では毎朝新聞社【毎日新聞社】霞ヶ関クラブキャップ所属。1972年2月から人事異動で永田町クラブキャップへ転属するが、国家公務員法違反の疑いで逮捕され、2年間休職した後、毎朝新聞社を退社する。
- 弓成由里子【西山啓子】
- 弓成亮太の妻。八雲家の長女。芙佐子の姉。逗子市出身。趣味は花作り。
- 弓成洋一
- 弓成亮太・由里子夫妻の長男。純二の兄。趣味は野球。初登場時は小学校3年生。顔立ちが亮太と酷似。難関の都立高校に合格し入学するが、すぐに退学。鯉沼の勧めでボストンの全寮制ハイスクールに入学。同校から飛び級でシカゴ大学に入学し卒業後、カリフォルニアのシリコンバレーの事務所に入社(但し、コンピューター関連の仕事に就きたいことからその職場へ入社したと思われる)。日系人女性と結婚。
- 弓成純二
- 弓成亮太・由里子夫妻の次男。洋一の弟。趣味は野球。初登場時は小学校1年生。顔立ちが洋一とは対照的に妻・由里子と酷似。高校卒業後、東京を避けるように北海道大学経済学部に進学しアイスホッケーに入部。同大学卒業後、大手製紙会社の札幌支社に入社。その後、東京支社に転勤し結婚。一人娘・舞衣をもうける。
- 弓成正助
- 弓成亮太の父。香川県生まれ。北九州に在住。70歳。果物屋「弓成果青」【西山青果】を経営している。
八雲家
- 父、母
- 由里子、芙佐子、兄の両親。逗子市在住。いずれも名前は不詳。
- 兄
- 八雲家の長男。大手電機メーカーの技術者。名前は不詳。
- 兄の妻
- 名前は不詳。
- 芙佐子
- 八雲家の次女。由里子の妹。3児の母。
- 啓郎
- 芙佐子の夫。病院の勤務医を務めている。
- 松子
- 由里子の叔母。名門私学の創設者一族へ嫁いでいる。
- 鯉沼玲
- 由里子のいとこ、由里子と同い年。建築家。ボストン在住。
毎朝新聞
- 清原
- 外務省詰め記者。
- 志木
- 外務省詰め記者。
- 金田
- 外務省詰め記者。
- 司脩一【上田健一】
- 政治部長、十年ほど前の外務省詰めキャップ。
- 久留
- 主筆。
- 牧野
- 編集局長。
- 荒木
- 社会部長。
読日新聞
- 山部一雄【渡邉恒雄】
- 政治部記者。弓成亮太とは良きライバルである。
外務省
- 安西傑【安川壮】
- 外務審議官(経済担当)。旧財閥の御曹子であり、弓成と同じ北九州出身である。
- 三木昭子【蓮見喜久子】
- 外務審議官付き事務官。38歳。
- 山本 勇
- 外務審議官付き事務官。50歳半ば。
- 吉田孫六【吉野文六】
- アメリカ局長。沖縄返還交渉の実務担当。
政治家
- 佐橋【佐藤栄作】
- 内閣総理大臣。自由党【自由民主党】佐橋派【周山会】会長。
- 福出武夫【福田赳夫】
- 大蔵大臣、福出派会長、外務大臣。
- 田淵角造【田中角栄】
- 佐橋派“共同経営者”→総理大臣。
- 小平正良【大平正芳】
- 弘池会会長→外務大臣。
- 鈴森善市【鈴木善幸】
- 自由党総務会長。弘池会代議士。
- 田川七助【田中六助】
- 弘池会代議士。
- 横溝宏 【横路孝弘】
- 社進党【社会党】。弁護士
官界
- 十時警察庁長官 【後藤田正晴】
弁護士 弓成亮太関係者
- 大野木正【大野正男】
- 中央法律事務所に勤める、44歳の少壮弁護士。弁護団の実質的リーダー。
- 高槻
- 検事出身。
- 伊能
- 法曹界の重鎮。弁護団団長。
- 山谷
- 西江
三木昭子関係者
- 坂元勲
沖縄編
- 謝花(じゃはな)ミチ
- 母・トシと戦闘機のパイロットである父との間で出来た一人娘。読谷村在住であり、独身貴族である。読谷ガラス工房で名人・稲嶺の下で働いている。
