「アルジェの戦い」
(原題: La battaglia di Algeri)
1966年8月31日公開。
アルジェリアの独立戦争を描いた傑作。
第27回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。
脚本:フランコ・ソリナス
監督:ジッロ・ポンテコルヴォ
キャスト:
- ジャン・マルタン:マシュー将軍
- ヤセフ・サーディ:サアリ・カデル
- ファウチア・エル・カデル:ハリマ
- ミシェル・ケルバシュ
あらすじ:
1954年11月1日。
仏領アルジェリアのカスバを中心として、暴動が起きた。
それはアルジェリアの独立を叫ぶアルジェリア人たちの地下抵抗運動者によるものだった。
激しい暴動の波はアルジェリア全域から、さらにヨーロッパの街頭にまで及び、至る所で時限爆弾が破裂した。
1957年10月7日。
この事件を重大視したフランス本国政府は、マシュー将軍(ジャン・マルタン)の指揮するパラシュート部隊をアルジェに送った。
独立運動地下組織の指導者はサアリ・カデル(ヤセフ・サーディ)という青年であった。
彼はマシュー将軍の降伏勧告に応じようとせず、最後まで闘う決意であった。
日増しに激しさを加えるテロ行為に対処するため、マシュー将軍は市内に数多くの検問所を設け、現地人の身体検査から、パスポートの検閲まで、厳しく取り締まった。そ
してテロ容疑の情報が入ると抜き打ち的に民家やアパートを襲って、アラブ人の強制逮捕を行なった。
そのたびごとに地下指導者たちは監禁され、ある者は拷問され、またある者は殺された。
しかしサアリは屈せず、女性連絡員ハリマ(ファウチア・エル・カデル)をはじめとするわずかの部下を率いて、地下活動を続けた。
パラシュート部隊の執拗な追求の手を巧みにのがれてきた彼も、ある日、街頭でフランス官憲に目撃され、ついに本拠をつきとめられてしまった。
彼はマシュー将軍の投降の呼びかけにも応じなかったため、ハリマと共に軍隊の手にかかって射殺された。
サアリの死後三年経た1960年12月、平静だったアルジェは、独立を願うアルジェリア人たちの叫びで再び騒然となった。
コメント:
ヨーロッパの植民地としてしいたげられた、アフリカの独立の実態を表す素晴らしい映画である。
アルジェリアのフランスからの独立を描くが、これをイタリアが製作したというのは意味深い。
フランスとしては絶対に描けないだろう。
本作は、第27回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したが、その場にいたフランスの代表団が一人除いて全員、抗議の意思を示すために退場するという異常事態が発生した。
ただ一人残ったフランス人は、トリュフォーだったという。
彼は映画と現実との違いを理解できる大人だった。
というより、ヌーヴェル・ヴァーグの旗手であるトリュフォーにとっては、映画の制作に対して敬意を表したのだろう。
制作したのがイタリアであってもだ。
フランス人の常識で考えると、フランスとアルジェリアの戦いをイタリアが制作することは我慢ならなかったのであろう。
アルジェリア側に立って描かれた作品であれば、そういう感情は理解できなくもないが。
この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。