「河内ぞろ あばれ凧」
(かわちぞろ あばれだこ)
1965年4月18日公開。
「河内ぞろ」シリーズ第3作。
原作:今東光「河内ぞろ」
脚本:笠原良三、 江崎実生
監督:江崎実生
キャスト:
宍戸錠 | 大西仁助 |
川地民夫 | 大西多度吉 |
山内賢 | 大西永三 |
南田洋子 | お沢 |
安田道代 | お芳 |
笠置シヅ子 | ちよ |
松原智恵子 | ユカ |
弓恵子 | まゆみ |
谷村昌彦 | 権三郎 |
杉山俊夫 | 三太 |
武藤章生 | 源次 |
殿山泰司 | 和尚 |
小高雄二 | ハジキの林蔵 |
佐野浅夫 | 皆川 |
榎木兵衛 | 巡査 |
あらすじ:
八百屋・お沢(南田洋子)のところに入聟になり、今はスーパーマーケットの社長におさまっている仁助(宍戸錠)。
藪下の生家で、生れつきの向うっ気でのしている多度吉(川地民夫)。
兄弟一の社交振りを発揮して神戸で貿易商を営む永三(山内賢)。
この大西三兄弟は、亡父の三回忌というのに、あい変らずいがみあって村人たちの耳目を集めていた。
そうしたある日、仁助が藪下のたんぼで測量を始めた。
団地建設でにぎやかになる将来をみこした、仁助のマーケット拡張計画であった。
ところが、これを知った多度吉は、地元を荒されてはだまっていられぬと、仁助のもとにどなりこんだ。
だが、この争いも近く海外へ旅に出る永三のとりなしで、こともなくおさまり、三人はそろって神戸のナイトクラブにくりこんだ。
ここで仁助と多度吉は、永三のガールフレンドでグラマー歌手の春山ユカ(松原智恵子)にすっかりのぼせあがって、早々に恋のさやあてが始まった。
そんなところに、仇敵・ハジキの林蔵(小高雄二)が現れ、三人は協力して林蔵の子分を叩きのめした。
数日後、仁助は突然マーケット建設計画を一時中止して、テント張りのストリップ興行をうつ決心をした。
だがこれを伝え聞いた多度吉も負けじと、同じ目的で動きはじめた。
そんなとき、ユカが永三の紹介状を持って多度吉を訪れた。
勇躍した多度吉は、昔なじみのストリップ一座と契約し、一方仁助もストリップ一座斡旋業の皆川(佐野浅夫)を通じて契約をとりかわした。
ところが、多度吉の子分・源次、仁助の子分・権三郎が、それぞれ悪どい興行主に契約書をだまし盗られ、形勢は逆転。
二人は協力して興行することになった。
そんな二人のテント小屋に、林蔵が殴り込みをかけ、二人はまきぞえをくって留置場に入れられた。
数日後、花嫁姿のユカを従えた永三のあとにつまらなそうな仁助と多度吉の顔があった。
コメント:
相変わらず対抗心むき出しの大西三兄弟。
亡父の三回忌でもくだらないきっかけで喧嘩三昧だ。
長男の仁助(宍戸錠)は縄張りの放出(ハナテン)でスーパーマーケットを経営しているのだが、次男・多度吉(川地民夫)のシマ、薮下で二号店を開店せんと目論む。
無論これに黙っていない多度吉とイザコザになるが、神戸で貿易商を営む三男・永三(山内賢)の仲裁でひとまず収まる。
三兄弟は神戸のクラブに繰り出し、そこで歌う歌手の春山ユカ(松原智恵子)に仁助も多度吉もメロメロとなる。
そして、仁助はスーパーマーケットをやめてストリップの興行を打つことにする。
多度吉も対抗して同じ計画を立てるが、仁助の子分・権三郎(谷村昌彦)と多度吉の子分・源次(武藤章生)が共にヘマををして興行主との契約書を盗まれてしまう。
更に懲りない宿敵の、ハジキの林蔵(小高雄二)が現れ、雪辱を果さんとするが......
三作目ともなれば、パターンも固まってきて、要するにマンネリと呼ばれるようになる。
宍戸錠と川地民夫が激しく対立し、そこへまあまあと割って入る山内賢が一番好い目を見て、宍戸と川地がボヤクのがルーチンと云う感じ。
ヒロイン・松原智恵子を巡って長男と次男が争い(二人とも妻帯者なのに)、結局は山内が妻に迎えるというエンドだ。
お馴染みになつたレギュラー陣の南田洋子・笠置シズ子・安田道代・小高雄二・谷村昌彦・殿山泰司らのアンサンブルも心地良い。
寅さんに通じるものがある。
もはやコメディリリーフの一人となつた小高雄二。
一作目で右手の、二作目で左手の人差し指を潰され、もうハジキを扱えないかと思われたが、中指を駆使していたというオチになっていて笑える。
マンネリの感じがあって、やはりこのシリーズはこの第三作でおしまい。
「悪名」シリーズのような変化球を交えないと長期シリーズ化は無理だ。
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