「悪名無敵」
1965年10月27日公開。
悪名シリーズ第11作。
原作:今東光
脚本:依田義賢
監督:田中徳三
出演者:
勝新太郎 、 田宮二郎 、 八千草薫 、 藤村志保 、 千波丈太郎 、 戸田皓久 、 藤岡琢也 、 水原浩一 、 大杉育美 |
あらすじ:
悪名コンビの朝吉(勝新太郎)と清次(田宮二郎)は、スケコマシの常公(千波丈太郎)に騙されて連れていかれた家出娘・お君(大杉育美)を探して、夜のジャンジャン横丁にやって来た。
案の定、お君は売春組織の毒牙にかかり、すでに客をひかされていた。
一計を案じた朝吉は何くわぬ顔でポン引常公の案内で、お君の客となった。
一方の清次も、同じ宿の女・朱実と一時を過した。
女たちの悲しい境遇を知りお君と朱実(八千草薫)を逃がす覚悟を決めた朝吉は、先に清次とお君を裏口から逃がし、みずからも得意の頭突きで追手をけちらして朱実とともに逃げだした。
しかし、清次はどうやらお君だけは逃がしたものの、自分は追手のライフル銃で負傷し捕まってしまった。
そんなこととは知らぬ朝吉は、姿を見せぬ清次に心を残しながらも、常公、朱実を更生させようと、北陸のとある温泉場に向かった。
表面は朝吉に従順な常公だったが、本心は朱実を大阪に連れもどそうとしていた。
だが、そんなこととは露知らず、朝吉は二人を連れて、加賀の片山津温泉にやってきた。
そこで朝吉は素性の知れぬ女・百合子(藤村志保)に誘われるまま百合子と一夜を過ごした。
だが、翌日、百合子はかかってきた電話にあやつられるように姿を消した。
朝吉は大阪へ帰り、すぐ先に帰した常公と朱実を下宿に訪ねた。
だが今は二人の姿はなく、やくざ新湊組が手ぐすね引いて朝吉を待ちかまえていた。
一方の清次は持前の弁舌で、今は新湊組に取り入りポン引をやっていたが、朝吉の危急を聞いて朝吉のもとに駆けつけた。
朝吉、清次らをとりまいた新湊組の先頭には、あの片山津の女・百合子がいた。
百合子は新湊組の女親分だったのだ。
朝吉や清次の説得も功も奏せず、今やこれまでと二人は鉄挙をうならせた。
だが多勢に無勢、二人は力尽き、あわやと思われた時、朝吉の侠気にうたれて改心した常公が、火を吹くガス熔接器を片手に助けにきて、形勢は逆転した。
金を積んで許しを乞う新湊組に、札束をたたき返した朝吉は、百合子に売春組織を解散させることを約束させ、清次とともに、朝日の輝く街を去っていった。
コメント:
悪名シリーズ第11作。
八千草薫と藤村志保というダブル・ゲスト女優が豪華な作品。
ストーリーは、ポン引きをやっているヤクザのビジネスを真っ当な仕事に変えさせるという社会救済のような仕事を朝吉が清次と共に成し遂げるという、硬派の悪名ならではの展開になっており、胸がすくエンディングだ。
八千草薫が売春婦、藤村志保が売春組織の悪役の女親分悪役で、清純なイメージの女優にしては珍しい役どころとなっている。
この女優二人がそれぞれ魅力的に撮られている。
八千草薫は、娼婦で有りながらなんとなくとっぽいキャラクターを明るく演じている。
やはりその美貌はずば抜けている。
また、藤村志保は和服姿で女親分としてのきついキャラクターをクールに演じており、シビれる。
悪役の女親分という初めての役柄を、彼女ならではの個性を発揮して演じており、好感が持てる。
この女優は、本作の4年前に市川雷蔵の勧めで映画界入りし、雷蔵のアドバイスで成長してきたが、ここで早くも新たな役どころを経験している。
舞台は、能登地震でも被害に遭った加賀にある有名な片山津温泉だ。
ここの温泉も被害に遭ったようだ。
その記事がこちら:
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