- 謝花栄義
- ミチの祖父。謝花商店を経営している。
- 渡久山朝友
- 読谷村在住であり、地元の中学の教頭を勤めている。ツルの夫。
- 渡久山ツル
- 朝友の妻。第二次世界大戦中、沖縄戦でひめゆり学徒隊員として従軍した経験がある。
テレビドラマの概要
2012年1月15日から3月18日まで、TBS系列『日曜劇場』枠(毎週日曜日21:00 - 21:54、JST)で放送された。
主演は本木雅弘。
原作者・山崎豊子の生前最後の映像化作品。
弓成亮太役の本木雅弘は原作者・山崎豊子の推薦であり、「強靭さと悲劇性を併せ演じられる俳優さんだと、お見受けしたからだ」という。
柳葉敏郎、北大路欣也、伊武雅刀、大和田伸也等、山崎豊子原作の映像化作品出演経験のある俳優が多く起用されている。
山崎豊子の作品が「日曜劇場」枠で放送されるのは、2007年1月期の『華麗なる一族』(木村拓哉主演、当時SMAP)以来5年ぶり。
本作の平均視聴率は12.0%を記録した。
キャスト
- ○は最終話・沖縄編にも出演している登場人物。
主要人物
- ○弓成亮太
- 演 - 本木雅弘
- 毎朝新聞社政治部記者。外務省記者クラブキャップ→永田町記者クラブキャップ
- ○弓成由里子
- 演 - 松たか子
- 弓成亮太の妻。事件後に自宅で弓成ゆりこピアノ教室を始める。
- ○三木昭子
- 演 - 真木よう子
- 外務省安西審議官付事務官→京陽不動産事務員→陵南運送事務員
- ○山部一雄
- 演 - 大森南朋
- 読日新聞社政治部記者。外務省記者クラブキャップ→永田町記者クラブキャップ→編集局長→論説委員長。
- 佐橋慶作
- 演 - 北大路欣也
- 内閣総理大臣。沖縄復帰記念式典後、退任。
- 演じる北大路欣也は、同じ原作者の作品である『華麗なる一族』と同様、主人公と対立をする役割をもつ。
毎朝新聞社
- 司修一
- 演 - 松重豊
- 政治部部長→論説委員
- 清原了
- 演 - 北村有起哉
- 政治部記者。外務省記者クラブ→永田町記者クラブ
- 金田満
- 演 - 遠藤雄弥
- 政治部記者。外務省記者クラブ→永田町記者クラブ
- 仲村明
- 演 - 笠原秀幸
- 政治部記者。永田町記者クラブ所属。
- 荒木繁
- 演 - 杉本哲太
- 社会部デスク。
- 斉田透
- 演 - 淵上泰史
- 社会部司法担当者。
- 萩野孝和
- 演 - 梶原善
- 整理部デスク。
- 恵比寿史朗
- 演 - でんでん
- 販売部部長。
- 久留聡一
- 演 - 吉田鋼太郎
- 主筆。
- 大館智文
- 演 - 綿引勝彦
- 取締役社長。
外務省
- 安西傑
- 演 - 石橋凌
- 経済担当審議官→アメリカ大使
- 山本勇
- 演 - 小松和重
- 安西審議官付事務官。
- 林
- 演 - 石丸謙二郎
- 事務次官。
- 吉田孫六
- 演 - 升毅
- アメリカ局長。
- 川崎一郎
- 演 - 奥田達士
- 北米第一課長。
- 砂川
- 演 - ノゾエ征爾
- 人事課課長。
- 児玉
- 演 - 伊藤正之
- 人事課課長。
政治家
- 愛川輝一
- 演 - 大和田伸也
- 外務大臣(佐橋内閣)→大蔵大臣(田淵内閣)。原作版では愛池大臣に相当する。
- 田淵角造
- 演 - 不破万作
- 自由党幹事長。通商産業大臣(第三次佐橋内閣)→内閣総理大臣
- 福出赳雄
- 演 - 笹野高史
- 大蔵大臣→外務大臣(第三次佐橋内閣)
- 鈴森善市
- 演 - 田窪一世
- 自由党総務会長。
