「富美子の足」
2010年5月9日公開。
愛妾に踏まれながら死にたいと願う老人の哀話「富美子の足」の映画化。
BUNGO -日本文学シネマ・シリーズの一作。
原作:谷崎潤一郎「富美子の足」
脚本:菅野友恵
監督:橋本光二郎
キャスト:
富美子:加藤ローサ
塚越老人:寺田農
宇之吉:夕輝壽太
あらすじ:
塚越老人(寺田農)は、芸者富美子(加藤ローサ)を妾にし、彼女の美しい足に接して悦びを感ずる。
塚越はある時、美術学校の学生である宇之吉(夕輝壽太)に、富美子をモデルにして絵を描くよう依頼する。
宇之吉は絵を描き進めるうちに、富美子の足に幼い日の記憶を重ねていく……。
病を得て臨終を迎えた時、塚越は「息を引き取るまで、ずっとお前の足で私の顔を踏んでいてくれ」と命じ、富美子の足の下で無限の歓喜のうちに死ぬ。
コメント:
原作は、妾の女性の足に欲情する老人を描いた谷崎潤一郎の短編小説「富美子の足」。
短編ながら、谷崎潤一郎の耽美主義の極致をゆく、大正8年の作品である。
女性の肉体の中で、最も美しいのは「足」だという、谷崎ならではの哲学的な小説である。
「瘋癲老人日記」にも似ているが、この小説は、足だけに集中している。
芸者だった富美子という女性を妾にして、死ぬまで彼女の足に執着する老人の姿は、驚きでもあり、うらやましくもある。
監督は「君に届け」「猿ロック THE MOVIE」などで助監督を担当した橋本光二郎。
出演は加藤ローサ、寺田農、夕輝壽太。
日本を代表する文豪たちの短編小説を映像化したTVドラマシリーズ「BUNGO-日本文学シネマ-」の1作。
劇場用に編集されたディレクターズカット版。
2024年3月14日に、81歳で亡くなった寺田農が、実に味わい深い演技をしている。
数多くの映画、ドラマに出演した稀代の名優、寺田農のご冥福を祈る。
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