「カルメン(1984)」
(原題:Carmen)
1984年3月4日公開。
フランス・イタリア合作映画。
ビゼーのオペラをオールロケで映画化した作品。
受賞歴:
1984 - ゴールデングローブ賞 ノミネート:最優秀外国語映画(フランス)
1986 - BAFTA賞 ノミネート:最優秀外国映画賞(イタリア)
ノミネート: 最優秀サウンド賞 ドミニク・ヘネカン、ユーグ・ダルモワ、ベルナール・ルルー、ハラルド・モーリー
1985 - セザール賞 最優秀サウンド賞:ドミニク・ヘネキン、ガイ・レベル、ハラルド・モーリー ノミネート: フランチェスコ・ロージ監督作品 ノミネート: フランチェスコ・ロージ監督賞 ノミネート:主演女優賞:ジュリア・ミゲネス=ジョンソン ノミネート:最優秀撮影監督賞:パスカリーノ・デ・サンティス ノミネート: Enrico Job の最優秀プロダクション デザイン ノミネート:エンリコ・ジョブの最優秀衣装デザイン賞
1985 - ダヴィッド・ディ・ドナテッロ フランチェスコ・ロージの最優秀映画賞 フランチェスコ・ロージ監督賞 撮影賞:パスカリーノ・デ・サンティス エンリコ・ジョブに最適なセットとデコレーション エンリコ・ジョブのベストコスチューム ルッジェロ・マストロヤンニの編集賞 ノミネート:主演女優賞:ジュリア・ミゲネス=ジョンソン ノミネート:助演男優賞『ルッジェーロ・ライモンディ』
1985 - シルバーリボン エンリコ・ジョブの最優秀舞台美術賞
1985 - グラミー賞 (サウンドトラックのみ) 最優秀オペラ録音賞 ミッシェル・グロッツ (音響プロデューサー)、ロリン・マゼール (指揮)、ジュリア・ミゲネス=ジョンソン、プラシド・ドミンゴ、ルッジェーロ・ライモンディ、フェイス・エシャム (ソリスト)
原作:プロスペル・メリメ 「カルメン」
脚本:フランチェスコ・ロージ、トニーノ・グエッラ
監督:フランチェスコ・ロージ
キャスト:
カルメン:ジュリア・ミゲネス=ジョンソン
ドン・ホセ:プラシド・ドミンゴ
エスカミーリョ:ルッジェーロ・ライモンディ
ミカエラ:フェイス・エシャム
あらすじ:
スペイン、アンダルシア地方。
タバコ工場で働くカルメン(ジュリア・メゲネス・ジョンソン)は、情熱的なジプシー女。
ある昼休み、任務に付いている衛兵ドン・ホセ(プラシド・ドミンゴ)に目をつけ、誘惑しようとする。
物思いに沈むドン・ホセ。
そこへ、彼を慕うミカエラ(フェイス・エシャム)がやって来て、共に母親の事や昔の事を語りあった。
その直後、カルメンが、他の工女と喧嘩する騒ぎが起こる。
彼女が逃げ込んだジプシーのキャンプ。
当代一の闘牛士のエスカミーリョ(ルッジェロ・ライモンディ)が、そこを通り掛かり、カルメンにひかれる。
しかし、ドン・ホセにひかれているカルメンは、エスカミーリョの誘いを拒んだ。
山に入ったカルメンとドン・ホセは、段々に、ぎすぎすとした関係になっていった。
そこへ、カルメンを連れにエスカミーリョがやって来た。
決闘を申し込むドン・ホセ。
勝負が付かないまま、エスカミーリョは、独り山を去っていった。
ドン・ホセも、迎えに来たミカエラとともに山を去って行った。
闘牛場。
エスカミーリョに招待されたカルメンは、そこにドン・ホセの姿を見る。
もう愛していないというカルメンをドン・ホセが刺し殺すのだった。
コメント:
世界で最もぶっ飛んだ情熱の美女といえば、カルメンだ!