- 小平正良
- 演 - 柄本明
- 自由党小平派会長。外務大臣(田淵内閣)
- 曽根川靖弘
- 演 - 本田博太郎
- 自由党曽根川派会長。通商産業大臣(田淵内閣)→内閣総理大臣
- 横溝宏
- 演 - 市川亀治郎(現市川猿之助)
- 社進党衆議院議員、元弁護士。
警察
- 十時正春
- 演 - 伊武雅刀
- 警察庁長官。
- 井口
- 演 - 小市慢太郎
- 警視庁捜査第二課知能犯第4係班長。
- 郷田
- 演 - 長谷川公彦
- 警視庁捜査第二課課長。
- 岩代
- 演 - 山本龍二
- 警視庁捜査第二課警部補。
法曹
- 高槻
- 演 - 伏見哲夫
- 弓成亮太弁護団。
- 山谷
- 演 - 佐野元哉
- 弓成亮太弁護団。
- ○大野木正
- 演 - 柳葉敏郎
- 中央法律事務所所属。弓成亮太弁護団。
- 演じる柳葉敏郎は、同じ原作者の作品である『華麗なる一族』と同様、主人公の味方をする役割をもつ。
- 坂元勲
- 演 - 吹越満
- 三木昭子担当弁護士。
- 正木道夫
- 演 - 矢島健一
- 東京地方検察庁次席検事。
- 藪谷哲司
- 演 - 水橋研二
- 東京地方検察庁特別捜査部検事。
- 笠間繁昌
- 演 - 阪田マサノブ
- 東京地方検察庁特別捜査部検事。
- 森靖之
- 演 - 浅野和之
- 東京地方検察庁公判部検事。
- 本山拓
- 演 - 大鷹明良
- 東京地方裁判所裁判長。
- 増見豊
- 演 - 鶴見辰吾
- 東京高等検察庁公判部検事。
- 木柿
- 演 - 小林勝也
- 東京高等裁判所裁判長。
週刊誌
- ○鳥井裕三
- 演 - 斎藤歩
- 週刊「ジャーナル」記者。
- ○松中雄也
- 演 - 眞島秀和
- 週刊「潮流」記者。
弓成家・八雲家
- 弓成正助
- 演 - 橋爪功
- 弓成亮太の父親、北九州青果協同組合弓成青果社長。
- 弓成しづ
- 演 - 吉村実子
- 弓成亮太の母親。
- 弓成洋一
- 演 - 今井悠貴(少年期:第1 - 8・最終話) / 菅田将暉(青年期:第9話)
- 弓成亮太・由里子の長男。
- 弓成純二
- 演 - 山崎竜太郎(少年期:第1 - 8・最終話) / 萩原利久(青年期:第9話)
- 弓成亮太・由里子の次男。
- 八雲泰造
- 演 - 山本圭
- 弓成由里子の父親。
- ○八雲加代
- 演 - 高林由紀子
- 弓成由里子の母親。
- ○青山芙佐子
- 演 - 柴本幸
- 弓成由里子の妹。
- 青山美奈
- 演 - 甲斐恵美利
- 青山芙佐子の娘。
- 鯉沼玲
- 演 - 長谷川博己
- 弓成由里子の従兄妹、建築家。
三木家
- ○三木琢也
- 演 - 原田泰造(ネプチューン)
- 三木昭子の夫、元外務省官僚。
その他
- 坂元千恵子
- 演 - 黒沢あすか
- 坂元勲の妻。
- 枝川清美
- 演 - ふせえり
- 女性人権活動家。「三木さんを守る会」代表。
- 長谷川勝次
- 演 - 半海一晃
- 弓成青果番頭。
- 中原平吉
- 演 - 平賀雅臣
- 中原みかん農園経営者。
- ブティックの店長
- 演 - 綾田俊樹
沖縄編
以下の登場人物は最終話のみ出演。
- 謝花ミチ
- 演 - 美波
- 与那嶺琉球ガラス工房職人。
- 渡久山朝友
- 演 - 泉谷しげる(少年期:普久原男)
- 謝花ミチの叔父。
- 渡久山ツル
- 演 - 山本道子
- 謝花ミチの叔母。
- 照屋賢勇
- 演 - 三浦貴大
- 与那嶺琉球ガラス工房職人。
- 与那嶺真栄
- 演 - 普久原明
- 与那嶺琉球ガラス工芸家。原作版では稲嶺に相当する。
