今東光の映画 「河内ぞろ どけち虫」 河内の暴れん坊・三兄弟を描くアホな映画! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「河内ぞろ どけち虫」

 

河内ぞろ どけち虫 | 映画 | 日活

 

1964年5月13日公開。

今東光の人気小説「河内ぞろ」の映画化。

「河内ぞろ」シリーズ第1作。

 

原作:今東光「河内ぞろ」

脚本:笠原良三 

監督:舛田利雄 

 

キャスト:

宍戸錠:仁助

川地民夫:多度吉

山内賢:永三

伊藤雄之助:大西文吾

笠置シヅ子 :大西ちよ

南田洋子:お沢

小高雄二:ハジキの林蔵

 

河内ぞろ どけち虫 | 映画 | 日活

 

あらすじ:

河内ののどかな春、大西文吾(伊藤雄之助)の三人息子、長男の仁助(宍戸錠)、次男の多度吉(川地民夫)、三男の永三(山内賢)が、文吾の葬式だというのにいがみあってやって来た。

これぞ、河内ぞろ悪名高きどけち虫三兄弟だ。

伝統あるどけちの親爺の血をうけついで、三人兄弟は、兄弟同士では喧嘩はしても、他人と喧嘩をする時や金儲けには一致団結する逞しさ。

やがて二十歳の春を迎えた仁助は、お伊勢参りに出掛け、大阪近くの豚毛屋に住み込むと、仲間の権三郎と飲みにいった料亭の仲居お沢(南田洋子)を見染めて入聟におさまった。

仁助のケチ根性を見込んだお沢の父徳平は家業の八百屋を受け継がせた。

やがて土地の親分として売り出した仁助の噂を聞いた三男の永三は、書き置きを残すと外国船に乗った。

とり残されて口惜しがった多度吉は、村の若い衆との喧嘩を買い、仁助に救われたものの、これを機に多度吉は、素人やくざの親分になろうと決心した。

ますます男をあげた仁助は、ハジキの林蔵(小高雄二)の乾分の末吉と、お君の面倒を見てやることになった。

だが、林蔵の妾と駆け落ちした乾分を囲まった仁助に、怒った林蔵は、因縁をつけて賭場荒しの挙に出た。

そうした時、父・文吾の死亡が知らされたのだ。

悲しみに包まれた葬式だというのに、三兄弟は、早くも財産を中にイガミあっていた。

和尚の肝入りで葬式は無事済んだものの、大阪へ帰った仁助は、林蔵との争いに怒り狂った。

多度吉に助けを求めたお沢は、兄弟一の喧嘩好きという多度吉に助けられ林蔵をしめあげた。

土地、家屋の財産相続でもめていた兄弟の不意をついて、林蔵にハジキをつきつけられた兄弟は、永三の機転で立場が逆になったが、すぐに、財産争いにくみつ、ほぐれつする兄弟、三人三様の河内ぞろぶりを見せていた。

 

河内ぞろ どけち虫 | 映画 | 日活

 

コメント:

 

今東光の河内もののひとつである小説「河内ぞろ」の映画化。

三部作となった「河内ゾロ」シリーズの第1作だ。

 

タイトルにある「河内ぞろ」とはどういう意味なのか?

 

いろいろ調べてみたが、良く分からない。

 

どうやら、「ぞろ」というのは、「ゾロ目」という言葉にヒントがあるようだ。

 

「ゾロ目」というのは、丁半ばくちで同じ目が揃うことだ。

 

「ピンぞろ」と言えば、サイコロの目が二つとも「ピン」になる事だ。

つまり、二つとも「1」の目が出る事だ。

 

この「ゾロ目」というのは、同じ目が二つ揃う事だけではないらしい。

 

サイコロ チンチロリン ピンゾロの写真素材 [FYI00311725] | ストックフォトのamanaimages PLUS

 

三つのサイコロの目が全部揃った場合も「ゾロ目」というらしい。

 

つまり、「河内ぞろ」とは、この作品の主人公である三兄弟が、揃いも揃って「河内」ならではの、ケチで、口が悪く、暴れん坊だという事らしいのだ。

 

という意味をテーマにした今東光の同名原作を、日活が当初からシリーズ化を目指して映画化したものがこの作品のようである。

 

主題歌を歌うのは河内音頭の鉄砲光三郎。


冒頭は父親の葬儀にで喧嘩する三兄弟、長男の仁助(宍戸錠)、次男の多度吉(川地民夫)、三男の永三(山内賢)。

この三兄弟、口を開けば喧嘩ばかりして、周囲もいつ始まるかと、待ち構えている。

恰好の見世物。

人呼んで「河内ぞろ」だ。

父の大西文吾(伊藤雄之助)は、妻のちよ(笠置シズ子)が男の子ばかり三人も生むので、「女ならつぶしがきくが、男は極つぶしだ」と詰る程のケチな男。

このケチぶりは長男の仁助に受け継がれ、何をするにも「ゼニが要るならやらん」と云う男になった。

成長した仁助は、お伊勢参りに出かけるとそのまま旅先の豚毛屋に住み着いてしまう。

そして偶偶飲みに行つた居酒屋を切り盛りするお沢(南田洋子)と気が合つて結婚。

権三郎(谷村昌彦)と云う子分も出来、気が付けば「ハナテン(放出)の親分」と呼ばれる身分になっていた。
仁助の影響で、三男・永三も書置きを残して家を出て船乗りになつてしまう。

残された次男・多度吉はお芳(安田道代)と云う女と一緒になり、両親と共に住んでいる。

喧嘩が滅法強い多度吉は、地元で親分に祭り上げられる。

ある時、仁助の所に末吉(山田吾一)とお君(白川栞)の男女がやってきた。

お君は親分である「ハジキの林蔵」(小高雄二)の妾で、末吉と駆落ちして来たのだ。

ふたりを匿った仁助だが、それで林蔵の怒りを買う事になる。

宍戸錠・川地民夫・山内賢の三兄弟が大暴れする痛快娯楽篇だ。

登場人物たちが自分勝手に河内弁で喚き立てる。

宍戸錠は普段より甲高い声で熱演している。

川地民夫はまむしの兄弟の前哨戦のように見える。

原作が「悪名」と同じ今東光だからか、少し雰囲気が似ている。

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父親の伊藤雄之助が絶品。

飛び出しそうなほど目玉を大きく開いて、とにかく怒鳴りまくる。

伊藤の登場場面は最高だ。

妻役の笠置シズ子とは名コンビ。

 

昔はこんな名優たちが映画ファンを喜ばせていたのだ。

 

この映画最大の特徴は、三人兄弟やその親父たちがそろって河内弁でまくしたてているところだ。

 

この河内弁というのは、何か?

 

ネットで見た限り、大阪のガラの悪い関西弁のてっぺんに位置する方言らしい。

 

極め付きは「おんどれ」、「なにさらしとんねん」。

「おんどれ」は、「お前」。

「なにさらしとんねん」は、「なにしてるんだ」。

 

河内弁の方言集のような説明もあるが、全体をしっかり把握しているサイトはない。

 

YouTubeでいくつか面白い河内弁の説明があったので、紹介したい:

 

 

大阪の方言の分類について:

 

 

 

 

 

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