「太陽は夜も輝く」
(原題:Il sole anche di notte)
1990年公開。
トルストイの小説を原作にした作品。
原作:トルストイ『セルギイ神父』
監督・脚本:パオロ・タヴィアーニ、 ヴィットリオ・タヴィアーニ
キャスト:
セルジョ・ジャラモンド男爵:ジュリアン・サンズ
クリスティーナ:ナスターシャ・キンスキー
アウレリア:パトリシア・ミラルデ
マティルダ:シャルロット・ゲンズブール
あらすじ:
ナポリの士官学校一の優等生セルジョ・ジャラモンド男爵(ジュリアン・サンズ)は国王シャルル三世の副官として仕えることになるが、田舎貴族の出に過ぎないという不利を補なうために王の指示により結婚することになった。
だが相手のカルピオ公爵家の娘クリスティーナ(ナスターシャ・キンスキー)は王のかつての愛人だった。
そのことを彼女自身の口から聞いたセルジョは絶望の余り故郷に帰り、修道院に入ることを決意するが、そこもまた俗塵から離れているとは言い難く、ひたすら神を求めるセルジョとは相客れないものだった。
俗界を捨て、人里離れたペトラ山で隠者として暮らし始めたセルジョのもとを故郷の農家に住む老夫婦が訪ねてくる。
想い出話を語った後、彼らはセルジョに死ぬ時も二人一緒であるように祈ってほしいと言い、「太陽が夜も輝きますように」という聖書の中の言葉を残して去ってゆく。
ある日のこと、仲間とセルジョを誘惑できるか賭けをした男癖の悪い女、アウレリア(パトリシア・ミラルデ)がやってくるが、セルジョは自ら指を斧で切り落として欲望に耐え、改心したアウレリアは尼僧になる。
その噂が広まり、奇跡を行なうとして評判になったセルジョが手を触れた山賊の息子は口が利けるようになった。
更にセルジョの名声は高まり、ナポリの商人が多額の寄付と共に訪れ、闇の中でしか目を開くことのできない娘マティルダ(シャルロット・ゲンズブール)をなおしてほしいと頼む。
しかし少女と女のはざまの妖しい魅力を持つマティルダの前に、セルジョは肉欲に負けてしまう。
山を降り死を決意するも死にきれず、自然と故郷へ向かったセルジョは、かつて彼のもとを訪ねた老夫婦がその願い通り一緒に息絶えたことを知り、不思議な悦びを覚える。
その後老夫婦の住んでいた家に凄みついたセルジョは、物乞いをしながら、村人のために尽くしたが、ある日遠い道に向かって再び旅立っていったという。
コメント:
レオ・N・トルストイの中篇『セルギイ神父』を、舞台を南イタリアに移し、世俗を捨て信仰の道へ入った一人の青年の受苦の日々を通して、人間にとって真実とは何かを描いた作品。
18世紀のナポリ。
名門貴族の子息セルジョは婚礼の前日、婚約者がかつて王の愛人であったことを知り、絶望のあまり街を離れ修道士となる。
果たして彼は、神の道に心の安らぎを見つけることができるのであろうか?
イタリアの名匠タヴィアーニ兄弟が国際色豊かな豪華キャストを得て撮り上げた大作。
ナスターシャ・キンスキーが美しい。
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