- 儀保明
- 演 - 津田寛治
- 琉球新聞社社会部部長。
- 天願崇
- 演 - 宮平安春
- 琉球新聞社社会部記者。
- 島袋善祐
- 演 - 平泉成
- 反戦地主。
- 安仁屋猛
- 演 - 津嘉山正種
- 軍用地地主会会長。
- 我楽政規
- 演 - リリー・フランキー
- 琉球国際大学助教授。
- 少女
- 演 - 吉田里琴
スタッフ
- 原作 - 山崎豊子「運命の人」(文藝春秋刊)
- 脚本 - 橋本裕志
- 音楽 - 佐藤直紀
- 演出 - 土井裕泰、吉田健
- プロデュース - 瀬戸口克陽
- 製作著作 - TBS
視聴率推移:
各話 | 放送日 | サブタイトル | 演出 | 視聴率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
第1話 | 1月15日 | 疑惑の一夜 | 土井裕泰 | 13.0% | 30分拡大 |
第2話 | 1月22日 | 漏れた秘密 | 11.3% | ||
第3話 | 1月29日 | 裏切りの代償 | 11.6% | ||
第4話 | 2月5日 | 暴かれた関係 | 吉田健 | 11.6% | |
第5話 | 2月12日 | 引き裂かれた家族 | 10.8% | ||
第6話 | 2月19日 | “女”の復讐 | 土井裕泰 | 9.9% | |
第7話 | 2月26日 | 衝撃の判決 明暗を分けた結末!! | 13.2% | ||
第8話 | 3月4日 | 逆転判決!? 暴走する女の執念 | 吉田健 | 10.4% | |
第9話 | 3月11日 | 終幕へ-下される最後の審判 | 11.9% | ||
最終話 | 3月18日 | 栄光と挫折〜再生の物語が沖縄で遂に完結!! 40年前の真相と奇跡が招く衝撃の結末 -運命に翻弄された3人の未来とは |
土井裕泰 | 14.1% | 54分拡大 |
平均視聴率 12.0%(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ) |
コメント:
実際に起こった事件を、山崎豊子が丹念に取材を重ねて出版した小説を原作にした社会派ドラマである。
主人公・弓成亮太を本木雅弘、その妻を松たか子、外務省女性事務官・三木昭子を真木よう子が演じている。
内閣総理大臣を演じたのは、北大路欣也。
モデルの人物は、昨年2023年に死去したが、本作の小説を執筆した山崎豊子とは数十回面談して、事件の真相を語りつくしたようだ。
事件は、総理大臣だった佐藤栄作がノーベル平和賞を受賞する理由にもなった沖縄の日本返還にかかわる日米交渉における機密事項を外務省に勤務する女性事務官・蓮見喜久子が毎日新聞記者・西山太吉に提供したことが発覚し、当事者の女性官僚と新聞記者の2名が逮捕され、裁判になるというものだ。
実際の事件の経緯は以下の通り:
1971年、毎日新聞の記者・西山太吉は、沖縄返還時の日米間の密約について、既婚者である外務省女性事務官・蓮見喜久子と男女関係をもった上で、彼女から情報を入手し、その情報を国会議員の横路孝弘と楢崎弥之助に提供した。
1972年、衆議院予算委員会で横路と楢崎が沖縄返還時の日米間の密約の有無について政府を追及した際に、証拠となる外務省の書類の実物を提示したことから、いわゆる西山事件に発展した。
西山と女性事務官は東京地検特捜部に逮捕・起訴された。
捜査の過程では、密約の内容よりも、検察が主張した「女性事務官と『情を通じて』機密文書を入手した」という経過が注目を集め、取材手法が批難を浴びた。