自分勝手で、平気で人を好きになり、嫌いな男を無視し、好きだった男がなびかないと気が変わって無視する。
ピカレスクの典型であり、自己愛にのみ生き切った、太々しいが、チョーかっこいい情熱の女。
おそらくこれだけ存在感のある女性は、今でもカルメンが世界第一位だろう。
この作品は、ビゼーのオペラで有名だが、実は原作者は別にいる。
『カルメン』(Carmen)は、19世紀フランスの作家プロスペル・メリメが、1845年に発表した全4章の中編小説である。またヒロインの名前でもある。
単行本は1847年刊。
そして、この小説を原作として創作されたのが、ビゼーのオペラ「カルメン」だ。
1875年3月3日、パリのオペラ=コミック座で初演された。
このオペラによって「カルメン」という名前は一世風靡した。
そして、それを契機として、この「カルメン」を映画化した作品が続々と制作された。
その数が凄まじい。
正調のカルメンだけでも、19作ある。
1 カルメン (1915年 - アメリカ、デミル)
2 カルメン (1915年 - アメリカ、ウォルシュ)
3 珍カルメン (1915年 - アメリカ)
4 カルメン (1918年 - ドイツ)
5 カルメン (1926年 - フランス)
6 カルメン (1927年 - アメリカ)
7 カルメン (1932年 - イギリス)
8 西班牙の夜 (1938 - ドイツ)
9 カルメン (1946年 - フランス=イタリア)
10 カルメン (1948年 - アメリカ)
11 カルメン (1954年 - アメリカ)
12 カルメン・ベビー (1967年 - 西ドイツ)
13 裏切りの荒野 (1967年 - イタリア)
14 カルメン (1967年 - スイス=オーストリア)
15 カルメンという名の女 (1983 - フランス)
16 カルメン (1983年 - スペイン)
17 カルメン (1984年 - フランス=イタリア)
18 カルメン (1987年 - アメリカ)
19 carmen.カルメン (2002年 - スペイン=イギリス=イタリア)
この中の17作目になっているのが、今回レビューするフランス・イタリア合作の「カルメン(1984)」である。
日本にも「カルメン」をテーマにしているものがいくつもある。
まずは、音楽。
これも、「カルメン」とは何かをしっかり描いている名曲だ!
「カルメン」の映画もある。
それがこちら:
まじめな「カルメン」作品もある。
それがこちら:
さて、今回レビューする「カルメン(1984)」は、ビゼーのオペラ「カルメン」の著作権保護期間が切れて、次々と制作された映画「カルメン」の中の一作である。
これまでたえずイタリア南部にこだわってきたロージ監督が、初めてスペインにロケし、乾いた土と汗の匂いのする「カルメン」決定版を世に出したのだ。
屋内でのオペラ劇ではなく、スペインの屋外でも撮影している。
だが、主な出演者は本物のオペラ歌手なのだ。
主役のカルメンを演じたジュリア・ミゲネス・ジョンソンのあっけらかんとして、奔放なカルメンがすばらしい。
この人は、マンハッタンのローワー イースト サイドで、アイルランド系とプエルトリコ系の両親のもとに生まれた、アメリカのソプラノ歌手である。
カルメンに一目ぼれされるドン・ホセを演じているのは、プラシド・ドミンゴ。
この人は、スペインのオペラ歌手、指揮者、芸術監督。
年上のルチアーノ・パヴァロッティ、年下であり同じくスペイン出身のホセ・カレーラスと共に三大テノールとしても広く知られる。
ドン・ホセを慕うミカエラを演じているフェイス・エシャムは、アメリカのソプラノ歌手で、大学の声楽教授でもある。グラミー賞 最優秀オペラ・レコーディング賞を獲得している。
カルメンに一目ぼれする闘牛士のエスカミーリョを演じるルッジェロ・ライモンディは、イタリアのバスバリトンオペラ歌手である。
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