イタリア映画 「殺人捜査」 殺人犯の殺人課長が無罪? 自民党議員が観るべき映画! | 人生・嵐も晴れもあり!

人生・嵐も晴れもあり!

人生はドラマ!
映画、音楽、文学、歴史、毎日の暮らしなどさまざまな分野についての情報やコメントをアップしています。

「殺人捜査」

(原題: Indagine su un cittadino al di sopra di ogni sospetto

 

Indagine su un cittadino al di sopra di ogni sospetto - Film (1970) -  MYmovies.it

 

「殺人捜査」プレビュー

 

1970年2月9日公開。

愛人を殺した殺人課長が無実になってしまうコメディ。

 

受賞歴:

アカデミー賞外国語映画賞 
カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ、FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞

 

脚本:ウーゴ・ピッロ、エリオ・ペトリ

監督:エリオ・ペトリ

音楽:エンニオ・モリコーネ

 

キャスト:

殺人課長:ジャン・マリア・ヴォロンテ

愛人アグスタ:フロリンダ・ボルカン

新任の課長:A・ドミニチ

パーチェ:S・トラモンティ

 

Indagine su un cittadino al di sopra di ogni sospetto: trama, durata e cast  | Programmi Sky

 

あらすじ:

ローマ警察殺人課長(G・M・ヴォロンテ)は、愛人アグスタ(F・ボルカン)を殺害した。

そして、「アパートに女が殺されている」と警察に通報し、故意に血痕のついた自分の足跡を残し、さらに女の爪にネクタイの糸くずまで付着させて出勤していった。

その日は、主人公である殺人課長の、公安部長への昇進祝いのパーティーが開かれる日でもあった。

通報を受けた新任の課長(A・ドミニチ)はシャンペンで乾杯したあと、ただちに捜査を開始した。

昇進したばかりの公安部長も現場検証に立ち会い、部下にあれこれと指示した。

血痕のついた足跡、爪に付いた糸くず、指紋そして大量の写真などが採集された。

写真には実際に起きた事件の被害者を再現したアグスタの裸の写真も、含まれていた。

容疑者として離婚した夫が逮捕されたが、何一つ証拠があるわけでなく、捜査はふり出しに戻った。

現場に残された指紋は、部長のものばかりだったが、誰一人、部長を疑うものはいなかった。

アグスタは犯罪に対して異常な興味を示し、殺人事件の被害者のモデルになっては種々のポーズの写真を部長に撮らせていた。

ある日、部長はアグスタと学生パーチェ(S・トラモンティ)の浮気の現場を見つけ、甚く自尊心を傷つけられた。

アグスタは部長を、絶えず愚弄し、侮辱していた。

時には、常に権力をカサにきる部長をおだてあげ、得意がらせて喜んでいたのだ。

捜査は一向に進展せず、部長は逆に、爪の糸くずと同色のネクタイを殺人課に送ったりして、捜査の不備をなじり、その傲慢な態度を増長させていった。

その日は、浮気相手を問いただす部長を終始愚弄し、ついには不能とまで罵って追い出したアグスタに、部長の殺意が頭をもたげたのだ。

「俺に不可能はない。殺人さえも」。

公安部長として学生デモを取り締った際、パーチェが逮捕者のなかにいた。

拷問にかけようとした部長は逆に、あの事件の犯行を目撃したといわれ、急に剛直さを崩して、涙ながら犯行を自供した。

殺人課に自首した部長に、警視総監以下全幹部はそれを否定した。

足跡、ネクタイ、写真などの証拠さえも。

「おまえはノイローゼだ。警察権力そして全体制を侮辱することは許さん」と厳命した総監の言葉に、部長の顔にはみるみる不敵な笑いがひろがった。

そして、自分は無罪である、と言い放ったのであった。

 

Indagine su un cittadino al di sopra di ogni sospetto - Film (1970) -  MYmovies.it

 

コメント:

 

ある殺人課長が犯した殺人によって、警察内部に湧き起ったさまざまな波紋を描いて権力機構の愚かしさを徹底的にあばきたてた作品。

 

警察組織の欺瞞性と愚劣さを描くコメディ風の社会派映画である。

 

ローマ警察署の殺人課長は愛人のアウグスタを殺害する。

このシーンから映画が始まるので、観客は犯人が誰なのか初めから知らされている。

なぜかこの主人公の殺人課長の名前が最後まで明かされない。

ここも笑えるところだ。

殺人課長は、わざわざ犯行の痕跡を残して、自ら警察に通報。現場を離れる途中、アウグスタのアパートの門のところで、1人の青年に姿を目撃される。

この日、殺人課長は公安部長に昇進する。

(ここからは部長と書く)

現場に残る指紋は部長のものばかり。目撃者も現れる。

だが、誰も部長が犯人であるとは疑わない。

いや、犯人であってはいけない、ということなのかも!

回想を入り組ませ、時制を行き来して、まるで白昼夢のように語られる物語。

リアルな警察描写の中に、チラチラと垣間見える不条理さ。

ビデオの解説によると「警察内部の波紋を通して、権力機構の堕落と腐敗を暴露した問題作」ということ。

この変わった作品にぴったりの、モリコーネの音楽が最高に面白い。

 

殺人課長を熱演しているのは、ジャン・マリア・ヴォロンテ。

この人は、1933年にミラノで生まれた、イタリア映画を代表する男優である。

1964年にセルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウェスタン『荒野の用心棒』で、悪役であるラモン・ロホを演じた(本名ではなくアメリカ人風の偽名ジョニー・ウェルズとしてクレジット)。

翌1965年の『夕陽のガンマン』では麻薬中毒のギャングの頭目エル・インディオを演じ、この二作の成功でヴォロンテは一躍スター俳優にのし上がる。

これ以降国内外の多くの映画に出演、イタリアを代表する俳優として世界的な知名度を得る。

映画でしばしば狂気を感じさせる悪役を演じており、本作『殺人捜査』で演じた、殺人を犯したエリート刑事がその最たる例である。

彼はバルトロメオ・バンゼッティやラッキー・ルチアーノなど、実在の人物を演じる事もあった。

ヴォロンテの演技力は批評家から高く評価され、イタリアのアカデミー賞とも呼ばれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の主演男優賞(1970年、1990年)、カンヌ国際映画祭男優賞(1983年)、ベルリン国際映画祭銀熊賞(1987年)など多くの映画賞を受賞した。

1991年にはその生涯における業績を表彰して、ヴェネツィア国際映画祭栄誉金獅子賞が贈られた。

 

 

この映画の原題「 Indagine su un cittadino al di sopra di ogni sospetto」とは、直訳すると「疑惑の国民捜査」となるようだ。

つまり、「国民を捜査する場合には、常に疑惑があること」を言いたいのかも知れない。

 

そういえば、最近日本でも大問題になっている事件がある。

自民党のパーティ券の裏金捜査だ。

絶対にクロだと国民すべてが思っている自民党の裏金のからくりとその容疑者たち。

だが、安倍派の幹部たちは絶対に逮捕されないだろう。

これぞ、「疑惑の国民捜査」の典型だ。

日本における「権力機構の堕落と腐敗」の最たるものがこの事件だ。

 

この映画こそ、自民党議員全員がしっかり観るべき教育映画だろう。

 

ベストタイミングでこの映画をアップすることになった!

 

 

この映画は、Amazon Primeで動画配信可能:

https://www.amazon.co.jp/%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E6%8D%9C%E6%9F%BB-%E5%AD%97%E5%B9%95%E7%89%88-%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%B3/dp/B00REWP7W8