この事件により毎日新聞は他の大手新聞から一部の読者の引き剥がしに遭い、その後に起こる第一次オイルショックとともに、経営悪化の一因となった。
1974年1月31日、東京地裁は、西山に無罪を言い渡した。
同年2月9日、東京地検は「判決には事実誤認や法令解釈の誤りがある」として東京高裁に控訴。
1976年の控訴審で有罪判決が下り、上告するも1978年に棄却され確定。
強要された女性事務官も有罪となった。
裁判では、審理は密約そのものではなく、男女関係の問題や、機密資料の入手方法の問題に終始した。
西山は、東京地裁判決直後に毎日新聞社を退社した。
その後は地元に戻り、家業の西山青果株式会社に勤務する。
マンション経営などにも乗り出すが、1987年のブラックマンデーのあおりを受けて、多額の損失を出す。
1991年に退職し、その後は在野のジャーナリストとして活動した。
西山青果は現在も経営が続けられている。
2000年、密約を裏付ける米国の公文書が、ワシントンの国立公文書館で発見された。
2005年、西山は起訴されたことを不服とし国家賠償法に基づく国家賠償請求訴訟を起こした。
2006年、対米交渉を担当した吉野文六外務省アメリカ局長(当時)は密約の存在を北海道新聞、共同通信、朝日新聞の取材に対して認めた。
(吉野は1999年に、政策研究大学院大学の「吉野文六オーラルヒストリー」においても同様の証言をしている。)
2007年3月27日、東京地裁は、20年の除斥期間を経過しているとして、密約の存否に触れず、請求を棄却する判決を下した。
これに対しては2009年3月18日に取り消しと開示決定及び賠償を求めて提訴(沖縄密約情報公開訴訟)、一審では勝訴したが、2014年7月14日、密約情報開示訴訟上告審判決で、最高裁第二小法廷は上告を棄却し、密約文書を不開示とした政府の決定を妥当だとする判断を下した。
2013年11月21日、特定秘密保護法案を審議する参議院国家安全保障特別委員会で参考人として意見陳述。
法案は秘密の部分が曖昧であって、「外交交渉の都合の悪い部分を隠し、都合のいい部分だけを出すことになりかねない」と批判、「外交交渉のプロセスをいちいち公開する必要はないが、結論は全部、国民に正確に伝達しなければ、民主主義は崩壊する」、「結論を公開することを与野党共通の土台にしてほしい。それだけで特定秘密の領域は相当限定される」と注文した。
また法律の早期成立を急ぐ第2次安倍内閣に対し「権力集中には必ず秘密保全が伴うが、戦後、こんなに一挙に権力集中の動きが出たことはなかった。反省してほしい」と述べた。
2023年2月24日、西山は心不全のため福岡県北九州市内の介護施設で死去。
91歳没。
1972年に佐藤栄作が首相引退時のテレビ中継の途中で、「新聞記者は出て行け」と罵声を浴びせたのは、この事件の被告・西山に向かっての発言だったといわれている。
日本政府は、裏工作をして日本が沖縄返還に見返りに4百万ドルの関連費用を日本が負担したのだが、その事実が最後に明らかになった。
だが、絶対に国民には知られたくない内密の交渉記録を暴いたことで、佐藤栄作の功績は水泡に帰したのであった。
しかし、これが明らかになる前に、佐藤栄作はノーベル平和賞受賞という栄誉を獲得したのであった。
このドラマは、山崎豊子の数々の話題作の中でも最も日本の政治に密接に関わる、ニュース性抜群の作品だ。
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