「ヤング・フランケンシュタイン」
(原題: Young Frankenstein)
1974年12月15日公開。
フランケンシュタインのパロディ映画。
興行収入:$86,200,000。
受賞歴:
- 1974年 アカデミー賞
- アカデミー脚色賞 ノミネート
- アカデミー録音賞 ノミネート
- 1975年度 第3回サターン賞
- ホラー映画賞受賞
- 監督賞受賞 - メル・ブルックス
- 助演男優賞受賞 - マーティ・フェルドマン
- メイクアップ賞受賞
- 1975年 ヒューゴー賞
- ヒューゴー賞映像部門受賞
- 1975年 ネビュラ賞
- Best Dramatic Writing 受賞
脚本:メル・ブルックス、ジーン・ワイルダー
監督:メル・ブルックス
キャスト:
フランケンシュタイン:ジーン・ワイルダー
エリザベス:マデリーン・カーン
アイゴール:マーティ・フェルドマン
フラウ・ブリュッハー:クロリス・リーチマン
インガ:テリー・ガー
盲目の男:ジーン・ハックマン
あらすじ:
著名なビューフォート・フランケンシュタイン博士が死んでから17年たつと、彼の身内の者たちがトランシルバニア城の地下に眠る博士の棺から博士の遺書をとり出した。
それによれば、ビューフォートの息子ビクターは、モンスターを作り出して家名を傷つけたので、遺産を曽孫のフランケンシュタイン(ジーン・ワイルダー)に譲るとあった。
彼は現在、有名な脳外科医でボルチモアの医大の講師をしていた。
ある日、フランケンシュタイン家の使者ファルクスタインがボルチモアへやってきて、フランケンシュタインに曽祖父の遺言により家督を継がなければならないことを告げた。
彼はエリザベス(マデリーン・カーン)という恋人がいるため、ここに留まりたかったが、ファルクスタインに説得されてしぶしぶトランシルバニアに行くことになった。
彼がトランシルバニア駅に着くと、家僕アイゴール(マーティ・フェルドマン)が出迎えた。
フランケンシュタイン家には、アイゴールの他に老家政婦フラウ・ブリュッハー(クロリス・リーチマン)と小間使いのインガ(テリー・ガー)がいた。
フランケンシュタインは、数日この不思議な城に滞在するうちに、祖父ビクターがモンスターを造った実験記録を読み、自分も実験してみたいと思うようになった。
それにはまず大男の遺体が必要だった。
彼はアイゴールと、処刑された大男の遺体を墓地から盗みだすと。次に優秀な頭脳を捜すようアイゴールに命じた。
ところが、彼が研究所から盗み出した頭脳は精神異常者のものだった。
フランケンシュタインはそんなことは露知らず何とかモンスターを作りあげた。
動きだしたモンスターは持ち前の異常性を発揮して屋敷を飛び出してさまよい歩き盲目の男(ジーン・ハックマン)の家に入り込んだ。
孤独な盲人は相手がモンスターだとは知らずに親切にするが、モンスターはその家を飛び出し、行方がわからなくなってしまう。
その頃、フラウから、彼女は祖父ビクターと恋人同志で、モンスターは二人が協力して作ったものであり、モンスターはバイオリンで弾く子守唄が好きであるということを聞かされたフランケンシュタインは、バイオリンでモンスターをおびきだし、実験室に閉じ込めた。
彼はモンスターをこれ以上生かしておけないと主張したが、それに反対したフラウは銃を持ちだして制止した。
そうこうしているうちにフランケンシュタインは、モンスターの頭脳の主が甘言に弱いことを知り、手なずけることに成功した。
彼はこの実験の成果を学界に発表するため、ある劇場に多数の学者たちを集めた。
無事発表は終わったが、余興としてタップを踊らせていたとき、突然ライトの一つがショートして放電した。
びっくりしたモンスターは暴れだしたために警官に捕らえられ留置場につながれた。
だが、そこから脱出したモンスターはちょうどやってきていたフランケンシュタインのフィアンセのエリザベスを誘拐、森の中に逃げ込んだ。
