「卍(2006)」
2006年3月25日公開。
谷崎文学の代表作を映画化。
原作:谷崎潤一郎「卍」
監督・脚本:井口昇
キャスト:
園子:秋桜子(こすもすこ)
光子:不二子
園子の夫:野村宏伸
あらすじ:
資産家の娘・園子(秋桜子)は、老作家に自らが起こした情痴騒動の顛末を告白する。
昭和46年、大阪。
弁護士の夫(野村宏伸)を持ち、何不自由のない生活を送っていた園子は、絵画教室で知り合った妖艶な美人令嬢の光子(不二子)に「縁談を破談にしたいので、ふたりが同性愛者であるかのように振る舞って欲しい」と相談を持ちかけられる。
光子を憎からず思っていた彼女は、冗談半分にそれを引き受けるも、やがてふたりは本当に肉体関係を持ってしまう。
ところが、光子には破談になった縁談相手とは別に、結婚を約束した綿貫栄次郎という男がいたことが判明する。
園子はまんまと利用されたのだ。
それでも、最早、光子を愛して止まない園子は、やがて夫とも関係を持つようになった彼女を家に招き入れ、3人で奇妙な生活を始めるのだが、栄次郎の嫉妬からそれがマスコミに漏れると、彼らは心中を決意する。
しかし、運命の悪戯か、ふたりの謀か、園子だけが死にきれず、今も彼女は光子を想いながらおめおめ生き長らえているのであった。
コメント:
谷崎の「卍」を翻案した異色の作品。
ヒロインの園子を演じているのは、秋桜子。
「こすもすこ」と読むらしい。
この人は、北海道出身のモデル、女優、タレントだが、年齢不詳。
1991年、写真家・荒木経惟の札幌でのトークショーを観覧した際、荒木に声をかけられ写真のモデルを務めることになる。
撮影旅行中、コスモスを手にした写真が印象的だったことから「秋桜子」と名付けられ、以来芸名とする。
1998年に、ロンドン留学から戻ってきた際のヌード撮影を機に、それまでの写真をまとめ、写真集『秋桜子』を発表した。
その後は、主に女優として映画やテレビドラマを中心に活動していた。
2006年に本作に出演した後は、活動状況が不明となっている。
主人公の女性の夫役を演じた野村宏伸の存在と演技に安定感があり、ほっとする。
この映画は、Amazon Primeで動画配信可能: