「赤ちゃん泥棒」
(原題: Raising Arizona)
1987年3月13日公開。
子供欲しさで赤ん坊を誘拐した夫婦が巻き起こす騒動を描いたコメディ映画。
ニコラス・ケイジ主演。
興行収入:$29,180,280。
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
監督:ジョエル・コーエン
キャスト:
- ハイ・マクダノー:ニコラス・ケイジ
- エドウィーナ・マクダノー:ホリー・ハンター
- ネイサン・アリゾナ:トレイ・ウィルソン
- ゲイル・スナーツ:ジョン・グッドマン
- エヴェル・スナーツ:ウィリアム・フォーサイス
- グレン:サム・マクマレイ
- ドット:フランシス・マクドーマンド
- レオナルド・スモールス:ランドール・“テックス”・コッブ
あらすじ:
コンビニエンス・ストア強盗の常習でアリゾナ刑務所を出たり入ったりのハイ・マクダノー(ニコラス・ケイジ)は、そこの記録係の婦人警官、エド(ホリー・ハンター)にひと目ぼれし、出所と同時に結婚して、町工場でまじめに働いていた。
ところが、しばらくしてエドの不妊症が医師の診断で分かり、彼女はショックのあまり警察をやめる。
養子をもらおうにもハイの前科でかなわず、2人はますます落ち込んでいった。
そんなある日、家具チェーン店のオーナー、ネイサン・アリゾナ(トレイ・ウィルソン)のもとで5つ児誕生を知ったエドは、そのなかの1人ぐらいいただいてきてもいいのではとハイに相談し、彼はネイサンの家から1人のベビーを盗んできた。
母性本能むき出しでベビーを抱きしめるエドは生き返ったように狂喜。
そんな彼らのもとに、ハイの友人で刑務所からの脱獄に成功したゲイル(ジョン・グッドマン)とエベル(ウィリアム・フォーサイス)の2人がやって来た。
エドは不承不承ながらも2人を家に入れる。
その頃、警察はベビー誘拐事件の公開捜査に踏み切っていた。
子を奪われた親の気持ちが分かるハイは不安にかられる。
ハイの上司グレン(サム・マクマリー)が妻ドット(フランセス・マクドーマンド)と5人の子供とともに彼の家にやってきた。
うるさい子供たちとおしゃべりなドットに、エドはうんざりする。
ハイも、スワッピングをもちかけるグレンを殴りつけ、クビになった。
グレンはハイの赤ん坊がネイサンの子であることを察知していた。
失業したハイはまたしてもコンビニエンス・ストア強盗をやらかし、後悔の念にかられるばかり。
その頃、赤ん坊を探し出して賞金をいただこうというレナード(ランダル・テックス・コブ)という男が出現し、またグレンは妻が赤ん坊を欲しがっているから渡せば警察に訴えないと、ハイにせまった。
ハイが銀行強盗に協力しないと知ったゲイルとエベルは、ハイを椅子に縛りつけ赤ん坊をさらって銀行強盗を決行するが、どこかに赤ん坊を置き忘れてしまう。
赤ん坊に情の移った2人は赤ん坊を探しに向かうが、そこでエドとハイ、それにレナードがからんだ大格闘がくりひろげられるのだった…。
そして何とか赤ん坊を守ったハイとエドは2人して赤ん坊をネイサンのもとへ返しにゆくのであった。
コメント:
子宝に恵まれないある夫婦がかわいい赤ちゃんを奪ったことから連鎖反応的に起きる事件をスリルと爆笑で描くアクション・コメディ。
処女作の『ブラッド・シンプル』の成功で実力を認められたコーエン兄弟が、ハリウッド大手スタジオの20世紀フォックスから資金援助を受けて製作した作品である。
原題は「ライジング・アリゾナ」で、アリゾナ州が舞台となる。コーエン兄弟の作品だが、彼らのデビュー作がテキサス州でクライム・サスペンス、第二作がアリゾナ州でこのコメディ。
コーエン兄弟の生まれ育ったミネソタ州とは対照的な地域で、ユダヤ的ではなく、スパニッシュ色が強い。
ここでアホなアメリカのコメディを展開したくなったのかも。
ツカミが上手い。
チンピラ悪党のハイ(ニコラス・ケイジ)は刑務所で失恋に泣くエド(ホリー・ハンター)に一目惚れ。
出所しては、ケチな犯罪をして刑務所へ逆もり、ここでエドに猛アピール。
これが功を奏し結婚にこぎつける。
幸せな生活が続くが、子供が生まれない。
調べるとエドは不妊症。
養子縁組はハイの前科でパー。ここにアリゾナの家具店のオーナー夫妻が五つ子を出産したという
話を聞き込み、一人ぐらいさらっても罪はない、とばかりにハイが屋敷に潜入。青い眼の金髪の可愛い
男の子をゲット。エドの喜びはひとかたならない。
このドタバタに、刑務所仲間のゲイル(ジョン・グッドマン)とグレンが脱走してハイの家に身を寄せた。
ゲイルの登場は衝撃的で「ショーシャンクの空に」に先行する泥まみれ。
二人が加わりドタバタ度はヒートアップ。赤ん坊をネタにギャグの連発。
さらにはヘルス・エンジェルスを思わせるスモールスが参戦、様相は何でもありのバトルロイヤル。
コメディに理屈は野暮だが、地獄の使者の登場で、アメリカのドタバタがヴァイオレンスに傾斜し、苦味を与える。
とにかく、ニコラス・ケイジが若い。
まだ23歳だった。
「情けない男」がとても似合うニコラス・ケイジだ。
一世風靡する前だが、やはり大物になりそうな片鱗は感じさせる。
やっぱりハンサムで、かっこいい!
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