「女の都」
(原題: La città delle donne)
1980年3月28日公開。
ウーマン・リブの会場に迷いこんだ中年の男が体験する出来事を描く。
脚本:フェデリコ・フェリーニ、ベルナルディーノ・ザッポーニ、ブルネッロ・ロンディ
監督:フェデリコ・フェリーニ
キャスト:
- マルチェロ・マストロヤンニ:スナポラツ
- アンナ・プルクナル:エレナ
- バーニス・ステガーズ:列車の女
- ドナティラ・ダミアーニ:ドナテッラ
- エットレ・マンニ:カッツォーネ
あらすじ:
美しい田園の中を走る汽車。
快く窓の外を眺めていたスナポラツ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、目の前にすわったブーツ姿のグラマーな女性(バーニス・ステガーズ)を好奇な視線で見つめた。
彼女はスナポラツを誘惑するような態度をとるが、その直後汽車をおりていった。
スナポラツは彼女に誘われるように汽車を降り森の中ヘと入っていった。
いつの間にか女の姿は消え、大きなホテルの前につくスナポラツ。彼が恐る恐る入ると、中には女、女、女。
しかも世界各国の女性たちが集まっている。
そこは、ウーマン・リブの国際大集会の会場だったのだ。
ジャーナリストになりすまし、女性たちに囲まれてゴキゲンなスナポラツは女性たちの弁論を陰から聞いていたが、やがて、全ての女性の視線が、一人まぎれ込んだ男性スナポラツに集中し彼を攻撃しだした。
逃げ出す彼を手助けするのは美少女で農満な肉体をもつドナテッラ(ドナティラ・ダミアーニ)。
やっとぬけ出した彼は、駅に送ってやるというオートバイのおばさん(J・シルヴァーニ)に従うか、彼女は駅ではなく畑の中のビニール・ハウスに連れてゆき、何とスナポラツを犯そうとした。
なんとか、その危機も脱した彼は、次にはパンク・ファッションの少女たちの車に便乗するが、彼女たちは麻薬を吸ったり奇妙な会話を発してスナポラツを困らせる。
あげくに彼を轢き殺そうとまでするが、その場は、カッツォーネ(巨根)博士(エットレ・マンニ)に救われる。
彼の豪邸を訪れたスナポラツは、その装飾に目を見張った。
すべては男根を基調としており、関係をもった数千人の女性たちの写真と声を収めた博物館まで用意されていた。
その日は、ちょうどカッツォーネ博士の一万人ぎりの記念の日。
多くの招待客がおしよせるが、その中には、何とスナポラツの妻エレナ(アンナ・プルクナル)やドナテッラまでがいる。
しかし、宴が盛り上がったころ、かねてより博士が恐れていた女性警察が邸内に入り込み、豪邸の破壊を命じた。
女性たちヘの別れの歌を歌いながら死ぬ博士。
その夜、エレナとベッドに入ると、その下にはトンネルがあり、くぐり出るスナポラツ。イルミネーションに囲まれたすべり台を、過去の女たちとの様々な追憶と共に夢ごこちで降りていた彼は、降りきった瞬間、目の前に恐ろしい女性裁判官と女性テロリストたちを発見する。
ここでは男性は、死刑の判決を受け、女性レスラーのエジキになるのだ。
しかしスナポラツがリングに上がると、そこは空っぽ。
やがてドナテッラの形をした気球で、スナポラツは宙ヘと浮かび上がるが、地上では女戦土になったドナテッラが銃を発した。
気球は破裂。
あわや、という時、気がつくとスナポラツは、元の汽車の中。
目の前には、妻エレナ、そして、ブーツの女、ドナテッラがすわっている。
やがて汽車はトンネルに入っていった。
コメント:
マルチェロ・マストロヤンニが、セックスの幻想にとりつかれた中年を好演している。
電車の中で向かい側に座った女が実にエロイ。
この女に見つめられて、主人公は一気に別世界に入り込んでゆく。
なんだかよくわからないうちに女を追いかけたり、女に追いかけられたり・・・・・
フェリーニの描いた世界は、実に面白い。
フェミニストの極端な人たちがいっぱい出てきて、「男はいらない!」と声高に叫んでいるのが滑稽。
フェリーニならではの風刺も入っているのかも。
この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。