彼女はモンスターの強さに感激、次第にひかれていった。
そんなモンスターに、フランケンシュタインは自分の頭脳の一部を移植した。
すると、口のきけなかったモンスターは人並みに口がきけるようになったのであった。
コメント:
怪奇映画の主人公フランケンシュタインをパロディ化したコメディ。
コメディ映画の名監督・メル・ブルックスによる傑作である。
数々の名シーンは、以下のような元ネタから制作されているといわれている:
元祖「フランケンシュタイン」」:
1910年公開映画が第1作で、その後数十作もの同名映画が制作されている。
「フランケンシュタインの花嫁」:
盲目の男は『花嫁』からのパロディで、『花嫁』では唯一のモンスターの親友。
本作のマデリーン・カーン演じるエリザベスの髪型は女版モンスターのパロディである。
「フランケンシュタインの復活」:
助手のアイゴールは本作のイゴールからの名前の引用。
片腕が義手のケンプ警部は本作のクローグ警視のパロディ。
『復活』では幼い頃にモンスターに片腕を引きちぎられて義手になった設定だが、本作では握手する際に義手を引っこ抜かれている。
「ノートルダムのせむし男 -」
イゴールの元ネタ。
そもそもフランケンシュタインの助手がせむし男として登場するのは、『せむし男』のカジモドから派生したキャラが次第にオマージュ視されて作られたもの。
G・ワイルダーをはじめとした俳優陣のエキセントリックな怪演をはじめ、「フランケンシュタイン」のパロディ映画としてのアイロニカルな味わいや、すべてを振り切ったバカバカしいドラマ展開において、その後登場する同ジャンルの「アダムス・ファミリー」などよりコチラのほうが断然面白い。
ベタな下ネタやダジャレやギャグを散りばめたナンセンスコメディと、禍々しいモノクロ画面に彩られたクラシカルな怪異譚が見事に融合した新感覚のホラーコメディである。
本作は、多くの映画賞を受賞している。
サターン賞(Saturn Award/Academy of Science Fiction, Fantasy & Horror Films)とは、映画・テレビドラマ・ホームビデオなどの優秀なサイエンスフィクション・ファンタジー・ホラー作品に送られる賞。
1972年から開始された。
著名な賞を受けにくいSF・ファンタジー・ホラー作品にもしかるべき評価を与えたいと考えていたドナルド・A・リード博士によって考案された。
「サターン」とは土星のこと。
受賞者に贈られる像は、土星をモチーフとしており、その環が映画のフィルムというデザインになっている。
ヒューゴー賞(ヒューゴーしょう、The Hugo Awards)とは、SFやファンタジーの作品および関連人物に贈られる賞である。
小説、映像、コミックなど複数の部門があり、各受賞者は毎年の世界SF大会(ワールドコン)中に開催されるヒューゴー賞授賞式において発表される。
「Hugo」というのは、発明家・ヒューゴー・ガーンズバック(Hugo Gernsback)の名前にちなんでいるという。
この人は、ルクセンブルグ出身のユダヤ系で、子供のころから電気に興味を持ち、高性能の新型バッテリーを発明し、これを商品化するために1904年2月にアメリカに移住し、後に帰化した人物である。
ネビュラ賞(The Nebula Awards)とは、アメリカSFファンタジー作家協会 (SFWA) が主催し、アメリカ合衆国内で前暦年に刊行された英語のSF(スペキュレイティブ・フィクション)やファンタジー作品を対象に授与する文学賞。
「ネビュラ」とは星雲のこと。
SF・ファンタジー作品に与えられる賞としてはヒューゴー賞と知名度を二分する。
ヒューゴー賞が(ワールドコンに登録した)一般のファンの投票によって選ばれる賞であるのに対し、ネビュラ賞はSFWA会員(作家、編集者、批評家など)の投票によって選ばれる。
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