「ニュー・シネマ・パラダイス」
(原題:Nuovo Cinema Paradiso)
1988年11月17日公開。
戦後間もないシチリアの小さな村の映画館をめぐる人々の映画への愛を描く感動のイタリア映画。
興行収入:$11,990,401。
受賞歴:
- 1989年、カンヌ国際映画祭審査員グランプリ
- 1989年、アカデミー外国語映画賞
- 1989年、ゴールデングローブ賞外国語映画賞
- 1990年、英国アカデミー賞主演男優賞(フィリップ・ノワレ)、助演男優賞(サルヴァトーレ・カシオ)、オリジナル脚本賞(ジュゼッペ・トルナトーレ)、作曲賞(エンニオ・モリコーネ、アンドレア・モリコーネ)、非英語作品賞
劇場版:124分(国際版)
完全版:170分(ディレクターズ・カット版)
監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽:エンニオ・モリコーネ
キャスト:
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ:ジャック・ペラン
アルフレード:フィリップ・ノワレ
エレナ:アニェーゼ・ナーノ
母:プペラ・マッジョ
司祭:レオポルド・トリエステ
あらすじ:
劇場版:
ローマ在住の映画監督・サルヴァトーレのもとにある晩、故郷の母から電話がきて、アルフレードが死んだことを告げる。サルヴァトーレはベッドの中で、昔の日々を思いだす。
第二次世界大戦終結から間もない頃、「トト」と呼ばれていた幼いサルヴァトーレ少年は、シチリア島の僻地の村で、母と妹と暮らしている。父は戦争に取られたきり消息不明。当時、外界から隔絶された彼の村では、中心にある広場に面した教会を兼用した小さな映画館だけが、村の唯一の娯楽施設だった。
村人たちにとって、その映画館は村の外に通じるたった一つの窓だった。週末になり、劇場で古い映写機が回り出すと、アメリカ映画の中で描かれる想像を超えた豊かさや、保守的な村ではありえないロマンティックな男女関係など、目を丸くして見ている村人たちの前に、外の世界が映しだされた。新作の輸入映画が封切られる夜、村人たちは映画館に集まり、スクリーンに声援を送り、また本来あるべきラブシーンを教会の謹厳な司祭がカットさせた箇所では、揃ってブーイングを鳴らすのだった。
映画に魅了されたトトは何度も映写室に入り込んでいた。映写技師のアルフレードはその度にトトを叱り付けながらも親近感を寄せ、トトは映写機の操作を見様見真似で覚え始める。ある晩、映写中にフィルムの発火事故が発生し映画館は全焼。トトの必死の救助でアルフレードは一命を取り留めたものの、火傷で視力を失った。やがて父親の戦死認定が下され、トトは新しく建て直された映画館「新パラダイス座(Nuovo Cinema Paradiso)」で子供ながら映写技師として働き、家計を支えるようになった。
年月が過ぎ、青年となったトトはムービーカメラを手に入れ、自分でも映画を撮影するようになる。駅で見かけた美少女エレナとの初恋を経てトトは徴兵されるが、除隊後村に帰ると映写室には別の男が座り、エレナは音信不通となっていた。落ち込むトトにアルフレードは「若いのだから外に出て道を探せ、村にいてはいけない、そして帰ってきてはいけない」と言いきかせる。「人生はお前が観た映画とは違う、もっと困難なものだ!」。トトはその言葉通り、列車でローマに向け旅立った。
それから30年。ローマで映画監督として成功し、中年となったトト=サルヴァトーレは、アルフレードの葬儀に出席するため、年老いた母の待つ故郷の村に帰ってきた。そこで彼は「新パラダイス座」がすでに閉館し、建物の解体も近いことを知る。サルヴァトーレはアルフレードが彼に遺した形見を渡される。
コメント:
20世紀末においてイタリア映画の新たな時代を作ったといわれている作品。
舞台は戦後間もないシチリアの小さな村の映画館。
映画好きな少年トトと映画技師のアルフレッドとの心の交流を描いた物語。
実に良い。
映画しか娯楽がなかった時代のちいさな映画館。
そこに集った観客の歓声や笑い声、そして普通では考えられない行為など、観ていて楽しい場面が数々。
トトとエレナのキスシーン、失恋と勘違いした失意のトト、愛し合う2人のキス、そしてラストシーンのキスシーンカット集。
そして、物語の中心であるトトとアルフレッドとの交流。
これまた心温まるシーンであった。
音楽がまた良い。
「荒野の用心棒」などで一世風靡したエンニオ・モリコーネが担当しているだけあって、素晴らしい。
主題曲「Cinema Paradiso」はこれまでに各国のさまざまな企業のCMに使われているほか、テレビ番組でも頻繁に用いられている。
おそらくこのメロディーは日本人のだれもが知っているだろう。
なぜかグッとくるこの旋律は、何度聞いても良い。
この映画は、Amazon Primeで動画配信中: